更新日: 2022.06.28 その他暮らし

「国家公務員の給与構成」はどうやって決まる? 渋谷在住46歳の場合で解説

「国家公務員の給与構成」はどうやって決まる? 渋谷在住46歳の場合で解説
国家公務員には、基本給となる俸給や賞与のほかさまざまな手当てがあります。
 
本記事では、国家公務員の給与構成を紹介し、1人のモデルとなる人物を設定して、公務員給与を解説します。

古田靖昭

執筆者:古田靖昭(ふるた やすあき)

二級ファイナンシャルプランニング技能士

国家公務員の給与構成

国家公務員の給与は、法律に基づいて定められており、俸給と諸手当によって成り立っています。
 

俸給とは

俸給は、公務員の職務内容や責任の度合いに基づいて決められ、民間企業でいうところの基本給に相当するものです。また職務の複雑さや困難さに応じた調整額が支給されます。
 
つまり、俸給には俸給月額と俸給調整額の2つがあります。
 

諸手当とは

諸手当には、生活補助的手当(図表1)、地域給的手当(図表2)、職務の特殊性に応じた手当(図表3)、時間外手当(図表4)、賞与に相当する手当(図表5)、その他の手当(図表6)があります。
 
図表1(生活補助的手当)

手当名 内容・支給額
扶養手当 扶養親族がいる公務員に支給
住居手当 借家・借間に居住する公務員やその配偶者に支給
通勤手当 通勤のために、交通機関や自動車などを常用する公務員に支給
単身赴任手当 異動に伴って住居を移転し、やむを得ず配偶者と別居する公務員に支給

 
図表2(地域給的手当)

手当名 内容・支給額
地域手当 民間賃金の高い地域に勤務する公務員に支給
広域異動手当 役所との間の距離が60km以上の広域的な異動などを行った公務員に最大10%、3年を限度に支給
特地勤務手当
特地勤務手当に準ずる手当
離島などに役所があり、生活上に著しく不便な場所に勤務する公務員に支給
寒冷地手当 寒冷地に在勤する公務員に支給(11月から翌年3月までの間に限る)

 
図表3(職務の特殊性に応じた手当)

手当名 内容・支給額
俸給の特別調整額 民間企業でいうところの管理職手当で、管理・監督の地位にある公務員に支給
管理職員特別勤務手当 管理・監督の地位にある職員で、臨時や緊急で休みの日や平日の深夜に勤務した公務員に支給
特殊勤務手当 著しく危険、不快、困難などの特殊な勤務に従事する公務員に支給

 
図表4(時間外手当)

手当名 内容・支給額
超過勤務手当など 正規の勤務時間を超えて勤務した公務員に支給
休日給 正規の勤務時間中で休日に勤務した公務員に支給
夜勤手当 正規の勤務時間として深夜に勤務した公務員に支給
宿日直手当 宿日直勤務を行った公務員に支給

 
図表5(賞与に相当する手当)

手当名 内容・支給額
期末手当 民間企業でいうところの賞与で、俸給などに一定率をかけて算出したものを公務員に支給(6月1日と12月1日に支給)
勤勉手当 民間企業の賞与などのうち、考課査定分に相当する手当で、俸給などに一定率をかけて算出したものを公務員に支給(6月1日と12月1日に支給)

 
図表6(その他の手当)

手当名 内容・支給額
本府省業務調整手当 本府省の業務に従事する課長補佐級以下の公務員に支給
初任給調整手当 専門知識が必要で、採用による欠員補充が困難と認められる官職に採用された公務員に一定期間支給(医師など)
専門スタッフ職調整手当 高度な専門知識や経験、識見を活用し手行う業務に従事する専門スタッフ職3級の公務員に支給
研究員調整手当 科学技術に関する試験研究を行う機関のうち、特定の機関に勤務する研究員に支給

※図表1~図表6は内閣官房、人事院HPより筆者作成
 

国家公務員のモデル例

国家公務員のモデル例として、財務省に勤務している設定で給与額を算出してみます。
 

財務省勤務のモデル例

モデル例の設定は、財務省の本省に勤務する、財務省主計局主計官の役職を担当する46歳とします。妻と18歳の子ども、14歳の子どもがいて、渋谷駅に在住しています。
 
財務省主計局主計官は、課長級の役職となるため月額給与が、「一般職の職員の給与に関する法律」の行政職俸給表(一)によると、9級~10級となり、45万8400円~55万9500円の間になります。年収を計算するために、行政職俸給表(一)の9級1号俸を俸給月額として計算します。
 
図表7

月額 備考
俸給月額 45万8400円 行政職俸給表(一)9級1号俸として計算
通勤手当 4万2720円 渋谷駅から虎ノ門駅(東京メトロ銀座線)として6ヶ月分の定期代
地域手当 9万1680円 東京の場合、俸給月額の20%分が支給されます。
俸給の特別調整額 13万300円 行政職俸給表(一)9級1号俸の場合の手当額
超過勤務手当 ※1 約1万9838円 勤務1時間当たりの給与額(約3174円)×支給割合(125/100)×勤務時間数(5時間)
合計 74万2938円

出典:e-Gov法令検索、駅探、人事院、HPより筆者作成
 
※1 勤務1時間当たりの給与額=(俸給月額+地域手当)×12÷(1週間当たりの勤務時間×52)、1週間当たりの勤務時間を40時間として計算
正規の勤務時間は、1週間当たり38時間45分
 
本記事では財務省勤務のモデル例として月額給与を計算しました。さまざまな諸手当がある中の1例として示しましたが、実際には1人ひとりに応じて細かく算出されることになります。
 

出典

内閣官房 国家公務員の給与(令和4年版)

人事院 国家公務員の諸手当の概要
e-Gov法令検索 一般職の職員の給与に関する法律
駅探 定期代検索 渋谷駅から虎ノ門駅までの定期代

e-Gov法令検索 人事院規則九―一七(俸給の特別調整額)

e-Gov法令検索 一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律 第5条第1項

 
執筆者:古田靖昭
二級ファイナンシャルプランニング技能士

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