更新日: 2022.07.08 その他暮らし

「家の解体費用」が高額になりやすいケースとは? 工事前後で分かるものを解説

執筆者 : 古田靖昭

「家の解体費用」が高額になりやすいケースとは? 工事前後で分かるものを解説
家を解体する際、あらかじめ見積もりを取ってから工事を始めても、実際に工事を進めますと、予想外の追加費用が発生し、当初の見積価格よりも高額になることがあります。
 
解体に要するさまざまな費用の中には、事前に把握できるものと、工事が実際に始まってから判明するものがあります。
 
本記事ではそれぞれの費用の種類やポイントについて解説します。
古田靖昭

執筆者:古田靖昭(ふるた やすあき)

二級ファイナンシャルプランニング技能士

解体工事にかかる主な費用

家の解体工事は、工事前の見積もり段階でおおよそのかかる費用が分かります。もし解体業者の見積もりを確認したときに、「工事一式」のような書き方をされている場合は、工事内容が不透明な“どんぶり勘定”となっている可能性があるため注意が必要です。
 
解体工事の見積時にかかる主な費用をご紹介します。
 

解体工事費用

解体工事費用は、家を解体するにあたってかかる費用で、主に「作業員の人件費」や「解体業者の利益」が含まれています。解体業者は営利企業であるため当然、利益を得る必要があります。ただ、その利益が「適正価格」なのかを判断するために、できれば他の解体業者と「相見積もり」を取って比較するようにしましょう。
 
また、家の解体で排出される廃材などは「産業廃棄物」となるため、「建設リサイクル法」に基づいた適正な方法で処理しなければならず、その分の「廃棄物処理費用」もかかります。
 

仮設工事費用

仮設工事費用は、家を解体する際の足場の設置や養生シートを覆うためにかかる費用です。足場の設置は、作業員が解体作業する際に安全面を確保するために必要となります。養生シートについては、工事中の騒音や粉じんの飛散によって近隣住民に迷惑がかかるのを防ぐために設置します。
 

付帯工事費用

付帯工事費用は、家の中にある家財道具や、敷地内にある門扉やブロック塀などの撤去にかかる費用です。付帯工事によって出た廃棄物は「一般廃棄物」となるため、解体工事によって出た産業廃棄物と区別して廃棄する必要があります。
 

諸費用

諸費用は、解体工事を行う前の「道路使用許可の申請費用」や、「工事車両の駐車場料金」などといった解体工事に要するさまざまな費用のことです。
 

追加費用の可能性がある工事

解体工事前にある程度は把握できる費用だけでなく、解体工事が始まってからでなければ分からない費用もあります。
 

地中埋設物撤去費用

地中埋設物とは、以前の建物の基礎部分や、ゴミなどの一般廃棄物などの建物の下に埋まっているものをいいます。現在では廃棄物処理法の定めにより、地中に廃棄物を埋めることは基本的に禁止されています。しかし、過去には地中に廃棄物を埋める業者も存在していました。
 
見つかった地中埋設物は、解体工事を依頼した人の負担になってしまうため、あらかじめ地中埋設物撤去費用がかかる可能性があることを考慮に入れておくとよいでしょう。
 

近隣住民のクレームによる延期費用

近隣で、解体工事の騒音や粉じんの飛散などによって被害が出た場合、解体工事を中断しなければならないことがあります。クレームなどの対応が終わりますと、工事が再開されます。
 
しかし、当初予定していた工事の工期が延長されるため、延期や延長にかかる費用を解体工事の依頼者が負担することになる場合があり、注意が必要です。
 

解体業者の測定ミスによる追加費用

解体業者は家を解体するにあたって面積を測定します。しかし、実際に解体したときに測定値よりも建物が大きかった場合、追加費用を請求されることがあります。
 
もし、測定ミスなど明らかな過失が解体業者に認められる場合は、見積時に提示された金額以外に追加費用分を支払う必要が発生しない可能性があります。
 

追加費用がかかる可能性がある場合

解体工事の見積もり段階では、解体工事業者にも分からないことがあります。しかし、どのような不確定要素があるかを事前に想定することはできるため、見積もり段階で、追加費用が発生した場合にどのくらいの費用水準になるのかを解体業者に確認しておくとよいでしょう。
 
また、必要があれば工事中に、例えば地中埋設物が見つかった場合にかかる費用などを逐一報告してもらうことで、最終的にかかる解体費用を早めに把握することもできます。
 

出典

環境省 建設リサイクル法の概要
e-Gov法令検索 廃棄物の処理及び清掃に関する法律
 
執筆者:古田靖昭
二級ファイナンシャルプランニング技能士

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