更新日: 2022.03.17 その他暮らし

個人事業主から法人へ。「定款」ってなに?

個人事業主から法人へ。「定款」ってなに?
個人事業主やフリーランスで実績を積むなどして法人化しようとした場合、法人設立段階で「定款」や「登記」というものが必要となります。
 
今回は、そのうち定款とはどういうものか、どのように作成するのか、費用は掛かるのか等を見ていきましょう
田久保誠

執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)

田久保誠行政書士事務所代表

CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員

行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。

定款、定款認証とは

定款とは、会社を運営していくうえでの基本的規則を定めたもので、『会社の憲法』とも呼ばれるものです。
 
具体的には、その会社の商号(名称)や目的(事業内容)、本店所在地等の基本事項を定めます。基本事項を定めた定款は、その後、会社の本店所在地を管轄する公証役場に提出して、認証の手続きを受けなければなりません(定款認証)。
 
定款認証された後に、法務局で会社設立の登記が必要です。登記が完了した後は、定款の中で定めた内容にしたがって、会社を運営していきます。
 

定款にはどのようなことを記載するの?

定款に記載する事項には次の3つがあります。

1.記載しておかなければ定款自体が無効になってしまう「絶対的記載事項」
2.それについて決めたときには必ず記載しなければならない「相対的記載事項」
3.記載してもしなくてもよい「任意的記載事項」

相対的記載事項の中で、会社の財産に大きく影響する重要なものを「変態設立事項」といいます。
 
またいうまでもありませんが、強行規定や公序良俗に反する事項は載せることはできません。
 
それぞれ記載する項目、その内容は図表1のとおりです。相対的記載事項・任意的記載事項については一例です。
 
図表1


 

必要書類は?

必要書類は以下になります。

1.定款3通(公証役場保管用・法務局提出用・会社本店保管用)
2.各発起人の印鑑証明書(発行後3ヶ月以内)
3.実質的支配者となる者の申告書と、実質的支配者となる者の本人確認資料
4.定款認証手数料
5.定款の登記申請用謄本の交付手数料

 
そのほか、状況によって以下のものが必要です。
6.(紙での認証の場合)収入印紙
7.(代理人による定款認証の場合)委任状と本人確認資料

 

定款認証の費用は?

合同会社の場合は、定款認証制度自体がありませんので費用は掛かりません。
 
株式会社の場合の定款認証手数料は、2021年までは一律5万円でしたが、2022年1月より、設立する会社の資本金等の額に応じ、100万円未満の場合は3万円、100万円以上300万円未満の場合は4万円、そのほかの場合は5万円です。
 
これに加えて通常、登記申請用の謄本を請求しますが、その手数料は、謄本1枚につき250円ですので、8枚の定款でしたら2000円掛かります(定款の表紙については、原則として枚数に入れません)。
 
さらに、電子定款によらない場合には、収入印紙4万円を公証人保存原本に貼付します。
 

定款変更を行う場合は?

その変更事項が登記事項に該当する場合には、原則として2週間以内に本店所在地を管轄する法務局において、その変更登記をする必要があります。
 
なお、公証人の定款の認証を必要なものは、法人設立に際して作成される原始定款のみに限られますので、法務局での設立登記後の定款変更については、公証人の認証は不要です。
 

できれば、専門家に依頼しよう!

定款の作成については、専門知識がないとかなり難しいと思います。作成例が載った書籍等もありますが、電子定款であれば印紙代の4万円が不要ですので、できることなら行政書士や弁護士といった専門家に相談し、委任することをお勧めします。
 
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表

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