更新日: 2022.04.07 その他暮らし
もう誰も住まない故郷の実家。維持するのに一体いくら経費がかかる?
そんな空き家と化した実家を維持していくには、年間いくらの経費がかかるのか、空き家の維持における年間経費について考えてみます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
空き家の維持費にはどんなものがある?
空き家の維持にかかる経費としては主に次のようなものがあります。
●固定資産税
●都市計画税
●水道光熱費
●管理や修繕費といった維持費
上記を合計すると空き家の維持費には10万円を超えるどころか、一時的に100万円を超える年が生じることもあります。では、その内訳について簡単にみていきます。
固定資産税
固定資産税とは土地や建物を所有している方に発生する税金で、おおむねその土地や建物の価値に応じて高くなります。固定資産税は空き家であっても、空き家とその土地部分の両方に生じます。
空き家自体にかかる固定資産税は構造や広さなどによって決定される固定資産税評価額に、自治体が定める一定の税率(東京都多摩市の場合1.4%)をかけて算出します。実家ということで築年数が数十年の古い空き家の評価額が500万円程度だという場合、空き家自体の固定資産税は年7万円ほどになります。
土地についても建物同様に固定資産税評価額に自治体が定める一定の税率(東京都多摩市の場合1.4%)をかけて算出します。しかし、住宅用の土地の場合、図表1のような特例が適用できます。
図表1
出典:多摩市 土地の固定資産税・都市計画税
例えば、200平方メートル以下の土地で価格が1800万円の場合、年間の固定資産税は4万2000円で、土地建物合わせて11万2000円かかるということになります。
基本的にどんな古い空き家であっても固定資産税評価額が0円になることはないため、築40年近くあって買い手がない、値段がつかないという状態であっても固定資産税はかかるものだと考えてください。
なお、評価額は空き家や土地が存在する市区町村役場で調べることができます。
都市計画税
空き家が都市計画区域に存在する場合、都市計画税が固定資産税のように生じます。空き家自体にかかる都市計画税は固定資産税評価額の0.2%(東京都多摩市の場合)となるため、先の固定資産税の計算時と同じ条件で500万円の空き家なら、都市計画税は年間で1万円かかるということになります。
土地にかかる都市計画税は200平方メートル以下で、価格が1800万円というような場合、評価額が3分の1になる特例が適用され、そこに税率0.2%(東京都多摩市の場合)をかけるため、年間1万2000円となります。
すると、土地建物合計で年間2万2000円の都市計画税がかかることになります。都市計画区域にあるか否かは市区町村役場に問い合わせることで確認することができます。
水道光熱費
空き家とはいえ電気やガス、水道の契約がそのままだと使われなくても基本料金が発生します。これらは地域や契約先の事業者などによっても異なりますが、おおむね年間3~4万円程度になります。
管理・修繕費・その他の維持費
家は使われずに放置されていると、劣化が通常よりも早くなります。ちょっとした修理や掃除など自分でできるものであればよいのですが、庭木の剪定や屋根の修理、外壁のメンテナンスなど業者に頼む必要があるものとなると、数万~数十万円単位のお金が必要になることもあります。
さらに、空き家が遠隔地にあるという場合、空き家の管理のために通う交通費だけで数万円かかるということもあるでしょう。
なお、管理不足で空き家が倒壊したりするなどして他人に被害を及ぼした場合、その損害を賠償する責任を負うことになる可能性もあるため、空き家の管理は非常に大切になります。
まとめ
誰も住んでいない空き家となっている故郷の実家でも、ただそこにあるだけで税金などの経費がかかります。家の場所や広さ、痛み具合の状況などによっては年間10万円以上の経費がかかることも珍しくありません。
空き家は放置することで無駄な経費がかかるだけでなく、治安悪化など社会問題にも発展します。現在空き家を抱えられている方は、一度空き家についてどうするか考えてみてください。
出典
多摩市 土地の固定資産税・都市計画税
多摩市 家屋の固定資産税・都市計画税
執筆者:柘植輝
行政書士