大学無償化で気を付けておきた世帯年収。パートで稼ぎすぎたら対象外になるって本当?
配信日: 2022.05.15
意欲のある子どもたちの進学を支援する目的で、授業料と入学金の免除や減免を行うほか、返還の必要がない給付型奨学金も大幅に拡充されたことにより、支給の要件を満たせば大学に無償で通うことが可能になりました。
この記事では、支給要件の大きなポイントである「世帯年収」について、パートで働く際の注意点を含め、解説していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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大学無償化の支給要件とは
「高等教育の修学支援新制度」では、「授業料や入学金の免除または減免」と「返還不要の給付型奨学金」の支給を併用できます。
支給要件は、「世帯年収」「進学先で学ぶ意欲」の2つです。
ちなみに、すべての要件に当てはまったとしても、支給額は世帯年収など家庭の状況によって異なるため、必ずしもすべての対象者が無償で大学に通えるわけではありません。
世帯年収
住民税非課税世帯、およびそれに準ずる世帯の学生が対象となります。
進学先で学ぶ意欲
進学先で学ぶ意欲については、進学前に成績だけで否定的な判断をされることはなく、レポートなどで本人の学習意欲を確認する方法がとられています。
一方で、進学後は学習状況に厳しい要件が設けられているのが特徴です。
なお、大学などによっては、制度を利用できない場合があることに注意が必要です。なぜなら、大学などは「対象となる学校種、国・自治体による要件確認」という要件を満たさなければならないからです。
「対象となる学校種」とは大学、短期大学、高等専門学校、専門学校のことで、国、または自治体による要件確認を受けた学校に通う生徒のみが、支援を受けることができます。
要件確認の判断基準は、学問追求と実践教育のバランスが取れていることなど。大学・短期大学については1090校のうち、1069校が対象です(令和4年4月11日現在)。
経営に課題のある法人が設置している大学等は要件確認により対象外となる場合があります。
大学無償化における「世帯年収」とは
「高等教育の修学支援新制度」の対象となる世帯年収の基準は、住民税非課税の「第1区分」、準ずる世帯に当たる「第2区分」「第3区分」に分けられています。
住民税非課税世帯の場合、国公立大学で入学金約28万円、授業料約54万円、私立大学で入学金約26万円、授業料約70万円を上限として減免されます(いずれも年額)。
第1区分では上限額までの満額、第2区分では3分の2、第3区分では3分の1が支援されるため、世帯年収がどの区分に当てはまるかは重要なポイントです。
ちなみに、この割合は「授業料や入学金の免除または減免」と「返還不要の給付型奨学金」のどちらにも同様に適用されます。
ふたり親世帯(両親が生計維持者)で母親が専業主婦、大学進学を控える高校生と中学生の子どもがいる世帯を例に考えてみましょう。
この場合、世帯年収が約271万円までの場合は第1区分、約303万円までの場合は第2区分、約378万円までの場合は第3区分に当てはまると考えることができます。
どの区分に当てはまるかは、世帯年収、子どもの数と年齢、生計維持者の数(ひとり親世帯か、ふたり親世帯か)などの条件で決まります。
パートで稼ぎすぎたら対象外になる?
世帯年収とは、同一の生計を立てる世帯全員の年収を合計したものです。
前項で例として挙げた「2人親世帯(両親が生計維持者)で母親が専業主婦」とは、母親が配偶者控除の対象となっている場合(年間の合計所得金額が48万円以下の場合)であり、配偶者控除の対象でない場合は条件が異なります。
パートの収入次第では大学無償化の対象外となったり、支給される金額が減る可能性があります。また、子どもが学生であってもアルバイトなどで収入がある場合も同様です。
支援の可否や支給される金額の目安は、日本学生支援機構(JASSO)のホームページにある「進学資金シミュレーター」で調べることができます。
パートの収入によっては大学無償化の要件に影響する場合も
大学無償化や授業料減免などの対象者になるかどうかは、世帯年収や世帯構成員の詳細など、さまざまな要件を基に決まります。
パートで働いている場合、収入額によっては世帯年収を大きく増やすことになり、大学無償化の対象外になったり、支給される金額が減ったりする可能性があると覚えておきましょう。
どれぐらいまでの収入に抑えるべきかを知りたい場合は、シミュレーションを利用する方法もあります。
出典
政府広報 高等教育の修学支援新制度5つのポイント
文部科学省 高等教育の修学支援新制度について
文部科学省 高等教育の修学支援新制度の対象機関数(令和4年4月11日現在)
文部科学省 高等教育の修学支援新制度について
独立行政法人日本学生支援機構
独立行政法人日本学生支援機構 進学資金シミュレーター
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部