更新日: 2022.06.29 子育て

ひとり親世帯の子どもが大学進学する場合、どんな支援制度がある?

ひとり親世帯の子どもが大学進学する場合、どんな支援制度がある?
子どもの大学進学には、多くの費用がかかります。日本では、経済的な理由で進学を諦めることのないように、さまざまな支援制度を設けています。
 
その中で、ひとり親世帯が利用できる支援制度にはどのようなものがあるのでしょうか?また、ひとり親世帯でなくても利用できる支援制度についても、併せて紹介します。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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母子父子寡婦福祉資金貸付金制度

厚生労働省の管轄の元で行われている制度です。この制度は、20歳未満の子どもを扶養している、配偶者のない女性や男性、寡婦などに対して、さまざまな資金を無利子もしくは低金利で貸してくれる制度です。
 

■修学資金

貸付資金の種類にはさまざまなものがありますが、大学進学の目的で利用できる資金として「修学資金」が挙げられます。
 
貸付の対象となるのは、「母子家庭の母が扶養する20歳未満の子ども」「父子家庭の父が扶養する20歳未満の子ども」「父母のいない20歳未満の子ども」「寡婦が扶養する20歳未満の子ども」です。
 
貸付内容は高校や大学などに通うための授業料や書籍代、交通費などで、限度額(月額)については、図表1のとおりです。
 
<図表1:私立で自宅外通学のケースを想定>


 
在学期間中無利子で借りることができ、返済期間は最長20年です。親が借りる場合は子どもが連帯借受人となり、子どもが借りる場合は親等が連帯保証人となります。
 

国の教育ローンの優遇

日本政策金融公庫が行っている「国の教育ローン」では、ひとり親世帯に対し、金利や保証料について優遇策を設けています。
 

■金利

通常、国の教育ローンを利用する際の金利は、2022年5月2日現在で年1.8%です。ひとり親世帯の場合は年1.4%まで軽減されます。
 

■保証料

連帯保証人を立てない場合、教育資金融資保証基金に保証してもらうことになり、借入金額や返済期間に応じた保証料が必要になります。ちなみに、借入金額100万円あたりの保証料の目安は図表2のとおりです。
 
<図表2:2022年4月1日以降の借入金に対する保証料>


 
この保証料が、ひとり親世帯の場合、2分の1まで減額されます。
 

高等教育の就学支援新制度

文部科学省により令和2年4月から始まった「授業料等減免」、および「給付型奨学金」の制度です。世帯収入要件や資産要件などの要件を満たすことで、大学における授業料の減免を受けられるほか、給付型奨学金(返還不要)を受けることもできます。
 
この制度はひとり親世帯だけでなく、要件に当てはまればひとり親世帯以外でも利用できます。
 

■世帯収入要件

年収の目安が270万円以下(住民税非課税世帯)であることが要件です。また、それに準ずる世帯として、年収300万円以下、380万円以下の世帯も対象になります。
 

■授業料および入学金の減免上限額

住民税非課税世帯における、大学の授業料および入学金の減免上限額は以下のとおりです。
 

<国公立>

入学金:約28万円、授業料:約54万円

 

<私立>

入学金:約26万円、授業料:約70万円

 

■給付型奨学金の支給額(年額)

住民税非課税世帯の場合には、以下の額が支給されます(大学・短期大学・専門学校の場合)。
 

<国公立>

自宅通学:約35万円、自宅外通学:約80万円

 

<私立>

自宅通学:約46万円、自宅外通学:約91万円

 
(出典:文部科学省 2020年4月から新しい給付奨学金・授業料等減免制度がスタート! ※)
 

奨学金制度

修学支援制度を利用するなら、併せて日本学生支援機構の奨学金の利用も考えましょう。日本学生支援機構の奨学金には、返還不要の「給付型奨学金」と、卒業後社会人になってから返還が必要な「貸与型奨学金」の2種類があり、給付型奨学金の方が収入要件が厳しくなっています。
 
収入要件は、基本的に住民税非課税世帯であることであり、さらに資産要件もクリアしなければなりません。資産要件は、ひとり親の場合は1250万円以下である必要がありますが、いずれにしてもさまざまなパターンによって、基準や要件が異なるので、事前に確認をしましょう。
 
また、申し込む時期やスケジュールもチェックすることを忘れないようにしてください。
 

まとめ

ひとり親世帯の子どもの大学進学における支援制度には、「福祉資金貸付」や「国の教育ローンの優遇」などがあります。
 
また、ひとり親世帯に限らず、「高等教育の就学支援制度」や「日本学生支援機構の奨学金」についても、所得基準の緩和を行うなど従来よりも利用しやすい内容になっています。
 
もちろん、本稿で紹介した優遇制度や支援制度、奨学金については併用可能ですので、条件に当てはまるなら、利用を考えてみましょう。その際には申込先や必要書類などを事前に公式サイトで確認し、準備したうえで利用の相談や申し込み手続きを行うことをおすすめします。
 

出典

(※)文部科学省 高等教育の修学支援新制度「2020年4月から新しい給付奨学金・授業料等減免制度がスタート!」
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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