更新日: 2022.05.02 暮らし

高額療養費制度の落とし穴とは? 3つの注意点と対処方法を解説

執筆者 : 荒木和音

高額療養費制度の落とし穴とは? 3つの注意点と対処方法を解説
「高額療養費制度があれば医療費の心配はいらない」と考えている人は多いでしょう。しかし、1ヶ月単位の適用となることや適用対象外となる費用があること、最初の費用は全額自己負担が必要、などの注意点があります。それぞれの具体的内容や対処法について解説します。
 
荒木和音

執筆者:荒木和音()

2級ファイナンシャルプランニング技能士

高額療養費制度とは?

高額療養費制度は、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費があらかじめ定められた上限額を超えた場合に、超えた分の差額を支給する制度 です。上限額は年齢や所得によって図表1や図表2のように定められています。
 
図表1


出典:厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ
 
図表2

出典:厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ
 
例えば、50歳で年収500万円の方が1ヶ月に医療費として100万円支払った場合、図表2のウのケースに該当します。1ヶ月の医療費上限額は、8万100円+(100万円ー26万7000円)X1%=8万7430円です。実際に100万円支払っているため、91万2570円が高額療養費制度によって払い戻されます。
 
負担を軽減する仕組みとして、同じ世帯で複数の方が医療機関を受診している場合に、それぞれが窓口で支払った金額を合算する「世帯合算」の方法 があります。例えば、Aさんが1ヶ月に10万円、同じ世帯のBさんが1ヶ月に10万円の医療費を窓口で自己負担していた場合には、合算した20万円で上限額が計算されるのです。
 
また、過去12ヶ月以内に3回以上、上限額に達した場合は、4回目から上限額が引き下げられる「多数回該当」 と呼ばれる仕組みもあります。
 

高額療養費制度の注意点

医療費がどんなに高額になっても「高額療養費制度があるから大丈夫」と考えている方もいるかもしれませんが、実際にはいくつか注意しなければならないポイントがあります。
 

上限額は1ヶ月ごとにしか適用されない

高額療養費制度で定められている医療費の上限額はあくまで1ヶ月(1日から末日)当たりのもの です。1回の治療に対して上限額が定められているわけではありません。そのため、治療が長引き、月をまたいで高額な医療費がかかった場合は、それぞれの月ごとに決められた上限額までの自己負担が必要になる可能性があります。
 
例えば図表2のエに該当する方が、1〜3月の3ヶ月間にわたり病院の窓口で支払った医療費の合計が50万円だったとします。この場合には、5万7600円X3ヶ月=17万2800円は最低でも自己負担しなければならないのです。
 

適用対象外となる費用がある

高額療養費制度の対象となるのは、保険適用される診療に対して患者が支払った自己負担額のみです。次に挙げるものは、支給対象外 となります。
 

・入院中にかかる食費
・病院の個室に入院する場合にかかる差額ベッド代
・先進医療にかかる費用

 
入院中にかかる食費の負担額は、原則として一食当たり460円 です。また差額ベッド代は、部屋の収容人数によって金額は変わるものの、平均では1日当たり6354円 となっています。
 
特に負担が大きくなる可能性が高いのは、先進医療にかかる費用です。生命保険文化センターによると、代表的な先進医療である「重粒子線治療」や「陽子線治療」の技術料は約300万円 とされています。
 

治療費を一時的に自己負担する必要がある

高額療養費制度は、あくまで「医療費の払い戻しを受けられる」という制度です。そのため、高額となる場合でも、一度は窓口で実際にかかった医療費を支払わなければなりません。厚生労働省によると、高額療養費を申請した場合の支給までの期間は約3ヶ月 です。長期にわたって入院すると、退院時に高額な医療費がかかることで、家計の負担になってしまう可能性があります。
 

各種制度や民間の保険と併用して高額療養費制度を活用しましょう

高額療養費制度は、病気やけがを治療するときの負担を無制限に減らせる仕組みではありません。自己負担する金額が大きくなるケースがあります。
 
急な出費に対応するためには、貯蓄や民間の医療保険を準備しておくことが有効です。一般的に、民間の医療保険は、入院した日数に応じて給付金が支払われるため、入院が長引いた場合も自己負担分をカバーすることができます。
 
また、「限度額適用認定証」または「限度額適用・標準負担額減額認定証」の交付を受けると、窓口での支払額を高額療養費制度における自己負担の上限額までに抑えられる 仕組みがあります。一時的に高額な医療費を支払う必要が出てきた場合には、このような制度も活用するとよいでしょう。
 

出典

厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ
厚生労働省 平成28年4月から 入院時の食費の負担額が変わります
厚生労働省 主な選定療養に係る報告状況
公益財団法人 生命保険文化センター 先進医療とは? どれくらい費用がかかる?
 
執筆者:荒木和音
2級ファイナンシャルプランニング技能士
 

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