子どもの教育費の援助を親に頼むとき、注意しておくべきポイントとは?

配信日: 2022.04.20

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子どもの教育費の援助を親に頼むとき、注意しておくべきポイントとは?
子どもの教育費が予想以上に掛かる場合、入学金や新生活に掛かる費用の一部資金援助を親(子どもの祖父母など)に頼むこともあるかもしれません。
 
こうした援助を受けた場合、金額やその援助の内容によっては、贈与税が発生する可能性があります。
 
このような場合に利用できるのが「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置制度」。しかし、こちらも利用にあたって注意しておくべきポイントがあります。
 
今回は、子どもへの教育費を親に援助してもらう際の注意すべきポイントについて、さまざまな視点から解説します。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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贈与税が掛からない場合がある

通常、贈与税は贈与を受けた財産に対して課税されますが、その財産の性質によっては贈与税が課税されないケースがあります。それは一体、どのようなケースなのでしょうか。
 
1.法人からの贈与を受けた場合
贈与税は個人間の財産贈与に対して課税される税金です。したがって、法人からの贈与は贈与税の対象にはならず、所得税の対象となります。
 
2.親子間や夫婦間、さらには兄弟姉妹などの扶養義務者から、通常必要と認められる範囲で受け取る財産
この通常必要と認められるものについては、教育費用や生活費用に充てるための資金も含まれます。
 

■注意すべきポイント

上記の2のケースのように、子どもの教育費の援助を親に頼む場合は贈与税が掛かりません。
 
ただし、贈与税が掛からないポイントとして、「必要な都度、直接生活費や教育費として充てられるものに限る」点を押さえておきましょう。
 
したがって、まとめて援助を行うのではなく、例えば入学費用や生活費用など、その都度必要な額を援助することがポイントです。4年間分の生活費を一括で渡してしまうと、贈与税の対象になってしまいます。
 

直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税

その都度援助を行うのが面倒だと考えるなら、「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」制度を利用しましょう。
 
ただし、この制度の利用にあたっては、さまざまな決まりがあります。それらの内容をしっかりと理解して利用するようにしてください。
 

■教育資金口座を開設しなければならない

この制度の利用にあたっては、新たに教育資金口座を開設し、さらに金融機関を通じて「教育資金非課税申告書」を受贈者の管轄である税務署に提出しなければなりません。
 
その手続きは、教育資金口座開設日(信託や預け入れなどをする日)までとなっています。
 
通常は、口座開設日に金融機関に申告書を提出することで管轄の税務署が受理したとみなされますが、「口座の開設」そして「教育資金非課税申告書の提出」を、同時に行わなければならない点に注意しておきましょう。
 

■口座からの払い出し方法を選択しなければならない

教育資金口座から教育資金を引き出す場合、以下のどちらかの方法を選択する必要があります。

1.教育資金を支払った後、その実際に支払った金額を口座から払い出す方法
2.1以外の方法

 

■領収書を提出しなければならない

上記で選んだ方法によって定められた期限までに、領収書を金融機関に提出する必要があります。
 
期限は、1の方法を選択した場合であれば、その領収書などに記載されている支払年月日から1年以内。1以外の方法を選択した場合は、その領収書などに記載されている支払年月日の翌年3月15日までとなっています。
 

■契約が終了したときに贈与税、もしくは相続税が発生するケースがある

教育資金口座に関わる契約が終了するケースは、主に以下のいずれかに該当し、それぞれに定める日のいずれか早い日に終了します。

1.受贈者が30歳になった(この時点で在学中であれば40歳まで延長可能)
2.受贈者が死亡した
3.教育資金口座の残高が0円になった

などです。
 
そして、1の場合のように契約が終了した時点で贈与者そして受贈者が生存しており、非課税拠出額から教育資金支出額を控除した額に残高がある場合、その残高に対して贈与税が発生します。
 
さらに、贈与者が死亡した場合も、当然契約は終了となります。
 
その際には、令和3年4月1日以後にこの制度の適用を受けた場合や、平成31年4月1日から令和3年3月31日までの間、取得したもののうち、その贈与者の死亡前3年以内に取得したものでないもの、あるいは、贈与者の死亡日において受贈者が23歳未満である場合や学校などに在学している場合を除き、その残額に対して相続税が課税されます。
 
さらに、受贈者が孫である場合は、相続税の2割加算の対象となる点にも注意が必要です。
 

まとめ

子どもの教育費用を親や祖父母が援助する際には、贈与税の対象とならない場合があります。
 
ただ、その要件を満たす(都度援助を行う)必要があり、それを面倒に感じる人は、「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」制度を利用するとよいでしょう。
 
ただし、利用開始や利用中もさまざまな手続きが発生し、それを煩わしいと思う人もいるかもしれません。
 
都度援助と非課税制度のメリット、そしてデメリットを理解し、自分たちが利用しやすい方法で援助を受けるようにしてください。
 

出典

(※1)国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.4405 贈与税がかからない場合
(※2)国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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