更新日: 2022.04.12 子育て
年収1000万円の子育て世帯は児童手当がカット・幼保無償化は対象!結局生活は厳しい?
年収1000万円世帯となると、児童手当などを満額受けることはできない可能性があります。子育て・教育費用は高額なため「年収1000万円だから」と安易に私立を選ぶと、経済的に厳しくなる恐れがあるので注意が必要です。
ここでは、年収1000万円世帯の児童手当や幼保無償化、教育費用相場などについて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
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年収1000万円の児童手当と幼保無償化
年収1000万円の場合、児童手当が通常より少ない特例給付の対象となる可能性があります。特例給付の対象になると、児童手当の支給額は児童1人あたり月額5000円です。
児童手当を受け取れる期間すべて特例給付対象だとすると、特例給付でない場合と比べて児童1人あたり108万円も受給額は少なくなります。
ここでは、年収1000万円の児童手当と幼保無償化の内容について見ていきましょう。
児童手当は特例給付で一律5000円の可能性
児童手当は、0歳〜中学校修了前(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方を対象とし、生活の安定や児童の健全な育成に資することを目的として支給する手当です。支給時期は年3回(2月・6月・10月)で、支給額は図表1のとおり、1人あたり月額1万〜1万5000円です。
図表1
児童の年齢 | 児童手当の支給額 (1人あたり月額) |
---|---|
3歳未満 | 一律1万5000円 |
3歳以上 小学校修了前 |
1万円 ※第3子以降は1万5000円 |
中学生 | 一律1万円 |
※内閣府「児童手当制度のご案内」より
ただし、受給者の所得が、図表2の所得制限限度額以上の場合は、月額5000円の特例給付となる場合があります。
図表2
扶養親族等の数 | 所得額 | 収入額目安 |
---|---|---|
0人 | 622万円 | 833万3000円 |
1人 (児童1人 など) |
660万円 | 875万6000円 |
2人 (児童1人 + 年収103万円以下の配偶者 など) |
698万円 | 917万8000円 |
3人 (児童2人 + 年収103万円以下の配偶者 など) |
736万円 | 960万円 |
4人 (児童3人 + 年収103万円以下の配偶者 など) |
774万円 | 1002万円 |
5人 (児童4人 + 年収103万円以下の配偶者 など) |
812万円 | 1040万円 |
※内閣府「児童手当制度のご案内」より
このように、年収1千万円世帯は、児童1人あたり1万〜1万5000円の児童手当が特例給付(月額5000円)となる可能性があります。
通常、児童手当を全期間受け取る場合の金額は198万円(1万5000円×12ヶ月×3年+1万円×12ヶ月×12年)です。しかし、特例給付の対象となると、受け取れる金額は90万円(5000円×12ヶ月×15年)になり、児童1人あたり108万円の差が生じることになります。
幼児教育・保育の無償化の対象は3~5歳児
2019年にスタートした幼児教育・保育の無償化(幼保無償化)は、子育て世帯の負担減と少子化対策を目的とした制度です。幼稚園や保育所、認定こども園などの教育費や保育料が無償になります(負担がゼロになるわけではありません)。
対象は3歳〜5歳児クラスの子どもです。
※制度の対象とならない幼稚園は月額2.57万円までとなります。
年収1000万円の手取り額相場
「年収1千万円」は、手元に1000万円入ってくるわけではありません。年収1000万円でも、実際に手元に入ってくる金額は所得税や社会保険料などを差し引いたあとの手取り額です。税金や控除額は世帯によって異なります。
参考までに、以下は夫の年収が1000万円、妻が専業主婦の場合の所得税と住民税です。
※社会保険料は年収の15%(150万円)と仮定
※住民税は所得の10%で計算
課税所得:569万円
(計算)1000万円−給与所得控除195万円−社会保険料控除150万円−配偶者控除38万円−基礎控除48万円
所得税額:71万円(千円未満切り捨て)
(計算)課税所得569万円×20%(所得税率)−控除42万7500円
課税所得:579万円
(計算)1000万円−給与所得控除195万円−社会保険料控除150万円−配偶者控除33万円−基礎控除43万円
住民税額:57万9000円
(計算)課税所得579万円×10%
手取り額:722万1000円
(計算)1000万円−社会保険料150万円−所得税71万円−住民税56万9000円
上記のとおり、手取り額は約722万円となります。
※概算となりますので実際とは異なる場合があります。
子育て・教育費用の相場とは?
文部科学省「平成30年度子供の学習費調査」によると、幼稚園、小学校、中学校、高校にかかる年間費用は図表3のとおりです。
図表3
年間費用 | |
---|---|
公立幼稚園 | 22万3647円 |
私立幼稚園 | 52万7916円 |
公立小学校 | 32万1281円 |
私立小学校 | 159万8691円 |
公立中学校 | 48万8397円 |
私立中学校 | 140万6433円 |
公立高校 | 45万7380円 |
私立高校 | 96万9911円 |
※費用は1年間の「学習費総額(学校教育費+学校給食費+学校外活動費)」
また、日本政策金融公庫「令和元年度 教育費負担の実態調査結果」によると、大学にかかる教育費の総額は図表4のとおりです。
図表4
国公立大学 | 499万4000円 |
私立大学文系 | 717万円 |
私立大学理系 | 821万7000円 |
※入学費用や在学費用を含みます。
幼稚園〜大学まで、すべて国公立に通う場合でも教育費の総額は1000万円を超えます。すべて私立の場合は2000万円以上です。年収1000万円世帯でも、負担は大きいでしょう。
年収1000万円でも十分な余裕があるわけではない
年収1000万円でも幼保無償化は対象です。子どもの幼稚園や保育所などの費用負担を軽減できます。児童手当は所得制限により特例給付の対象となる可能性があります。特例給付の場合は、児童1人あたり月額5000円の支給です。
子育て・教育費用はまとまった金額となるため、年収1000万円世帯でも十分な余裕がない可能性があります。将来のためにも、散財はせず、計画的に支出管理や貯蓄を行うようにしましょう。
出典
文部科学省「平成30年度子供の学習費調査」
日本政策金融公庫「子ども1人当たりにかける教育費用(高校入学から大学卒業まで)が減少」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー