持ち家と賃貸どちらが有利か?

配信日: 2022.03.25

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持ち家と賃貸どちらが有利か?
「持ち家と賃貸どちらが有利か?」というテーマは、不動産に関してよく行われる議論です。これに対して、住みやすさや引っ越しの自由など、さまざまな理由を挙げて、どちらが有利かという論争がみかけられます。
 
「どちらが有利か?」という点から議論をするのであれば、一般的な収入のサラリーマンであれ、年収2000万円を超えるような高給サラリーマンであれ、持ち家が有利ということに論をまちません。
 
この記事では、その理由を説明していきたいと思います。
浦上登

執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)

サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー

東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。

現在、サマーアロー・コンサルティングの代表。

ファイナンシャル・プランナーの上位資格であるCFP(日本FP協会認定)を最速で取得。証券外務員第一種(日本証券業協会認定)。

FPとしてのアドバイスの範囲は、住宅購入、子供の教育費などのライフプラン全般、定年後の働き方や年金・資産運用・相続などの老後対策等、幅広い分野をカバーし、これから人生の礎を築いていく若い人とともに、同年代の高齢者層から絶大な信頼を集めている。

2023年7月PHP研究所より「70歳の現役FPが教える60歳からの「働き方」と「お金」の正解」を出版し、好評販売中。

現在、出版を記念して、サマーアロー・コンサルティングHPで無料FP相談を受け付け中。

早稲田大学卒業後、大手重工業メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超え、海外の話題にも明るい。

サマーアロー・コンサルティングHPアドレス:https://briansummer.wixsite.com/summerarrow

なぜ持ち家が有利か?

賃貸に比べて持ち家が有利となる、その理由は以下のとおりです。
 

持ち家は自己資産になる

一言でいうと持ち家は自己の資産になりますが、賃貸はどこまでいっても外部流出コストです。
 
もう少し分かりやすい言葉でいうと、頭金付きの住宅ローンで家を買った場合、頭金の部分はすでに自己資産ですし、住宅ローンの借入額相当分はローンの返済に従って徐々に自分のものになり、返済が完了すれば持ち家すべてが自己資産になります。
 
これに対し、賃貸は賃借料を貸主に払うだけで、住んでいる家はいつまでたっても人のものです。
 
また、同じ持ち家でも土地の比率が小さいマンションよりも、土地の比率が大きい一戸建てのほうがさらに有利です。建物は年月とともに劣化しますが、土地は減価償却の対象にならず、本来の価値を半永久的に保ちます。
 
住宅ローンの返済と賃借料の支払いは、行為としては似ていますが、自己資産になるかならないかで本質的に異なります。
 

家に住むことに関してコストがかからない

持ち家のメリットは、ただで、家に住むことができることです。上記のように、住宅ローンの返済を終えて自己の資産にしてしまえば、基本的に家に住むためのコストはかかりません。
 
一方、賃貸は家に住むためのコストが常にかかるので、特に退職後、定収入がなくなったときに大きな負担になることもありますし、老後破綻の原因にもなりかねません(今回の説明は、退職までに住宅ローンの返済が終わっているという前提で行っています。退職後に住宅ローンが残っていると、議論の方向が異なってくるので、ご注意ください)。
 
もちろん、持ち家でも補修費、固定資産税などはかかるのですが、極論すれば、補修費がかけられなくなっても家に住み続けることは可能です。
 
固定資産税は持ち家を所有するかぎりかかりますが、通常の家賃と比べると格段に小さい金額です。これに対して賃貸の場合、家賃が払えなくなれば家を出て行くしかありません。
 
この点からみても、同じ持ち家の場合でも一戸建てのほうがマンションより有利です。
 
マンションに住み続けるには固定資産税に加え、管理費や補修費に相当する修繕積立金が必要ですが、一戸建ての場合はある程度の補修費と固定資産税分の費用があればよく、先に述べたように最悪は補修費も不要です。マンションの場合、修繕積立金は支払わないわけにはいきません。
 

持ち家を資金源として老後の生活費を補うことができる

持ち家は自己資産になることやコスト面に加え、家を資金源として老後の生活費を補うことができ、その手段もいくつかあります。
 
1つは「リバースモーゲージ」で、持ち家を担保に金融機関から毎月資金を借りる方法です。契約者本人が亡くなった後は、金融機関が家を売却して返済が完了となります。
 
もう1つは「リースバック」で、持ち家をリース会社に売却し、売却資金でリース会社からその持ち家を借りて、かつ生活費を賄う方法です。
 
どちらの方法も家が自分の資産だからできることで、賃貸を続けていては利用できません。
 

賃貸のメリットとは?

収入や家族構成の変化に合わせ、住居費をコントロールできるということを賃貸のメリットとして挙げる人がいます。
 
ただし、賃貸が外部流出コストである以上、資金とその時点の家族構成に合わせて、可能なかぎり妥協して持ち家の購入を考えるべきでしょう。場合によっては、将来の買い替えも視野に入れるべきかもしれません。
 
いつでも自由に引っ越しができるということも賃貸のメリットとして挙げられますが、例えば転勤など仕事の都合ということであれば、可能であれば会社に賃借料の補助をしてもらい、持ち家は賃貸に出して賃貸料を確保するという方向などで考えるべきでしょう。
 
また、自分の好みで2~3年ごとに好きな場所に住みたいのであれば、そうしたぜいたくができる程度の資産を貯めてから考えるべきでしょう。
 

まとめ

今回は、なぜ賃貸よりも持ち家が有利なのか、そのポイントについて説明しましたが、持ち家は自己資産、賃貸は外部流出コストということに尽きます。
 
本質的にどちらが有利かという視点を常に持ち続ければ、持ち家を所有するまでに乗り越えなければならないことも、クリアしやすくなるでしょう。
 
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー

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