更新日: 2022.04.07 子育て
新型コロナウイルスで生活が困難に…学生が受けられる経済支援とは?
そのような学生に対して、さまざまな経済支援策が設けられています。なかには2021年のみ実施された支援策もありますが、今後の状況によっては2022年も行われるかもしれませんので、情報としてご紹介します。
※3月31日執筆時点の情報です。
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金
学生の中では、親御さんなどからの仕送りが少なく、自分で生活費をアルバイトでまかなっている人も多いでしょう。
そのような場合、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でアルバイト先が休業してしまったら、収入が入らず生活することができなくなってしまいます。そのような状況に対応するため、国は休業支援金や給付金などを支給しています。
■支援の概要
この「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」の制度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で休業を余儀なくされた従業員が、事業主から休業手当を受けられなかった場合において、国が支援を行うものです。
対象者は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、休業を余儀なくされ、さらに事業主から休業手当の支払いを受けることができなかった方で、学生アルバイトも対象です。
さらに休業の要件には、まん延防止措置の影響で休業した場合も含まれ、勤務時間の短縮やシフト削減も対象となります。
従業員からでも直接請求できることから、休業のあおりを受けているにも関わらず休業手当を受けられていない学生にとっては、非常に助かるものだといえます。
支援割合は休業前の賃金の80%となっており、上限額(1日あたり最大で1万1000円)が定められています。
(出典:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」:※1)
緊急雇用安定助成金
経済的な理由で事業の継続が難しくなり、休業を行った事業主は、労働者に対して休業手当を支払う必要があります。
ただし、その支払いが難しい事業者も多く存在することから、国は「雇用調整助成金」という名目で事業主に対して助成を行っています。
ただ、「雇用調整助成金」の対象となるのは雇用保険の被保険者であり、学生アルバイトなど雇用保険被保険者以外は対象外です。
しかし、今回の新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、休業手当を受けられない学生が急増したことから、「緊急雇用安定助成金」の制度が設けられることになりました。
この「緊急雇用安定助成金」は、学生アルバイトや雇用保険の被保険者ではない方に支払う休業手当を対象とした助成制度です。
■支援の概要
休業により、売上高などが前年もしくは前々年の同時期に比べて30%以上減少していることや、緊急事態宣言やまん延防止措置などのために営業の短縮に協力した事業主が対象となります。
給付金は最大1人あたり1日1万5000円となっており、対象となる企業に対して助成が行われます。したがって、学生などの労働者側が請求することができない点に注意が必要です。
(出典:厚生労働省「緊急雇用安定助成金 支給申請 マニュアル」:※2)
学生等の学びを継続するための緊急給付金
これは2021年度に行われた支援で、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって、生活が厳しい状況にある学生に対して一律10万円が支給されたものです。
■支援の概要
給付金を受け取れる対象となる学生は、以下の条件のいずれかに当てはまる必要がありました
●「高等教育の修学支援新制度」の利用者であること
●「原則として自宅外から通学している」「家庭から多額の仕送りを受けていない」「家庭の収入が減少したことにより、家庭からの支援を受けられない」などといった状況を総合的に判断し、支援が必要だと大学が認めた学生であること
●新型コロナウイルス感染症により、アルバイト収入に影響を受けていること
高等学校の就学支援制度の利用者の場合は、申請不要で給付金を受け取ることができましたが、それ以外の学生は学校に対して申請を行う必要がありました。
2022年も実施されるかどうかは、現時点ではまだ決まっていません。
(出典:文部科学省「学生等の学びを継続するための緊急給付金」:※3)
日本学生支援機構の貸与型奨学金
こちらも2021年に行われた支援で、2022年の実施について現時点では発表されていません。
この「日本学生支援機構の貸与型奨学金」については、2021年に緊急的に無利子で貸与を行いました。
■支援の概要
自宅外通学の学生で、アルバイトなどで生計を立てていた学生に対し、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によるアルバイトの収入が減ったことで、学費などを支払うことが困難になった際に、本来なら有利子で貸与する奨学金について、利子分を国が補てんすることにより実質無利子で利用できることになりました。
この支援の対象となる学生の条件は、以下に挙げる要件をすべて満たす必要があります。
●有利子の奨学金(第二種奨学金)を受ける要件を満たしていること
●推薦を受けた際に有利子の奨学金を利用していないこと
●家庭から多額の支援(年間150万円以上)を受けていないこと
●本人の生活費や学費に占める、アルバイト収入の割合が高いこと
●アルバイトの収入が新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって激減していること
支援金は月額2万円から12万円の間(1万円単位)で選択することができ、支援を受ける際には、大学を通して日本学生支援機構に申し込むことになっています。
(出典:日本学生支援機構「『緊急特別無利子貸与型奨学金』について」)
まとめ
家庭からの援助がなかなか得られず、アルバイトをしながら学業に励んでいる学生において、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で収入が減り、生活費や学費の支払いにまで影響が及ぶことに対し、国としてもさまざまな支援策を設けています。
以前から設けられている支援策について延長を繰り返しているものもあれば、2021年に実施され、2022年の実施は未定となっている支援策もあります。
もし、今後実施される場合であっても、支援の内容が2021年と若干異なる可能性もあることから、今後の学生に対する給付や支援策については、こまめにチェックしておくようにしましょう。
出典
(※1)厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金
(※2)厚生労働省 緊急雇用安定助成金 支給申請 マニュアル
(※3)文部科学省 学生等の学びを継続するための緊急給付金
独立行政法人日本学生支援機構
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員