更新日: 2022.04.17 その他暮らし

高齢の親がいつの間にか高額商品を買っていた! すぐに取るべき対応とは

高齢の親がいつの間にか高額商品を買っていた! すぐに取るべき対応とは
高齢の親が必要のない高額商品を買ってしまったとき、対応が早ければその商品について相手に返還できる可能性があることをご存じでしょうか。高齢の親が不必要な高額商品を買ってしまったとき、すぐ取るべき対応について紹介します。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
◆お問い合わせはこちら
https://www.secure-cloud.jp/sf/1611279407LKVRaLQD/

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

クーリングオフについて検討する

クーリングオフとは、自宅への訪問販売や、キャッチセールスなどで、自発的でなく本人にとって不意打ちともいえるような状況で購入した商品やサービスについて、一定期間であれば無条件で解約することができる制度で、特定商取引法によって規定されています。
 
例えば、親が高額な商品を買ったきっかけが、セールスマンが自宅に突然やってきてその場で買わされた、当然電話がかかってきてそこで購入させられた、町を歩いていたら声をかけられお店や喫茶店に連れ込まれた、などで高額な商品を買ってしまった場合、このクーリングオフが適用される可能性があります。
 
クーリングオフが適用されると代金を支払って商品と契約書を受け取った後でも、書面にて申し出ることで、何ら負担なく契約を解除して商品を返品できます。しかし、クーリングオフは契約書を受け取ってから一定期間内にすることが定められており、その期間を過ぎると原則クーリングオフができなくなります。
 

状況 期間
訪問販売 8日間
電話勧誘販売 8日間
特定継続的役務提供
(パソコン教室など)
8日間
連鎖販売取引
(いわゆるマルチ商法)
20日間
業務提供誘引販売取引
(内職商法やモニター商法など)
20日間

※筆者作成
 
クーリングオフについては消費者ホットライン(電話番号:188)に連絡することで個別に具体的な相談が可能です。なお、クーリングオフは自発的な買い物には適用されません。例えば、自らお店に行った場合や、インターネット通販などの買い物には原則適用されない点にご注意ください。
 
そういった場合は他の法令による解約が可能であったり、店舗やサイトに問い合わせてその事業者の定めるルールに従って契約を取り消したりできる場合があります。
 

消費者契約法に基づく取り消し

消費者契約法による取り消しとは、だまされたり、故意に重要なことについて伏せられていた、意図的に勘違いさせられた、買うまで帰さないと言われ店舗に監禁されたり、買うまで帰らないと自宅に居座られてしぶしぶ契約したような場合に、契約を取り消して商品を返品できる仕組みです。
 
消費者契約法に基づく取り消しの場合、クーリングオフのように不意打ちでなく自らお店に行って契約して購入した場合や、インターネット通販の購入でも商品の返品が可能なことがあります。そのため、クーリングオフが適用できない場合はこちらを検討します。
 
消費者契約法に基づく取り消しであれば、契約を取り消すことができると認識したところから1年間、または契約の成立から5年間は取り消すことができるため、クーリングオフよりも広く利用することができます。詳細については消費者ホットライン(電話番号:188)に連絡することで確認することができます。
 

意思能力の不在に基づく取り消し

そもそも、親が認知症などで正常に物事が認識できていないという場合、形式上売買が成立したように見えても、意思能力がないとして、民法によって契約が無効とされることがあります。
 
また、親が成年被後見人など制限行為能力者となっている場合、その親の面倒を見る後見人から、取消権に基づいて契約を取り消しすることができる場合もあります。こういった意思能力の不在に基づく取り消しは個人では判断が難しいこともありますので、消費者ホットライン(電話番号:188)に相談するほか、弁護士へ相談することをおすすめします。
 

親が高額商品を買ってきた場合でも驚かず冷静に法的解決を

高齢となって判断能力が衰えた親が、ある日突然高額商品を買っていたとしても、状況次第ではそれを取り消すことが可能な場合があります。
 
しかし、そういった場合、多くは早期に、かつ、適切な対応を取ることが必要になります。親が突然高額商品を買ってきたときでも慌てず、まずは落ち着いて状況を整理し、消費者ホットラインや身近な弁護士へ相談することをおすすめします。
 
出典
e-gov 特定商取引に関する法律
e-gov 消費者契約法
e-gov 民法
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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