更新日: 2022.06.07 暮らし

企業の負担は増大する? 2022年10月の社会保険適用拡大の影響とは?

執筆者 : 新井智美

企業の負担は増大する? 2022年10月の社会保険適用拡大の影響とは?
年金改正法により、2022年10月より一部のパートおよびアルバイトの社会保険への加入が義務化されることになりました。社会保険料については労使折半のため、対象となるパートやアルバイトを雇用する事業主の保険料負担も増加することになります。
 
また、保険料負担のみならず、事業主(企業)には適用拡大におけるさまざまな負担が発生します。
 
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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社会保険適用拡大の詳細

2022年10月より、従業員数が101人以上の企業は社会保険への加入が義務付けられます。それまでは501人以上の従業員数である企業が対象となっていたため、従業員数が現在500人以下および101人以上の企業は注意しておく必要があります。
 

■従業員数の数え方

ここでいう従業員とは、「フルタイムで勤務する従業員」に加え、「週の労働時間がフルタイムの4分の3以上の従業員数」も含まれます。この従業員にはパートそしてアルバイトも含まれます。
 

■社会保険料の負担額

この度の適用拡大において、新たに加入対象となる人とは、以下の要件をすべて満たすパートもしくはアルバイトの人です。

・週の所定労働時間が20時間ある
・月額賃金が8万8000円以上である
・2ヶ月を超える雇用の見込みがある
・学生ではない

では新たに加入対象となる人が1人増えるごとの企業側の社会保険料負担額は、どのくらい増加するのでしょうか。
 
東京都の場合で試算(※1)すると、月額の賃金が8万9000円の場合の健康保険料および厚生年金保険料の負担額は、40歳未満の場合であれば1万2368円(1円未満切り捨て)、40歳以上の場合は1万3090円(1円未満切り捨て)です。
 
また、雇用期間が31日以上ある場合、そして1週間の所定労働時間が20時間以上である場合は、雇用保険の被保険者となるため、企業は雇用保険料の負担が発生します。雇用保険料の負担割合は折半ではなく、企業(事業主)のほうが多くなっている点にも注意が必要です。
 
ちなみに一般の業種の場合であれば、2022年10月からの雇用保険料率(※2)は1.35%で、そのうち事業主の負担割合は0.85%です。月額賃金が8万9000円であれば、756円(1円未満切り捨て)の負担が追加されることになります。
 
(出典:厚生労働省 法律改正によりパート・アルバイトの社会保険の加入条件が変わります。(※3))
 

企業が行うべきこと

2022年10月からの社会保険適用拡大により、該当する企業が行うべきことは保険料の負担だけではありません。適用拡大に対応するために、以下のことを行う必要があります。
 

■加入対象者を把握する

今回の拡大により2022年10月より従業員数が101人以上の企業は社会保険への加入が義務付けられます。それにあたり、企業は加入対象者を正確に把握しなければなりません。まずは加入の要件である前述の項目をすべて満たすかどうかを確認する必要があります。
 

■社内通知を行う

今回の拡大によって、新たに加入対象となるパートやアルバイトの方に向け、法改正の内容詳細が確実に伝わるよう、メールや社内イントラネットを活用し、社内通知を行う必要があります。あわせて、必要に応じて説明会や個人面談を行い、個人面談を行う際には以下のポイントを伝えることが大切です。

1.2022年10月より、新たに社会保険の加入者となること
2.社会保険に加入することのメリット
3.今後の労働時間について

また、その際に本人が希望すれば「労働時間の延長」や「正社員への転換」など、キャリアアップにつながる提案を行うこともできます。
 
社会保険に加入することのメリットを伝える際には、厚生年金に加入することでこれまでの国民年金に上乗せした2階建ての年金制度になることや、その詳細(老齢厚生年金、遺族厚生年金、障害厚生年金)の支給対象となる可能性があるほか、雇用保険の被保険者となるため、病気やけがで休業する場合の傷病手当金さらには産休期間中の出産手当金についても説明する必要があるといえるでしょう。
 

企業が行う手続き

従業員数が101人~500人の企業の場合、2022年8月までに日本年金機構から、新たに適用拡大となることを知らせる通知書類が届きます。これらの書類は2022年10月5日までに提出する必要があるため、できるだけ早めに準備しておきましょう。届け出はオンラインで行うことができます。
 

まとめ

従業員数500人以下の企業でも、労使合意の上であれば2022年10月よりも前に企業単位でパートやアルバイトの人を社会保険に加入させることができます。このことを期日前の選択的適用拡大といい、「キャリアアップ助成金」や生産性向上のための補助金を優先的に受け取ることができます。
 
そもそも選択的適用拡大にはこのようにさまざまなメリットがあるため、活用を視野に入れ、前向きに検討してみてもよいかもしれません。
 
(※1)全国健康保険協会 令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
(※2)厚生労働省 令和4年度雇用保険料率のご案内
(※3)厚生労働省 法律改正によりパート・アルバイトの社会保険の加入条件が変わります。
 

出典

全国健康保険協会 ホームページ
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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