更新日: 2022.03.29 子育て

大学が「授業料免除」になる保護者の世帯収入はどのくらい?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 新井智美

大学が「授業料免除」になる保護者の世帯収入はどのくらい?
2020年4月からスタートした大学無償化の対象になると、入学金・授業料の免除・減額や給付型奨学金の支給を受けられます。大学の入学金や授業料、生活費の負担が軽減されるため、経済的な不安がある方も安心して勉強ができます。
 
しかし、「入学金や授業料の免除・減額を受けられる年収基準は?」など世帯年収の基準などについて疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。
 
そこでここでは、大学無償化の支援内容や支援金額、世帯収入などの基準について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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新井智美

監修:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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大学の授業料が免除・減額となる「大学無償化」とは

 
大学無償化とは、家庭の経済状況に関係なく、大学や短大、専門学校に進学できるチャンスを与えることを目的とした制度です。正式名称は「高等教育の修学支援新制度」で、2020年4月にスタートしました。
 
世帯収入や資産の要件を満たし、学生に学ぶ意欲があれば、「授業料等減免」や「給付型奨学金」の支援を受けられます。
 

大学無償化の2つの支援内容

 
大学無償化には「授業料等減免」と「給付型奨学金」の2つの支援内容があります。授業料等減免は、大学や短大の入学金・授業料から免除・減額される制度です。給付型奨学金は日本学生支援機構から毎月奨学金を受け取れます。
 
それぞれの支援内容や金額について事前に把握しておくことは大切です。
 
ここでは、大学無償化の2つの支援内容について見ていきましょう。
 

授業料等減免

 
授業料等減免制度は、大学や短大などの入学金・授業料から免除・減額されます。授業料等減免の上限額は図表1・2・3のとおりです。
 
図表1

    

【昼間制】
減免の上限額
国公立 私立
入学金 授業料 入学金 授業料
大学 約28万円 約54万円 約26万円 約70万円
短期大学 約17万円 約39万円 約25万円 約62万円
高等専門学校 約8万円 約23万円 約13万円 約70万円
専門学校 約7万円 約17万円 約16万円 約59万円

※住民税非課税世帯の学生の場合
※住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生は2/3または1/3の支援額になります。
 
図表2

    

【夜間制】
減免の上限額
国公立 私立
入学金 授業料 入学金 授業料
大学 約14万円 約27万円 約14万円 約36万円
短期大学 約8万円 約20万円 約17万円 約36万円
専門学校 約4万円 約8万円 約14万円 約39万円

※住民税非課税世帯の学生の場合
※住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生は2/3または1/3の支援額になります。
 
図表3

【通信課程】
減免の上限額
私立
入学金 授業料
大学
短期大学
専門学校
約3万円 約13万円

※住民税非課税世帯の学生の場合
※住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生は2/3または1/3の支援額になります。
 

給付型奨学金

 
給付型奨学金は、日本学生支援機構(JASSO)から、生活費として毎月奨学金が給付されます。給付額は、図表4のとおりです。
 
図表4

    

昼間制・夜間制 国公立 私立
自宅生 自宅外 自宅生 自宅外
大学
短期大学
専門学校
2万9200円
(3万3300円)
6万6700円 3万8300円
(4万2500円)
7万5800円
高等専門学校 1万7500円
(2万5800円)
3万4200円 2万6700円
(3万5000円)
4万3300円

※住民税非課税世帯の学生の場合
※住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生は2/3または1/3の支援額になります。
※カッコ内は、生活保護世帯で自宅から通学する人または児童養護施設等から通学する人の金額です。
 

大学の授業料が免除・減額となる条件

 
大学無償化の支援を受けるには、収入基準や資産基準、学力基準などを満たす必要があります。これらの基準を満たす学生であれば、授業料等減免や給付型奨学金の支援を受けることが可能です。大学無償化を検討している方は、早めに各基準を確認しておきましょう。
 
ここでは、大学無償化の収入基準・資産基準・学力基準について紹介します。
 

収入基準

 
大学無償化の支援対象となる学生は「住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯の学生」です。家族構成や世帯年収によって、支援額が変わります。図表5は、大学無償化の支援を受けられる世帯年収の目安と支援額です。
 
図表5

支援対象者 年収の目安
両親、本人(18歳)、中学生の家族4人世帯の場合
年収の目安
両親、本人(19〜22歳)、高校生の家族4人世帯の場合
支援額
住民税非課税世帯の学生 〜270万円 〜300万円 満額
住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生 〜300万円 〜400万円 2/3
〜380万円 〜460万円 1/3

※上記は目安です。家族構成や家族の年齢により世帯年収は変わります。
 
家族構成や家族の年齢などで条件は変わりますが、住民税非課税世帯の学生は世帯年収が300万円以下だと満額、住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生は世帯年収が400万円以下だと2/3、460万円以下だと1/3の支援を受けられる可能性があります。
 

資産基準

 
資産基準も設けられています。大学無償化の支援を受けるには、図表6の資産基準を満たす必要があります。
 
図表6

要件 基準額
生計維持者が2人 2000万円未満
生計維持者が1人 1250万円未満

上記のとおり、生計維持者の人数によって基準額が異なります。基準額には、不動産は含まれません。
 

学力基準

 
大学無償化の学力基準は、高校生時の「予約採用」と大学等に在学中の「在学採用」で異なります。予約採用の学力基準は、以下のとおりです。

■高校2年次(申込時)までの評定平均値

●3.5以上:進路指導などで学修意欲を確認
●3.5未満:レポートまたは面談で学修意欲を確認

在学採用(1年生)の場合は、以下のいずれかに該当する必要があります。

●高校の評定平均値が3.5以上
●入学試験の成績が入学者の上位1/2以上
●高卒認定試験の合格者
●学修計画書を提出して学修意欲や目的、将来の人生設計などを確認

このような基準が設けられています。
  

世帯年収が460万円以下であれば入学金・授業料の免除・減額を受けられる

 
大学無償化(高等教育の修学支援新制度)は、住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生(両親・19~22歳の本人・高校生の4人世帯の場合)で世帯年収が460万円以下だと3分の1の支援を受けられる可能性があります。世帯年収が400万円以下の場合は3分の2です。住民税非課税世帯の学生で世帯年収が300万円以下の場合には支援金は満額となります。
 
ただし、家族構成や年齢などで条件が変わります。日本学生支援機構のホームページにある「日本学生支援機構 進学資金シミュレーター」を使えば、支援対象になるか、どれくらい支援を受けられるのか、把握することが可能です。
 
大学無償化に興味がある方は、自分が対象となるか確認してみましょう。
 
出典
文部科学省 学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援新制度
文部科学省 支援措置の対象となる学生等の認定要件について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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