更新日: 2022.04.29 キャッシュレス

デジタル通貨って何? これからはお金もデジタルの時代なのか?

デジタル通貨って何? これからはお金もデジタルの時代なのか?
「デジタル通貨」という言葉を最近、耳にすることが増えました。デジタル通貨とは何を意味しているのでしょうか。
 
広い意味では、現金ではなくデータ上でやり取りされるお金すべてを指します。電子マネーや暗号資産などのほかに、最近では、各国が発行する中央銀行デジタル通貨(CBDC)を意味することも増えています。
 
ここでは、デジタル通貨や中央銀行デジタル通貨(CBDC)とは何かについて、解説します。
勝川みゆき

執筆者:勝川みゆき(かつかわ みゆき)

ファイナンシャルプランナー2級・AFP

デジタル通貨の種類

紙幣や硬貨などの現金ではない、デジタルなお金という意味において、デジタル通貨は3種類に大別されます。
 

・電子マネー

Suica(スイカ)やPayPay(ペイペイ)、WAON(ワオン)、楽天Edy(エディ)など、電子データのやりとりで決済を行うものです。
 
電子マネーは使える場所が限られ、現金を必要に応じて自由に引き出したり、違う運営会社の電子マネーと交換したりすることは、基本的にできません。
 

・暗号資産(仮想通貨)

資金決済法改正により、仮想通貨は「暗号資産」という呼び名に法令上、変更されました。
 
暗号資産とは、インターネット上でやり取りできる通貨のことです。代表例として、ビットコインやイーサリアムなどが挙げられます。代金の支払いに利用でき、米ドルやユーロ、日本円などの法定通貨と交換することもできます。しかし、信用の裏付けがなく価格の変動が激しいため、価格が不安定です。
 
そこで、価格が安定するよう考えられた通貨が、ステーブルコインと呼ばれるものです。米ドルなどの法定通貨を担保とするなどの方法で、価格の安定をはかります。ステーブルコインには「テザー」や「USDコイン」などがあり、総供給量は近年、増加傾向にあります。
 

・中央銀行デジタル通貨(CBDC)

CBDCとは、国が発行する法定通貨としての暗号資産です。国が発行するので信頼性があり、そのため価格も安定すると考えられています。
 
CDBCは、以下の3つを満たすことが要件だとされています。

・デジタル化されていること
・法定通貨建てであること
・中央銀行の債務として発行されていること

 

世界のCBDCの状況

海外ではCBDCの導入を始めた国もあります。2020年には、バハマとカンボジアでCBDCが発行され、ユーロ圏やスウェーデン、中国など世界各国でも実用化に向けた実験が進められています。
 
日本でも、2021年4月から実証実験が始まっています。2022年4月からは、フェーズ2としてさらに一歩進んだ実験もスタートしています。
 

・CBDCに求められる特性

CBDCに求められるのは、以下のような特性です。

・ユニバーサルアクセス(どこでも、誰でも使うことができる)
・セキュリティ(安心して使うことができる)
・強じん性 (24時間365日いつでも使え、さらにオフラインでも使うことができる)
・即時決済性 (その場で支払いが完了する)
・相互運用性 (民間の決済サービスとの相互関係をもつ)

CBDCは、現金と並ぶ決済手段に使える通貨となることを目的としています。現金同様の利便性があり、不正などを排除するだけのセキュリティ性に優れ、災害時などを含め、どんなときでも使えるといった特性を備える必要があります。
 
さらに、すでにクレジットカードや電子マネーなどキャッシュレスサービスが普及しているため、それらのサービスとの相互関係を持たせることも求められます。
 

・日本におけるCBDC 日銀による実証実験の最中

日本の中央銀行である日本銀行も、社会のニーズが今後高まる可能性もあるとして、実証実験を行っています。
 
2021年4月から2022年3月までを「概念実証フェーズ1」として、システム的な実験環境を作り、発行や流通の基本的機能を検証しました。2022年4月には「概念実証フェーズ2」に入り、「フェーズ1」で構築した実験環境に、金利などの周辺機能をつけ、実現可能性の検証に入っています。
 
概念実証を経てさらに必要だと判断されれば、民間事業者や消費者が実地に参加する形でのパイロット実験を行うことが予定されています。
 

デジタル通貨の今後

デジタル通貨のメリットは、低コストでのやり取りが可能だということです。例えば、国際送金が24時間、ほとんど手数料無料で、さらに日数もかからず迅速にできるようになる可能性があります。
 
また、世界銀行の調査では、世界で銀行口座を持たない17億人のうち、約3分の2は金融サービスへのアクセスに使える携帯電話を持っているとされています。携帯電話で決済ができるデジタル通貨は、貧困層への金融サービス普及の助けとなる可能性も高く、新興国や途上国でも注目されています。さらに、情報や取引データが記録されるため、幅広いサービスへの活用も期待できます。
 
しかし、プライバシーの問題や、今ある決済サービスとどのように共存していくのか、民間の銀行がどのような役割を担うのかなどの課題も残されています。
 
デジタル化が急速に進んでいる今、通貨のデジタル化もますます加速すると予想されます。デジタル通貨が今後どのように普及していくのか、注目したいところです。
 

出典

日本銀行 中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み
日本銀行 中央銀行デジタル通貨とは何ですか?
世界銀行 金融包摂が進展する中、依然として残る格差
独立行政法人国民生活センター 仮想通貨から暗号資産へ―暗号資産をめぐる法改正の動向(利用者保護のためのルール整備)―
 

執筆者:勝川みゆき
ファイナンシャルプランナー2級・AFP

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