更新日: 2022.04.15 その他暮らし
安価な費用が決め手!民間のオンライン離婚調停の利用実態。養育費の支払状況は?
現在、家庭裁判所ではなく、法務大臣の認証を受けた民間調停機関にて、離婚を始めとしたさまざまな調停を行う人も増えているようです。
裁判というとお金が掛かる印象もありますが、では、民間調停機関はどうなのでしょうか?
オンライン調停も取り扱う「家族のためのADRセンター」を運営する、一般社団法人「家族のためのADR推進協会」が発表した調査結果(※1)をみてみましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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民間のオンライン離婚調停を選んだ理由は「安価」「利便性」「公平・中立性」
この調査は、「家族のためのADRセンター」の過去3年間の利用者94名を対象に行われたもの。
ちなみにADRとは、裁判外紛争解決手続の英語の略で、裁判によらずに法的なトラブルを解決する方法、手段などの一般の総称です。(※2)
もちろん、法務大臣の認証を受けている機関のため、調停者は弁護士、元家庭裁判所調査官、家裁調停委員といった法律の専門家。裁判という大げさな手続きを回避し、専門家に仲介してもらいつつ、穏やかに話し合いをしたい人向けといえます。
さて、まずは民間調停機関を選んだ理由をみてみましょう。
1位:弁護士に比べて費用が安価 68.1%
2位:公平・中立性 66.0%
3位:利便性(土日利用可・オンライン可) 63.8%
4位:早期解決が見込める 60.6%
5位:同席で話ができる 35.1%
およそ7割の人が、弁護士に相談して家庭裁判所に調停を申し立てるよりも、費用が安価と回答しています。また、公平・中立性が保たれており、土日やオンラインでも臨めるという利便性が高く評価されていることも分かります。
一般的な家庭裁判所での離婚調停は、月1回程度しか話し合うことができませんが、ADRでは頻度を任意で決めることができます。そのため、早期解決が見込めるという点も決め手となっているようですね。
さらに、オンライン調停を利用した理由は以下のとおり。
1位:相手と同じ空間にいなくて済むから 53.4%
2位:新型コロナ感染症対策 34.5%
3位:遠方に住んでいた 32.8%
3位:移動時間省略のため 32.8%
5位:相手の希望 19.0%
半数以上の人が、相手と同じ空間にいなくていいところを評価しています。やはり離婚する相手ですから、できれば一緒にいたくない、気まずいと思う人が少なくないのかもしれません。
また、このご時世らしい感染症対策や、すでに別居などで遠方に住んでいるなどの理由で、オンライン調停を選んだ人もいるようです。
対面の方が相手の感情が読みやすい、言いたいことが言えるという人もいれば、オンラインのほうが気負わず臨める、リアルに会わなくて済んでよかったという人も。
ただ同調査によると、当該機関の約9割の調停がオンラインにて行われているとのことですから、ニーズはかなり高いということでしょう。
養育費の支払い継続率は、家庭裁判所よりも民間調停機関のほうが高い!
離婚調停で気になることといえば、慰謝料や養育費などの取り決めです。民間のオンライン調停を経て離婚が成立した後、養育費はきちんと支払われているのでしょうか?
養育費の前に、当該機関における離婚調停の結果をみてみましょう。
・成立 85.1%
・不成立 13.8%
同調査によると、例年の司法統計では家庭裁判所の離婚調停の成立率は、50%に満たないことがほとんどとのこと。これを考えると、民間調停機関の離婚成立率は、かなり高いということが分かります。
肝心の養育費については以下のとおり。
・現在も支払われている 67.5%
・途中で滞った 17.5%
・その他 15.0%
同調査によると、厚労省が平成28年度に実施した全国ひとり親世帯等調査結果報告では、家庭裁判所利用者の養育費の継続率は50%前後とのこと。
これを考えると、民間調停機関で取り決めた方が、支払いが継続しているといえます。話し合いで、双方がしっかり納得のいく金額に落とし込めたということでしょうか。
家庭裁判所で大々的に争うのではなく、民間機関で専門家の仲介を受けて、当事者が主体的に話し合うという方法が、双方納得の穏便な離婚成立へと導いているのかもしれません。
出典
※1 一般社団法人 家族のためのADR推進協会「オンライン離婚調停利用者アンケート結果公開 コロナ禍における離婚問題の新しい解決方法」
※2 法務省かいけつサポート 裁判外紛争解決手続(ADR)について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部