更新日: 2019.01.10 その他暮らし
「え?応援してたのに…」芸能人の年齢詐称!詐欺罪にあたる?あたらない?
自分が応援していたアイドルが、公表されている年齢よりも実際はもっと年上だった!などということが分かったら、少しショックではありませんか?
素朴な疑問ですが、このような年齢のうそは詐欺罪にならないのでしょうか。
Text:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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弁護士/東京桜橋法律事務所
第二東京弁護士会所属。
中央大学法学部卒。弁護士登録後、東京桜橋法律事務所に勤務。平成25年以降は同所パートナー弁護士に昇格し、主にIT関連、エンタメ関連の企業法務を中心として、相続・不動産・債権回収・破産など幅広い法律事務に対応している。
座右の銘は「強くなければ生きられない。優しくなれなければ生きていく資格はない。」時には、クライアント自身の姿勢を問うようなアドバイスができるよう心掛けている。
目次
「高校生だから応援していたのに…」アイドルオタクY男くんの場合
アイドルオタクのY男くんは23歳の会社員です。
Y男くんは去年からあるアイドルグループを応援しています。彼女たちは「全員10代」が売りになっており、年下好きのY男くんはすぐにファンになりました。
「やっぱりアイドルは10代だよね。フレッシュさが違うんだよ。」Y男くんは語ります。
Y男くんが一番推しているメンバーは、16歳のカオリちゃんです。カオリちゃんの公式ブログで高校生らしい日常生活を垣間見たり、ライブでの一生懸命な姿を見る度に、なんだか甘酸っぱい気分に浸っていました。
そんなある日、驚くべきニュースが飛び込んできました。なんと、Y男くんの応援していたカオリちゃんは実は20歳だったのです。カオリちゃんの同級生数名がネットで暴露しました。
Y男くんは落ち込むと同時に激怒しました。「ずっと俺をだましていたのか!!事務所は今まで俺がカオリちゃんにつぎ込んだお金を返せ!!」
提供されている情報がうその場合、詐欺にはあたらないのでしょうか。東京桜橋法律事務所の池田理明弁護士にお伺いしました。
結論からいうと詐欺罪にはあたらないと考えてよいでしょう。
詐欺が成立するためには、被害者の財産的な処分行為に向けられた欺罔(ぎもう)行為があることが要件となりますが、アイドルの年齢詐称の程度であれば、仮にアイドルが直接グッズを販売していたとしても、これにあたらないと考えられます。
考えてみると、実年齢26歳のアイドルを23歳としてプロモーションした場合、多くは名前も芸名に変えると思われます。
「23歳の○○(芸名)」という、年齢、芸名含めたキャラクターとして世の中に売り出すわけです。ファンの方も、「23歳の〇〇(芸名)」として、で自分の好みに合ったイメージをもったキャラクターのファンなのであって、社会通念上は、実年齢が重要というものではないと思われます。
アイドルは、特定のキャラクターを作り上げるために、年齢だけではなく、場合によっては趣味や出身地なども、そのキャラクターに合わせて設定したりします。
よって、何らかのきっかけで実年齢が分かってしまったとしても、詐欺罪には問われません。期待を裏切られたファンはかわいそうですが、民事上、購入したグッズを返品したいと思っても、法律的な根拠を見いだすことは困難だと思われます。
芸能人やアイドルは「偶像」なのか…。すべてを信じるのは危険かも?
芸能人の年齢のサバよみは詐欺罪にあたらないということが分かりました。
とはいえ、私たちは年齢などの情報も含めて芸能人やアイドルを好きになるので、ショックを受けることもありますよね。
芸能人やアイドルはあくまで「偶像」ということでしょうか…。
もちろんすべてがうそということはありませんし、何を信じるかはその人の自由ですが、テレビなどで提供されている情報がすべて本当だと思い込むことは危険なことなのかもしれませんね。
Text:ファイナンシャル フィールド編集部
監修:池田 理明 (いけだ みちあき)弁護士
東京桜橋法律事務所、第二東京弁護士会所属 http://tksb.jp/
IT関連・エンタメ関連の企業法務を中心に、相続・不動産・債権回収・破産など幅広い法律事務に対応