「もしも一家の大黒柱が働けなくなったとき」妻と子を支えてくれるのはどんな制度?
配信日: 2022.04.22
この記事では、そんなときに家族の生活を支える、頼りとなる制度について紹介します。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
障害年金
病気やけがで障害を負ってしまった場合、障害の状態に応じて障害年金が支給されます。
要件を満たした国民年金加入者であれば「障害基礎年金」、厚生年金加入者であれば「障害厚生年金」の対象となりますが、障害基礎年金には1級と2級、障害厚生年金には1級から3級があり、該当する等級の年金が受け取れます。
なお、障害厚生年金は3級に該当しない軽度の障害状態でも、一時金に当たる障害手当金が給付されることがあります。
詳細については住所地の市区町村役場や最寄りの年金事務所、または街角の年金相談センターへご確認ください。
傷病手当金
会社員などで勤務先の健康保険へ加入している方が、病気やけがで休業した場合に、傷病手当金が支給されます。傷病手当金は、最長で1年6ヶ月の期間の受給が可能です。
傷病手当金を受け取るためには、業務外の事由による病気やけがで連続する3日間の休業を挟んだ4日目以降、仕事に就くことができず、その間の給与が発生しないといった要件を満たすことが必要です。
詳細については勤務先や加入している健康保険組合へお問い合わせください。
雇用保険の基本手当
働けなくなった理由が自主退職や契約の満了、更新拒否、解雇、勤務先の倒産などで、失業の状態にある場合に受けられるのが、雇用保険の基本手当です。
こちらは、ハローワークを通じて求職活動をしているなど、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるのにもかかわらず、職業に就くことができない「失業の状態」にあることが要件となります。
基本手当の受給には、原則として離職の日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12ヶ月以上あることが必要となり、年齢や被保険者期間に応じて90日から最長330日の期間、退職前の賃金を基に算定した基本手当の給付を受けられます。
なお、倒産や解雇などによる離職の場合、受給対象となる雇用保険の被保険者期間は離職の日以前1年間で通算して6ヶ月以上に短縮されます。
詳細については最寄りのハローワークへご相談ください。
遺族年金
万が一、家族の生活を支える方が亡くなってしまったとき、遺族に支給されるのが遺族年金です。
一定の要件を満たしている場合、亡くなった方が国民年金被保険者であれば、死亡時に生計を維持されていた子がいる配偶者、または子は「遺族基礎年金」を受け取れます。また、亡くなった方が厚生年金被保険者の場合は、対象となる遺族の方には遺族基礎年金に上乗せして「遺族厚生年金」が支給されます。
詳細については市区町村役場、最寄りの年金事務所や街角の年金相談センターへお問い合わせください。
生活福祉資金の特例貸付
新型コロナウイルスの影響により働けなくなった場合、生活福祉資金の特例貸付を受けられることがあります。
休業などで収入が減少し、一時的に生計の維持が困難となった方は「緊急小口資金」、失業や長期にわたって収入が減少した方は「総合支援資金」の貸付の対象となります。
緊急小口資金の貸付限度額は20万円です。一方、総合支援金は2人以上世帯で月20万円、単身世帯で月15万円を上限として、原則3ヶ月以内の貸付を受けられます。なお、これらは無利子で保証人も不要ですが、貸付時の内容に従って一定の期限までに返済していく必要があります。
詳細については、最寄りの市区町村社会福祉協議会へご相談ください。
まとめ
一家を支える大黒柱の方が何らかの事情によって働けなくなってしまっても、家族の生活を守るためのさまざまな公的制度が用意されています。
また、支援制度については今回紹介した以外にもあるため、万が一、生活が苦しくなってしまったときは、市区町村役場や社会福祉協議会などを頼ってみてください。利用できる制度の案内を受けられる場合があるので、まずは相談してみましょう。
出典
日本年金機構 障害年金
全国健康保険協会 病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)
ハローワーク インターネットサービス 基本手当について
日本年金機構 遺族年金
厚生労働省 生活福祉資金の特例貸付
執筆者:柘植輝
行政書士