更新日: 2022.06.08 その他暮らし

「身の回りの値上げが止まらない!」円相場の変動の影響は? 「値上げが予想されるもの」って?

「身の回りの値上げが止まらない!」円相場の変動の影響は? 「値上げが予想されるもの」って?
昨年からアメリカ経済の正常化が期待されてきました。しかし思った以上にインフレが進み、金融引き締めも進められようとしています。
 
また今年に入りロシアのウクライナ侵攻により世界経済に対する不安となり、ドルに資金が集まりドル高・円安になっています。現在のような円相場が身の回りにどんな影響があるか考えてみます。
吉野裕一

執筆者:吉野裕一(よしの ゆういち)

夢実現プランナー

2級ファイナンシャルプランニング技能士/2級DCプランナー/住宅ローンアドバイザーなどの資格を保有し、相談される方が安心して過ごせるプランニングを行うための総括的な提案を行う
各種セミナーやコラムなど多数の実績があり、定評を受けている

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今の円安はなぜ起こっている

この記事を書いている令和4年5月9日時点の円相場は、対ドルで1ドル=131円台と20年振りの円安水準となっています。なぜここまで円安が進んでいるのでしょうか。新型コロナウイルスの影響で各国の中央銀行は金融緩和を進めてきました。
 
このことにより世界でお金が市中にあふれている状態となりました。新型コロナウイルスも変異しながら、感染の拡大と縮小が繰り返されています。並行して世界経済の正常化も徐々に進んでいます。
 
お金が市中にあふれている中で、経済活動が正常化され物価上昇が起こってきています。世界各国の中央銀行はインフレを抑制しようと政策金利を上げることによって市中のお金を回収しようとします。
 
現在、アメリカが特に高インフレとなっているために、アメリカのFRB(米連邦準備理事会)がFOMC(米連邦公開市場委員会)という金融政策の最高意思決定機関で政策金利を引き上げることを決めました。
 
ゼロ金利政策が執られている日本に比べ金利の高いアメリカに魅力があるため、円をドルに換えて国債や預金をした方が高金利の恩恵を受けられると思われて、急激な円安となってしまっています。
 

円安は、身の回りにどういった影響があるのか

円安というのは、交換しようとする国の通貨に対して貨幣価値が低い状態のことです。例えば為替相場が1ドル=100円のときに、100円をアメリカのドルに交換しようした場合、1ドルに交換することができます。
 
しかし、円安となり、1ドル=110円となると、約91セントにしか交換できなくなります。1ドルに交換したいのであれば110円が必要になるということです。
 
このように円安になると、海外から部品や材料を輸入している輸入大国の日本では輸入する物の円での価格が高くなってしまいます。2021年の秋以降から原油価格が高騰していますが、現在はさらに円安が重なり原油価格が上昇しています。
 
原油価格が上昇すると、一番に思い浮かぶのはガソリン価格の上昇です。ガソリンだけではなく軽油や灯油といった燃料の価格も上昇してしまいます。
 
外国通貨での原油価格が同じでも円安になることによって、日本に輸入する原油価格は上昇してしまい、燃料の価格だけではなく、石油が原料の梱包材や買い物袋として使われるプラスチックやビニールなどの材料費も高くなります。
 
さらにガソリンや軽油価格の上昇は、輸送する際のトラックの燃料でもあるため、輸送費も上昇することになってしまいます。輸送費が上昇すると原油価格や輸入品に関係なく、日本で作られているものでも価格が上昇してしまいます。
 
野菜など日本で生産されているものも、耕作農機具の燃料費も高くなりますし、輸送するトラックの燃料費も高くなりますので、野菜などの価格も上げなくてはならなくなってしまいます。
 
このように日本のような輸入に頼る国では、自国通貨の貨幣価値の減少は一部のモノに影響があるだけではなく、生活の中のあらゆるものに影響があるといえます。
 

毎月勤労統計調査のデータでは給与は増えているが

厚生労働省が毎月発表している毎月勤労統計調査の3月の速報値では、現金給与総額が前年同月比で1.2%増という結果が出されました。円安になっても給与が増えているので大丈夫ではないかと思われるかもしれません。
 
しかし同調査で物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比で0.2%マイナスとなっているという結果となっています。給与が増えたとしても、物価変動の影響も考えておく必要があるといえます。
 

まとめ

この記事を書いているときに、20年振りの円安水準となりました。ただこの記事が公開されるときには、さらに円安となっている可能性があると筆者は考えます。景気が良くなっていなくても円安などの影響で物価が上がってくると、さらに消費が冷え込み景気の後退という可能性もあります。
 

出典

厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和4年3月分結果速報 第1表 月間現金給与額
厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和4年3月分結果速報 時系列表第6表 実質賃金指数
 
執筆者:吉野裕一
夢実現プランナー

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