「東京の生活費」は本当に高い? 物価指数からみる「都心の生活」
配信日: 2022.07.11
本当に高いかどうかは、総務省統計局が2020年に行った「小売物価統計調査」をみれば分かります。
執筆者:北川真大(きたがわ まさひろ)
2級ファイナンシャルプランニング技能士・証券外務員一種
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証券外務員一種
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資料からみえる東京の生活費
総務省統計局が2020年に公表した消費者物価地域差指数では、最も高い東京都と最も低い宮崎県の差は、わずか10%です。東京都と全国平均の物価の差は5.2%しかありません。
仮に宮崎県で月20万円で暮らしている人が上京しても、増える生活費は月2万円です。東京都区部に限っても、全国平均と比べた物価の差は6%にとどまります。
これほど差が少ないにもかかわらず、東京の物価が高いイメージを持たれるのには理由があります。
東京都で特に高い生活費ベスト3
東京都は、全国平均と比べて極端に住居費が高いです。住居を含め、東京都が特に高い生活費3項目は以下のとおりです。
住居
住居費は全国平均と比べて34.5%も高く、突出しています。全国賃貸管理ビジネス協会の資料でも東京都の平均家賃は1部屋で6万8209円となっており、全国平均の5万512円と比べて1.3倍以上です。東京の物価が高いイメージは、住居費にあるといえます。
交通・通信
交通・通信費は全国平均と比べて4.9%高いです。車の駐車場代など、自動車維持費の高さが影響しています。タクシーや鉄道の交通費は高くないため、車を持たなければ交通・通信費は高くならないでしょう。
通信費については、3大キャリアの料金を見ても地域差はありません。
教養娯楽
教養娯楽費は全国平均と比べて4.9%高く、交通・通信費と同率です。書店や娯楽施設が多く、ほかの地域より出費が多くなりやすい環境が影響しています。
また、総務省統計局が実施した2021年の家計調査によると、東京都区部の1ヶ月あたりの教育費の支出は全国平均と比べて7943円高いです。
このことから、教育意識が高く子どもに習い事をさせるなどといった理由で教養娯楽費が多くなる可能性も考えられます。ただしどちらも個人差がある費目なので、利用頻度を抑えれば東京都でも高くなりません。
東京都の生活費は、住居費さえ節約できれば高くない
東京都心の生活費は、住居費以外はさほど高くありません。
住居費は、東京都内でも多摩地方など、家賃の安い地域があります。東京都で地方とほとんど変わらない生活費で過ごしたいなら、不便でも東京23区から離れた地域に住むと良いでしょう。
東京都内にこだわらないなら、隣の千葉県や埼玉県に住むのがおすすめです。1部屋の平均家賃が5万5000円以下まで下がります。
家賃の安い住まいを選べば、首都圏でも地方とさほど変わらない生活費で暮らせるでしょう。
出典
総務省統計局 小売物価統計調査(構造編)結果の概要2020年
全国賃貸管理ビジネス協会 全国家賃動向
総務省統計局 年次家計調査 都市階級・地方・都道府県庁所在市別 二人以上の世帯・勤労者世帯・無職世帯2021年 表番号1-1
執筆者:北川真大
2級ファイナンシャルプランニング技能士・証券外務員一種