更新日: 2022.04.29 その他暮らし

突然クビにされたらお金がもらえる? 解雇予告手当の金額や条件を解説

突然クビにされたらお金がもらえる? 解雇予告手当の金額や条件を解説
働いていた会社から一方的にクビを宣告されたとき、伝えられた日が突然すぎるタイミングだった場合、原則として「解雇予告手当」が受け取れます。例えば、解雇される日の数日前や1週間前などです。
 
今回は、解雇予告手当を受け取る条件や金額などを解説します。また、事業者が払ってくれない場合の対処法も紹介します。
棚田将史

執筆者:棚田将史(たなだ まさふみ)

2級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員1種

解雇予告手当とは?

事業者が労働者を解雇するときは、少なくとも「30日前に解雇を予告すべし」と労働基準法に定められています。突然の解雇による、労働者の生活困窮を緩和するためです。
 
例えば3月31日付の解雇であれば、事業者は3月1日までに労働者へ伝える必要があります(解雇予告日は不算入)。
 
もし解雇予定日から30日に満たない日数での予告となった場合、事業者は不足日数に応じた解雇予告手当の支払義務を負います。支払いは、予告した日と同日です。
 

解雇予告手当はいくらもらえる?

解雇予告手当の支払い対象となる日数は、解雇予告時に不足している日数分です。
 
例えば、16日前に解雇を予告された場合は、14日分の解雇予告手当を受け取れます。即日解雇であれば30日分です。
 
解雇予告手当の金額は、「対象労働者の平均賃金✕不足日数」で計算します。
 
このケースでの平均賃金は、「起算日(解雇予告された日)から過去3ヶ月に支払われた賃金総額/起算日から過去3ヶ月の総日数(労働日+休日)」になります。
 
要は「給料の1日分」くらいのイメージで問題ありません。ただし、対象期間中に受け取ったボーナスやその他臨時的な賃金は算定対象外です。
 
上記はあくまで最低限の金額であるため、31日分以上の解雇予告手当の支払いも認められています。
 

解雇予告手当がもらえないケースについて

解雇予定日から30日未満で解雇予告された場合でも、解雇予告手当が支払われないケースも存在します。
 
「払わないのは違法だ!」と抗議する前に、次の条件に当てはまらないかチェックしておきましょう。
 

解雇予告の適用除外に該当するケース

労働基準法では、予告をせずに解雇してもよい労働者を定めています。
 
図表1左列に当てはまる人が予告なく解雇された場合は、原則として解雇予告手当を請求できません。
 
ただし、図表1右列の期間まで雇用された場合は、事業者に解雇予告および解雇予告手当の支払義務が発生します。
 
図表1

適用除外の働き方 予告が必要になるタイミング
日々雇い入れられる者 1ヶ月を超えて引き続き雇われたとき
2ヶ月以内の期間を定めて使用される者 契約期間を超えて引き続き雇われたとき
季節的業務に4ヶ月以内の期間を定めて使用される者 同上
試の試用期間中の者 14日を超えて引き続き雇われたとき

※e-Gov 労働基準法第21条を基に筆者が作成
 

労働者が一方的に悪くて解雇されたケース

労働者が一方的に悪くて解雇されたケース(労働者の責に帰すべき事由)では、事業者は予告をせずに労働者を解雇できます。
 
例えば、横領や傷害などの犯罪行為や経歴詐称、2週間以上の無断欠勤などが原因である場合です。
 
ただし、悪質かどうかの判断は事業者ではなく、所轄の労働基準監督署長が実施します。労働基準監督署長が悪質と認定した事由でクビになった場合は、解雇予告手当は受け取れません。
 

天災などで事業継続が不可能になったケース

地震や津波などの天災事変の発生や、そのほかやむを得ない理由だと所轄の労働基準監督署長が認定したときは、解雇予告なしの解雇が認められています。このケースでも、解雇予告手当の支払義務はなくなります。
 

万が一支払われない場合はどうしたらいい?

解雇予告手当が支払われないケースは存在するものの、ある程度特殊な事情も多いので、基本的には受け取れるものと考えて問題ありません。
 
万が一事業者が支払いを拒否する場合は、所轄の労働基準監督署や弁護士などが相談窓口になります。
 
相談してそれでも解決しないときは、裁判所に申し立てて裁判所から支払いを命じてもらいましょう。裁判所への訴訟まで発展したときは、未払いの解雇予告手当と同額の「付加金」も請求できます。
 
請求の時効は予告された日から起算して2年間(付加金は当分の間、3年間)です。
 
即日解雇を平気で行う会社に勤務している、または知り合いが勤めている場合は、万が一に備えて当記事の内容を参考にしてください。
 

出典

e-Gov 労働基準法
厚生労働省 解雇予告手当について
厚生労働省 労働契約の終了に関するルール
 
執筆者:棚田将史
2級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員1種

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