更新日: 2019.01.08 その他暮らし

あなたの修繕積立金が狙われている!不適切コンサルタントの被害に合わない方法は?

あなたの修繕積立金が狙われている!不適切コンサルタントの被害に合わない方法は?
マンションの一大イベントといえば、十数年に一度実施される「大規模修繕工事」です。マンションは、共同住宅として個々の専有部分を所有する区分所有者がその全体を共有するものです。

そのため、マンション全体の財産価値の維持または向上を図り、劣化による事故を未然に防止するためには、適切な時期に適切な内容の修繕工事を計画的に実施することが不可欠となります。

大規模修繕工事は、一概に何年ごとに実施するとの決まりはありませんが、マンションの劣化度合いに応じて、個々の建物の構造、立地条件、日常的な管理状態などを考慮し、修繕工事の時期が決定されます。

その目安は12年周期となっています。

通常足場を設置し、マンション周囲にシートを張り巡らして大々的に実施される大規模修繕工事には多額の工事費用が必要となります。

概算では、一戸あたり60万円~120万円ほどの工事費用とされ、工事費用総額では数千万円から億単位となる場合もあります。

この費用を賄っているのが、マンションを所有する区分所有者がみんなでコツコツと貯めてきた修繕積立金です。

しかし、その修繕積立金を狙い、不正にマージンを得ようとする「不適切コンサルタント」が存在していることをご存知でしょうか。
高橋庸夫

Text:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

国土交通省も警鐘

2017年1月には、国土交通省が「設計コンサルタントを活用したマンション大規模修繕工事の発注等の相談窓口の周知について」という通知を出し、大規模修繕工事の設計監理方式における設計コンサルタントと施工会社の癒着やバックマージンに対して警鐘を鳴らしています。
 
また、2017年10月には、NHKクローズアップ現代で「追跡!マンション修繕工事の闇 狙われるあなたの積立金」が放映され、悪質な設計コンサルタントが工事業者に巨額のバックマージンを要求し、すでに多くの住民が被害に遭っている可能性を指摘しています。
 

無知な住民をターゲットとした悪質な手法

大規模修繕工事の内容は、外壁補修、防水対策、塗装など、マンションごとにさまざまですが、どんな工事が必要なのかは一般住民には分かりません。
 
そこで、通常は「設計コンサルタント(設計事務所、管理会社など)」が住民に代わって修繕計画を立てる設計監理方式と呼ばれる方法で工事を進めます。
 
設計コンサルタントは「工事業者」を入札で選定し、発注をしたり、工事が適切に行われているかを監理・検査したりと、重要な役割を担います。
 
その裏側で、悪質なコンサルタントが工事業者との癒着により巨額のバックマージンを要求し、工事費総額を不適切な形でつり上げているのです。
 
悪質なコンサルタントは、まず格安のコンサルタント料を餌に住民と契約し、修繕計画に基づく工事費を見積もります。
 
次に工事業者の入札を行い、安い業者を選定したかのように見せかけますが、当然それは単なる出来レースです。住民は工事業者に代金を支払いますが、そこにコンサルタントへのバックマージンがすでに含まれており、コンサルタントは自分の取り分を増やすために見積額を目いっぱいつり上げているといいます。
 
また、コンサルタントは、当然そのマンションの積立金残高(どれだけ搾取できるか?)を把握していますので、できる限りその残高を使い切るだけの見積額を提示してきます。
 

不適切コンサルタントの被害に遭わないために

このような状況を踏まえ、一部の設計コンサルタントが一切のバックマージンを受け取らないことを宣言し、組織化するなど、業界のクリーン化に向けた動きも出てきています。これらの動向についても敏感に情報収集していくとともに、必要なところには適切な専門家に支援を依頼することも重要です。
 
設計コンサルタントや管理会社とは別にセカンドオピニオンとして、大規模修繕工事の運営管理に関するコンサルタントを採用することも考えられます。
 
そして、何よりも大切なのは住民の積極的な参加です。不正を見抜くためにもできる限り多くの住民が関与し、より多くの目でチェックすることが重要です。
 
最終的には、みんなのマンションをどうしたら、安心して、快適に、長く住みたいと思える環境にできるのかという意識を、どれだけ多くの住民に醸成することができるかがポイントとなります。
 
Text:高橋 庸夫(たかはし つねお)
ファイナンシャル・プランナー,住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士

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