教育資金の準備はどのようにしたらよい? 効率よく準備するためにできることはある?
配信日: 2022.07.11
今回は「教育資金」の準備をするための方法などをお伝えします。
執筆者:上山由紀子(うえやま ゆきこ)
1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者
1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者 鹿児島県出身 現在は宮崎県に在住 独立系ファイナンシャル・プランナーです。
企業理念は「地域密着型、宮崎の人の役にたつ活動を行い、宮崎の人を支援すること」 着物も着れるFPです。
親としての教育資金の目標金額を決める
子どもが生まれたら、親が子どもにしてやれることの一つとして、教育資金の金額のことも考えてみましょう。大学進学を国立にするか私立にするかなど、大まかでも親がおおよそ決めておきます。そして子どもが意思表示をするようになったら、話し合って進学先を決めるとよいでしょう。
教育資金の目安として、文部科学省によると国立大学は4年間で約240万円(※1)、私立大学文系では約408万円(※2)となります。大学へ進学してかかる学費などを考慮し、毎月幾ら貯めていくとよいのかをしっかりと把握しておきましょう。
子どもが県外の大学に進学する場合は、住居費なども把握しておく必要があります。
一番シンプルな教育資金の準備は?
教育資金を貯めると考えるとつい構えてしまいがちですが、実はとても簡単です。まずは、自分のお財布から出さなくてもいい方法です。
(1)児童手当制度を利用しよう。
子どもが生まれると国の児童手当制度を利用できます。中学生まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の子どもを育てている方に支給されます。支給額は子どもの年齢や生まれた順位によって異なります(※3)。
【支給額】
児童の年齢 | 児童手当の額(1人あたり月額) |
---|---|
3歳未満 | 一律1万5000円 |
3歳以上小学校終了前 | 1万円(第3子以降は1万5000円) |
中学生 | 一律1万円 |
内閣府児童手当制度のご案内を基に筆者作成
例えば、1人目の子どもが生まれたとして、上記の一覧表を基に計算してみます。
〈3歳未満〉
36ヶ月(3年)×1万5000円=54万円
〈3歳以上小学校終了前〉
108ヶ月(9年)×1万円=108万円
〈中学生〉
36ヶ月(3年)×1万円=36万円
合計すると198万円です。
ただし、注意も必要です。収入の多い方は所得制限があります。所得制限のある方も扶養親族等の数や所得制限限度額によって児童1人につき5000円が支給されますが、令和4年の10月支給分からは所得上限限度額により支給されない方もいますので確認が必要です。
(2)子どものために毎月積み立てよう。
子どもが生まれたら毎月1万円ずつ積立貯金を始めましょう。会社で積み立てがあれば活用して、もしなければ金融機関で自動的に差し引かれる仕組みを作ってください。最初の手続きは面倒かもしれませんが、あとは忘れていても自然と貯まる仕組みです。
子どもが生まれて大学に行くまでには、18年間あります。毎月1万円積み立てると1万円×12ヶ月×18年=216万円となります。
また、満期になった貯金は10年以上の期間があれば、個人向け国債10年変動に預けてもいいと考えます(※4)。個人向け国債10年変動は、半年ごとに利率が見直され下限の利率も決まっています。半年ごとに利息が付き、満期まで所有すると預けた金額が戻ってきます。
ただし、ペナルティーもあります。途中で解約すると直近の利息2回分を返すことになります。満期まで所有することをお勧めします。児童手当と貯蓄の組み合わせで、私立大学文系の4年間の教育費はシンプルに貯めることができるでしょう。
まとめ
今回はシンプルに無理なく教育資金を貯める方法をお伝えしました。
子どもが生まれたら親として、少なくとも大学進学のために、教育資金を確実に貯めておくことが大切だと思います。現代では投資で教育費を貯めることも考えられます。確実に貯めるとするとリスクのない預貯金などで運用しておく方がよいと思います。
出典
(※1)文部科学省 国立大学等の授業料その他の費用に関する省令
(※2)文部科学省 令和3年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調整結果について
(※3)内閣府 児童手当制度のご案内
(※4)財務省 個人的イチオシ! 個人向け国債
執筆者:上山由紀子
1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者