私立高校の実質無償化制度。共働きで年収1000万の世帯は対象になる?

配信日: 2022.06.07

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私立高校の実質無償化制度。共働きで年収1000万の世帯は対象になる?
人生にはさまざまな費用がかかりますが、「教育費」は「住宅の購入費」「老後の費用」とともに人生の3大費用といわれています。
 
その教育費は、子どもの進学のタイミングに合わせて準備をする必要がありますが、令和2年4月から私立高校授業料の実質無償化がスタートしていますので、家計にとっては大変に助かる制度です。
 
ただし、この制度の対象になるためには世帯の年収制限をクリアする必要がありますので、その内容について確認していきましょう。
堀江佳久

執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)

ファイナンシャル・プランナー

中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。

私立高校の実質無償化制度とは?

家計の教育費負担軽減を図るための、国による授業料支援の仕組みです。
 
高等学校等就学支援金(返還不要の授業料支援)の制度改正で、世帯年収の目安として590万円未満の世帯を対象に、就学支援金の上限額が私立高校の全日制の場合で、39万6000円に引き上げて、私立高校の授業料を実質無償化したものです。
 
全国の約8割の生徒が利用しています。
 

(1)受給資格

受給資格としては、基本的に高校等(高専、高等専修学校等を含む)に在学する、日本国内に住所を有する方が対象です。
 

(2)支給額

1. 公立高校に通う生徒
公立高校授業料相当額(年額11万8800円)が支給されるので、国公立高校は実質無料となっています(改正前も同様)。
 
2. 私立高校に通う生徒
令和2年4月の改正で、私立高校の全日制の場合に39万6000円に引き上げられましたが、世帯年収によって支給額が異なります。
 
以下、共働きの世帯で支援対象となる世帯年収の目安について見ていきます。
 

支援の対象になる共働き世帯の年収目安

(1)イメージ図

 
「年収目安」は、両親・高校生・中学生の4人家族で、共働きの世帯の目安です。
 

図1

 
(文部科学省ウェブサイトから抜粋(一部著者編集))
 

(2)共働き世代の年収目安

上記(1)の年収目安は子の人数によって異なるので、以下の表1で詳しく見てみます。
 

表1

 
この表からわかりますが、共働きで年収1000万の世帯は、今回の高等学校等就学支援金の制度改正の恩恵にあやかれません。また、公立高校の支給額である11万8800円の支給も享受できない世帯もいます。
 
なお、この表の世帯年収は、あくまで目安ですので、詳しくは保護者がお住まいの都道府県、もしくは通われる学校に問い合わせをするとよいでしょう。各都道府県の問い合わせ先は、文部科学省ホームページにあります「高校生等奨学給付金のお問合せ先一覧」(※)をご覧ください。
 

まとめ

家庭の教育費負担軽減を図るため、実質高校の授業料の無償化の制度が導入されましたが、共働きで年収1000万の世帯では、その恩恵にあずかることができるケースは限られています。
 
頑張って働いて高い年収を得て、しかもその分税金を多く支払っているのに制度の支援を受けられないのは、おかしいといった声もあるようですが、現状の制度はこのようになっています。
 
したがって、こういった現状を踏まえ、こどもの進学のタイミングに合わせて教育費をしっかりと準備をする必要があります。
 

出典

(※)文部科学省 高校生等への修学支援/高校生等奨学給付金のお問合せ先一覧
文部科学省 私立高校授業料実質無償化(リーフレット)
文部科学省 高等学校等修学支援金制度
 
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー

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