更新日: 2022.04.06 子育て

コロナ禍での子育て。ひとり親家庭が受けられる国の支援とは?

執筆者 : 新井智美

コロナ禍での子育て。ひとり親家庭が受けられる国の支援とは?
コロナ禍において、おひとりで子どもを育てながら働く女性や男性はたくさんいます。そのようなひとり親を支える国の支援策にはどのようなものがあるのでしょうか?
 
既存の制度でも、コロナ禍において特例措置を設けている制度もあります。今回は、コロナ禍におけるひとり親を支える国の支援について解説します。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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児童手当

児童手当とは、中学卒業までの児童を養育している親に対して支給されるものです。
 
所得制限が設けられていますが、その要件を満たせば受給できます。受給額は3歳までであれば1人1万5000円、中学生になると1人1万円です。
 
児童手当を受給するには、最初(出生や転入した日から15日以内)に認定請求を行う必要がありますが、新型コロナウイルス感染症の影響で認定請求ができなかった場合は、請求できない事由が解決した後15日以内に申請することで、申請できなかった翌月から手当てを受けることができます(※1)。
 
(出典:内閣府「児童手当制度のご案内」:※2)
 

児童扶養手当

児童扶養手当は、ひとり親世帯などに支給される手当てで、児童手当と同様に所得制限が設けられています。
 
支給される額は所得によって異なりますが、全部支給の場合であれば月額4万3160円、一部支給でも最大4万3150円が支給されます。
 
また、こちらも申請手続きが必要ですが、新型コロナウイルス感染症の影響で請求できなかった場合は、猶予期間が設けられています(※1)。
 
(出典:厚生労働省「児童扶養手当制度の概要」:※3)
 

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度

こちらも既存の制度ですが、新型コロナウイルス感染症の影響で子どもが通っている保育所や学校が休園・休校した場合に、仕事を休まなければならず、結果的に収入減につながるケースがあります。
 
そのような状況を鑑み、厚生労働省は、母子父子寡婦福祉資金貸付金制度の中にある「生活資金」の利用を呼びかけています。
 
母子父子寡婦福祉資金貸付金は、20歳未満の子どもを養育するひとり親、もしくは寡婦が利用できる制度で、住んでいる自治体の福祉窓口に申請することで利用が可能です。
 
貸付資金の種類は多岐にわたり、「事業開始資金」「事業継続資金」「修学資金」「技能習得資金」「修業資金」「就職支度資金」「医療介護資金」「生活資金」「住宅資金」「転宅資金」「就学支度資金」「結婚資金」があります。
 
この中でも、コロナ禍で働くひとり親が利用しやすいのは「生活資金」でしょう。
 
「生活資金」は、ひとり親や寡婦が利用でき、ひとり親になって7年未満の生活安定のために必要な資金や、失業中の生活安定のために必要な資金を借りることができます。
 
生活安定期間における貸し付けは、ひとり親になったときから7年を経過するまでの期間、一般の場合で、月額10万5000円、合計252万円を限度に借りることができますし、失業中でも月額10万5000円までを借りることができます。
 
返済期間は生活安定のためであれば8年以内、失業が原因のものであれば5年以内などと定められていますが、新型コロナウイルス感染症の影響で返済が困難なひとり親や寡婦については、その返済期間を最長1年間延ばしてもらうことができます。
 
また、返済を延ばしてもらった期間についての利息は掛からないことになっています(※4)。
 
(出典:内閣府 男女共同参画局「母子父子寡婦福祉資金貸付金」:※5)
 

生活福祉資金貸付制度における緊急小口資金等の特例貸付

また、生活福祉資金貸付制度では、緊急小口資金などの貸し付けについて特例措置を設けています。
 
この緊急小口資金は、主に休業した人に向けた貸付制度ですが、新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減少した人においては、休業していなくても借りることができます。
 
貸付上限額は、特例により従来の10万円よりも多い20万円以内となっており、以下の条件のいずれかに該当する人が利用できます。

●世帯員の中に新型コロナウイルスに感染した人がいる
●世帯員に要介護者がいる
●世帯人数が4人以上である
●世帯員に、新型コロナウイルス感染症の影響で休園もしくは休校した子どもの世話が必要になった労働者がいる
●世帯員に新型コロナウイルスに感染した人がおり、その影響で小学校などに通う子どもの世話が必要となった労働者がいる
●休業などで収入が減り生活費用の貸し付けが必要である

返済期間は2年となっており、無利子・保証人なしで借りることができます。
 
申込先は自治体の社会福祉協議会となっていますので、当てはまる際には申請してみましょう。なお、この特例の申請期間は、2022年6月末まで延長されています。
 
(出典:厚生労働省「緊急小口資金について」:※6)
 

まとめ

コロナ禍で働くお母さんやお父さんを支える国の支援は多くあり、さらに自治体が独自で行っている支援策もあります。
 
これらの支援を受けるにあたっては申請が必要ですが、申請の方法や期限についても柔軟な対応が取られています。
 
また、家賃が払えず今後の住まいに不安がある人に対して「住宅確保給付金(※7)」の制度も設けられています。
 
今の自分たちに必要な支援を確認し、必要に応じて申請を行い利用してみましょう。
 
出典
(※1)厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課 新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため受給資格者が児童扶養手当の受給に必要な届出が提出できない場合等の対応について(令和2年3月9日付)
(※2)内閣府 児童手当制度のご案内
(※3)厚生労働省 児童扶養手当制度の概要
(※4)厚生労働省子ども家庭局 新型コロナウイルス感染症の発生に伴う母子父子寡婦福祉資金貸付金の償還金の支払猶予等の取扱いについて(令和2年3月19日)
(※5)内閣府 男女共同参画局 母子父子寡婦福祉資金貸付金制度
(※6)厚生労働省 緊急小口資金について
(※7)厚生労働省 住居確保給付金
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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