更新日: 2022.05.11 子育て
この春からスタートした高校での金融教育! 大人世代の意見は?
この金融教育について、大人世代に対して行われたアンケート調査によると、「習う項目を具体的に知っている」という人は少ないものの、「自分も受けたかった」と思う人が多く、他にもさまざまな意見を持っていることが分かりました。
そこで今回は、この調査結果を基に、改めて日本の金融教育について考えてみたいと思います。
必修化された金融教育に対する大人の意見
金融教育で何を習うか知っていますか?
今回必修化された金融教育は、家庭科の授業の中で行われ、金融に関する幅広い知識を身に付けることが目的となっています。
「保険マンモス株式会社」が、男女500人(男性36%、女性64%)に「4月から高校で必修化される金融教育」について、インターネットでアンケート調査を実施しました。なお、回答者の属性は、20歳~60歳が96%、18歳(高校生不可)~19歳が2%、61歳以上が2%でした。
まず、「金融教育で習う項目を具体的に知っていますか?」という問いに対し、「知っている」と答えた人はわずか17%でした。金融教育で習う項目は、学習指導要領によると、主に次のようになっています。
・家計管理の基本
・教育資金、住宅取得、老後の備え
・事故や病気、失業などリスクへの備え
・株式、債券、投資信託などの金融商品
・資産形成
・ライフステージの変化に伴う働き方、資金計画
金融と聞くと、株や投資などのイメージが強く、「社会に出る前から、働かないでお金を儲ける方法を教えるのか」、といった心配の声もあるかもしれません。
しかし、金融教育ではお金の増やし方だけでなく、日頃のお金の使い方やこれからの人生を見据えた資金計画など、私たちが生きていくうえで必要な幅広い金融の知識を身に付けることが目的になっています。
また、今年度から成人年齢が18歳に改定され、クレジットカードの契約年齢が引き下げられるなど、若年層がより金融トラブルに巻き込まれるリスクも視野に入れています。
「学生時代に学びたかった」、「いま金融教育を受けたい」と思う人が約8割
高校で金融教育がスタートすると聞いたとき、筆者も「学生の時に受けたかった」と思ったのですが、皆さんはいかがでしょうか。日本は、諸外国に比べて金融リテラシー(お金と上手に付き合うために必要な知識や判断力)が低いことが指摘されてきました。
「清貧」という言葉に象徴されるように、私たち日本人はどうしても「お金儲けは悪いこと」というイメージがあり、お金に関する話題も避けがちで、こうしたことも日本の金融教育が遅れている理由の一つといわれます。
また、日本では高学歴で社会的地位がある人も多重ローンなどに苦しむ人が多く、これも金融教育の遅れを表しているのではないでしょうか。
このアンケートでも、「学生の時に金融教育を受けたかったか?」という問いに、やはり8割の人が「受けたかった」と答え、「いま機会があれば金融教育を受けたいか?」という質問に対しても、およそ8割の人が「受けたい」と回答しています。
金融教育の必要性を感じ、もっと早くに金融の知識を得ておきたかったと思う人が多いことがよく分かります。
子どもへの金融教育
子どもへの金融教育は必要か?
子どもに対する金融教育については、どんな意見が多いのでしょうか。「子どもへの金融教育は必要だと感じるか?」という質問に関しては、8割以上の人が必要だと感じ、「なぜ必要なのか」という問いに対しては、次のような個別の回答も得ています。
・知っていて損はない、または有利になると思うから
・投資などの勉強をして自ら老後に備えた方がいいから
・自分自身、必要になってから知識が足りないことを痛感したから
・キャッシュレス化、銀行のオンライン化の中で、実際に手に取れない、目に見えないお金の価値を正しく理解してほしいから
・クレジットカード・キャッシュカードの注意点などを知ってほしいから
・キャッシュレスがより主流になる中、使い方次第で生活が追い込まれるのでデメリットを教わる機会がほしいためです。
・一例として、リボ払いはデメリットがあると思いますが、ポジティブな言い換えをされています。そういったものをきちんと見抜ける知識を学ぶのは、身を守ることに繋がると思います。
・キャッシュレスが普及して、おつりの存在を知らない子がいます…。
・世界基準に合わせ、お金を稼ぐことを堂々と勉強させるべき!
どれも興味深く、もっともな意見ですが、キャッシュレス化など時代とともにお金の使い方が変わり、対応していく力が必要という声が目立ちますね。
金融教育は小学校高学年から中学校がベスト?
金融教育を始める年齢については、中学校と答えた人が113人で最多、次に小学校5、6年生と答えた人が110人で、高校と答えた人は59人でした。小学校高学年から中学生くらい、つまり義務教育の間に始めた方がいいと考えている人が多いようです。
私たち大人世代は、あまり金融について詳しくないという人も多いかもしれませんが、子どもへの金融教育を学校に任せっきりにするのではなく、早い段階から家庭の中で取り組んでいく必要がありそうです。
家庭の中でお金の話をタブー視せずに、お金に関する疑問を持ったら子どもと一緒に調べるなど、大人も子どもと共に学びを深めていきたいものですね。
参考
PRTIMES必修化される金融教育で習うこと、知ってますか?8割が知らない内容とお金の勉強におすすめのツール
金融庁「金融経済教育について」
執筆者:藤丸史果
ファイナンシャルプランナー