更新日: 2022.07.06 子育て
私立高校の「実質無償」の「実質」とは? 無償にならないのはどんな費用?
ただし、ここで無償になるのは、授業料のみです。高等学校は義務教育ではないため、授業料を始めとしてさまざまな費用がかかります。
今回は、私立高校の授業料実質無償化制度の内容と、無償にならない費用とその額について解説します。
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
聞くのは耳ではなく心です。
あなたの潜在意識を読み取り、問題解決へと導きます。
https://marron-financial.com
私立高校授業料実質無償化
私立高校授業料実質無償化制度は、世帯の年収に応じて、私立高校の授業料を支援してもらえる制度です。
世帯年収に応じて支給の上限額が設けられており、上限額までであれば、授業料が実質無償になります。上限を超えた部分については、自己負担です。
■所得判定基準
無償化が適用される所得の判定基準は、「市町村民税所得割の課税標準額×6%-市町村民税の調整控除の額」によって判定します。
所得基準に相当する年収の目安は、片働きか共働きか、また子どもの数によっても異なります。
<図表1>
<図表2>
■無償化になるのは授業料のみ
この私立高校授業料実質無償化の制度によって無償となるのは、授業料のみです。そのため、無償とならない費用がどのくらいあるのか、またその額についても把握しておく必要があります。
(出典:文部科学省 令和2年4月から私立高校授業料実質無償化がスタート! ※1)
私立高校にかかる費用
文部科学省が発表している「平成30年度子供の学習費調査」(※2)の結果によると、私立高校にかかる費用は、大きく分けて「学校教育費」と「学校外教育費」があります。それぞれの内訳は次のとおりです。
■学校教育費
私立高校(全日制)における学校教育費(年間)は71万9051円で、その内訳は図表3のようになっています。
<図表3>
つまり、授業料無償化の上限は39万6000円ですので、所得基準に該当する世帯は、授業料が全額無償となりますが、それ以外の費用は自己負担です。
■学校外活動費
さらに、学校外活動費も「補助学習費」と「その他の学校活動費」に分類され、詳細は図表4のとおりとなっています。
<図表4>
学校外活動費の合計額は25万860円で、上記の学校教育費から授業料を差し引いた額を加えると、授業料の支給があったとしても、それ以外に年間約74万円の負担が発生することが分かります。
授業料の支給期間と支給限度額
また、無償化で支給される授業料の支給期間と支給限度額は、その授業が定額制か単位制かによって異なります。
■授業料が定額制の場合
授業料が定額制の場合、支給期間は3年、支給限度額は月額3万3000円です。ただし、単位制授業料の場合、支給期間は3年ですが、支給限度額は1単位あたり1万6040円です。
また、その単位数も通算で74単位、年間30単位までと決まっています。
高校生等奨学給付金
私立学校では、授業料以外の費用が家計の負担になるケースもあります。そのような場合には、「高校生等奨学給付金」制度を利用できます。
ただし利用できるのは、生活保護受給世帯、そして住民税所得割が非課税の世帯です。
私立高校(全日制)における令和4年度の給付額(年額)は図表5のとおりです。
<図表5>
給付金ですので、返還不要となっており、家計急変世帯でも利用できます(申し込み付きによって給付額は変動)。
利用できるのは授業料以外の教育費で、「教科書費」「教材費」「学用品費」「通学用品費」「教科外活動費」「生徒会費」「PTA会費」「入学学用品費」「修学旅行費」になどです。
(出典:文部科学省 高校生等奨学給付金 ~奨学のための給付金~(※3))
まとめ
私立高校の授業料実質無償化で対象となるのは、あくまでも授業料です。それ以外の費用については無償とはなりません。
ただし、それを支援するための制度も存在します。所得制限など要件を満たす必要がありますが、要件に該当するなら、積極的に利用するようにしましょう。
申込先は学校や住んでいる都道府県など異なりますので、事前に確認し、早めに申請しておくと安心です。
出典
(※1)文部科学省 令和2年4月から私立高校授業料実質無償化がスタート!
(※2)文部科学省 平成30年度子供の学習費調査 2.調査結果の概要
(※3)文部科学省 高校生等奨学給付金 〜奨学のための給付金〜
文部科学省 支給期間・支給限度額一覧(令和2年4月以降)
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員