18歳が大人とみなされる? 大人になるために必要なお金の知識とは

配信日: 2022.06.28

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18歳が大人とみなされる? 大人になるために必要なお金の知識とは
2022年4月、成年年齢が18歳に引き下げられましたが、18歳や19歳の方に未成年者取消権を行使することができなくなったため,悪徳商法などによる消費者被害の拡大が懸念されています。
 
成人前後に消費者トラブルの被害者にならないために、「未成年取消権」を含めて、知っておくべきお金の知識とはなんなのか、大人として自分のお金を守る方法を理解しておきましょう。 
當舎緑

執筆者:當舎緑(とうしゃ みどり)

社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。著書は、「3級FP過去問題集」(金融ブックス)。「子どもにかけるお金の本」(主婦の友社)「もらい忘れ年金の受け取り方」(近代セールス社)など。女2人男1人の3児の母でもある。
 

未成年だから許される?

急に“大人だ”といわれても、本人からすると「何が違うの?」と思うかもしれません。しかし、成人とみなされると行動には責任が伴います。
 
成人後の行動で大きな影響がある行動のひとつに、「単独で契約を結ぶことができる」ことがあります。
 
民法では,未成年者が親の同意を得ずに契約した場合には,原則として契約を取り消すことができます(「未成年取消権」といいます)。
 
そのため、本人が親に黙って何らかの契約を結んだ場合でも、「未成年だから」「取り消しができるから」と、被害にあわずに済んでいました。
 
未成年者取消権は未成年者を保護するためのものであり,未成年者の消費者被害を抑止する役割を果たしてきたのです。未成年だから許されていたことが、今後、18歳、19歳の方では許されなくなります。
 

消費者トラブルは他人ごとと思わない

自分はだまされない、被害にあうことはない、など、他人ごとだなんて思わないでください。
 
未成年のときに投資用USBを勧誘され、成人してすぐに借金を指南されて契約したという事例があります。たとえ「投資用USB」を購入して、投資ノウハウを知ったとしても、1万円を1年間で何百万にできる、そんな夢のような話はあり得ません。
 
ただ、自分の身近な知人や友人などから、「こんなもうかった人がいる」「あの人もすごい収入があるらしい」などと経験談を聞かされると、警戒のハードルが下がってしまうのかもしれません。
 

消費者教育はどんどん重視されている

消費者教育は、政府としての取り組みとしても進んできています。
 
小・中・高等学校等における消費者教育の充実(例:契約の重要性、消費者の権利と責任など)や、消費者契約法の改正、全国共通の3桁の電話番号である消費者ホットライン「188」の周知や相談窓口の充実など、さまざまな環境整備の施策に取り組んできました(※)。
 
ただ、学校などで学んだとしても、「あ~そんなこと聞いたな」という感想を思っているくらいでは意味がありません。
 
消費者教育の中で、悪徳商法に対抗できる重要な対処方法、「クーリングオフ」と「消費契約法」という2つの言葉と内容については、ぜひ覚えていただきたいものです。
 

「クーリングオフ」と「消費者契約法」はどんなときに使える?

■クーリングオフ

いったん契約の申し込みをしても、契約を再考できるようにして、一定の期間内であれば、契約の撤回や解除ができる仕組みです。
 
一定の期間と申し上げましたが、契約によって8日、もしくは20日のいずれかの期間内に、書面で「通知」することが必要です。
 
通信販売にはクーリングオフ制度はありませんが、多くの取引はクーリングオフの対象となっており、書面で通知するだけで相手の承諾が必要でないという点では、とても使い勝手のよい制度です。
 

■消費者契約法

消費者契約法によって、個人と事業者との間に結ばれた契約が不当な場合には、そもそも「無効」だと定められました。
 
業者によっては、デメリットを小さく、メリットを大きく言ってしまうこともあるかもしれません。このように、メリットだけを言って結ばれた契約は無効で、契約書に、「消費者の解除権を放棄させる」「損害賠償責任の全部を免除、もしくは事業者の故意または重過失による場合に損害賠償責任の一部を免除する」条項が盛り込まれている場合も、無効です。
 
キャンセル料のうち、平均的な損害を超える部分、例えば「毎月の家賃の支払期限までに支払わない場合、年30%の遅延損害金を支払うものとする」など、明らかに過大なキャンセル料が記載された条項も無効となります。
 
ただ、「無効」だということを事業者に連絡しても、応じてくれないケースはあるかもしれません。
 
そんなときに、いきなり弁護士に依頼するというのはハードルが高いかと思いますので、お近くの自治体の消費生活相談、もしくは各事業者団体が消費者向けに相談窓口を設置しているケースもあるので、調べておきましょう。
 

出典

(※)法務省 成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議

 
執筆者:當舎緑
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

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