更新日: 2022.06.30 その他暮らし

ひとり親が頼れる「公的貸付制度」にはどんなものがある?

執筆者 : 柘植輝

ひとり親が頼れる「公的貸付制度」にはどんなものがある?
ひとり親の方においては日々家事育児、そして仕事に追われさまざまな悩みを抱えられていることでしょう。
 
そのなかでも、特に深刻なもののひとつとしてお金の悩みがあります。お金に悩んでしまったひとり親の方に向け、いざというときに頼ることのできる公的貸付制度について紹介します。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
◆お問い合わせはこちら
https://www.secure-cloud.jp/sf/1611279407LKVRaLQD/

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

公的貸付制度の概要

公的貸付制度とは、主に収入が低く生活に困っている方や世帯に向け、自治体をはじめとする公的機関やそれに準ずる機関が実施している貸し付けで、公的融資制度などといわれることもあります。公的貸付制度は原則、将来的には返済が必要になります。
 
公的貸付制度は、無利子や低利子でお金を借りられ、かつ、返済方法やプランも一般的な金融機関や消費者金融などと比べて柔軟に対応されています。時には返済が免除されることもあるため、金銭的な問題を抱えるひとり親世帯がいざというときに頼りやすい仕組みとなっています。
 

ひとり親が頼れる公的貸付制度の具体例

ひとり親が受けられる公的貸付制度はいくつかあります。今回はそのなかから代表的なものとして母子福祉資金・父子福祉資金貸付制度と生活福祉資金貸付制度について紹介します。
 

母子福祉資金・父子福祉資金貸付制度

「母子福祉資金・父子福祉資金貸付制度」とは、母子家庭・父子家庭をはじめとする寡婦の親やその子どもなどに対して学費や就労のための費用、生活費などについて必要最小限度のお金の貸し付けを行う制度です。
 
例えば、失業中の生活を安定させるためであれば生活資金として最大で6ヶ月の間、月額10万5000円を借りられる可能性があります。
 
しかし、申請にあたっては連帯保証人が必要であることや、原則お金が必要となる3ヶ月前から相談しておくことが必要であるなど、人によってはハードルが高く設定されていると感じられる制度になります。本制度についての詳細の確認や申し込みはお住まいの自治体の福祉課などへお問い合わせください。
 

生活福祉資金貸付制度

「生活福祉資金貸付制度」とは、ひとり親を含む低所得世帯などに対して、生活費をはじめ必要な資金の貸し付けなどを行う制度です。本制度に基づき図表1にある4つの支援金が運用されています。
 
図表1

支援の種類 概要
総合支援資金 主に生活再建までに一時的に必要な費用の貸し付けを
受けられる。
福祉資金 日常生活上一時的に必要な費用の貸し付けを受けられる。
教育支援資金 低所得世帯に属する方が高校や大学、高等専門学校へ
就学・入学に必要な経費の貸し付けを受けられる。
不動産担保型生活資金 低所得ないし要保護の高齢者世帯が不動産を担保に生活資金の貸し付けを受けられる。

※筆者作成
 
特に「総合支援資金」や福祉資金のひとつである「緊急小口資金」は新型コロナウイルスの影響を受けているひとり親世帯も利用できるものになります。
 
また、総合支援資金は、収入の減少や失業などによって日常生活が困窮している場合に、生活再建のために必要なお金を月額20万円の貸し付けを最大3ヶ月間受けられるものです。
 
一方、緊急小口資金は、緊急かつ一時的に生活費が必要となる場合に無利子かつ保証人が不要で最大20万円の貸し付けを受けることができるものです。
 
上記2つの制度は、無利子かつ保証人も不要で貸し付けを受けられるようになっているほか、返済時に住民税非課税となっている世帯に対しては返済が免除されることもあります。
 
生活福祉資金貸付制度では状況に応じてさまざまな貸付制度が用意されています。制度の詳細や申し込みについては最寄りの社会福祉協議会へご相談ください。
 

頼れる貸付制度について知りたいときはどうすればいい?

生活に困っているひとり親の方において、自身が利用できる、頼ることのできる貸付制度について知りたいというときは、まずお住まいの市区町村役場に相談してみてください。利用できる可能性のある貸付制度について概要の紹介や、担当となる窓口の紹介を受けられることがあるからです。
 
また、社会福祉協議会に直接相談するのもよいでしょう。いずれにせよ、1人で悩むことなく、早めに公的機関に相談することが大切です。
 

ひとり親世帯で生活に困ったら公的貸付制度の利用検討を

ひとり親である方においては、公的機関の支援により、生活の状況に応じてさまざまな公的貸付制度を受けられるようになっています。公的貸付制度は基本的に返済が必要になりますが、極力返済の負担が小さくなるように運用されています。
 
今現在生活に困っている、あるいは困りそうだというひとり親世帯の方は、お住まいの市区町村役場や最寄りの社会福祉協議会などへ公的貸付制度について相談してみてはいかがでしょうか。
 

出典

川崎市 母子・父子・寡婦福祉資金貸付制度
川崎市 川崎市母子・父子・寡婦福祉資金貸付事業
社会福祉法人全国社会福祉協議会 (別表1)生活福祉資金一覧
厚生労働省 生活福祉資金貸付制度
厚生労働省 生活福祉資金の特例貸付
 
執筆者:柘植輝
行政書士

ライターさん募集