更新日: 2022.07.12 その他暮らし

取引先が倒産してしまった! そんな時のための経営セーフティ共済とは

執筆者 : 田久保誠

取引先が倒産してしまった! そんな時のための経営セーフティ共済とは
経営セーフティ共済とは、「中小企業倒産防止共済制度」といいます。これは、取引先が倒産しても連鎖倒産に巻き込まれないようにするための保険のような制度です。
 
帝国データバンクの調査によると、2021年の1年間の倒産件数は6015件で、1966年以来の低水準ということですが、今後もその傾向が続くかどうかは分かりません。
 
今回は、個人事業主でも加入することができる経営セーフティ共済について説明します。
田久保誠

執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)

田久保誠行政書士事務所代表

CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員

行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。

経営セーフティ共済(倒産防止共済)ってなに? どんな特徴があるの?

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)とは、取引先の事業者が倒産してしまった時に、連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度で、無担保・無保証人で掛け金の最高10倍(上限8000万円)まで借り入れできます。
 
特徴としては以下の4点があげられます。
 

1. 無担保・無保証人で、掛金の10倍まで借り入れ可能

共済金の借り入れは、無担保・無保証人で受けられます。共済金貸付の上限額は次のとおりです。
 
「回収が困難になった売掛金債権などの金額」または、「納付された掛金総額の10倍(最高8000万円)」の、いずれか少ないほうの金額です。
 

2. 取引先が倒産後、すぐに借り入れできる

取引先の事業者が倒産してしまい、売掛金などの回収が困難となった際には、その事業者との取引の確認が済みしだい、すぐに借り入れすることが可能です。
 

3. 掛金を損金、または必要経費に算入できる

掛金月額は5000円~20万円までで自由に選択でき、増額・減額できます。また、確定申告の時には、法人の場合には掛金を損金に、または、個人事業主の場合には必要経費に算入できます。
 

4. 解約手当金が受け取れる

共済契約の解約では、解約手当金を受け取ることができます。自己都合の解約であっても、掛金を12ヶ月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、40ヶ月以上納めていれば、掛け金全額が戻ります(12ヶ月未満は掛け捨てとなります)。
 

どのような時に共済金の借り入れが受けられるの?

共済金の借り入れが受けられる取引先の倒産とは、

●法的整理
●取引停止処分
●でんさいネットの取引停止処分
●私的整理
●災害による不渡り
●災害によるでんさいの支払い不能
●特定非常災害による支払い不能

となった場合です。
 
ただし、夜逃げによる倒産の場合は受けることができません。また、倒産日から6ヶ月を経過した場合には、借り入れ手続きを行うことはできません。
 
また、取引先事業者が倒産していなくても、共済契約者が臨時に事業資金が必要となった場合に、解約手当金の95%を上限として借り入れできる「一時貸付金」という制度もあります。
 

掛金はどうなるの? 経費にできるの?

月額の掛金は、5000円から20万円までの範囲で自由に選択(5000円単位)でき、掛金の総額が800万円に到達するまで積み立てることが可能です。掛金の納付方法は、預金口座からの振替による払い込みとなります。また、前納すると、月あたり掛金月額の1000分の9の前納減額金が発生します。
 
また、掛金総額800万円に達している場合、掛金の払い込みを止めることができ、共済金の借り入れを受けた場合は、6ヶ月間掛金の払い込みを止めることができます。
 
払い込みをした掛金は、税法上では、法人のケースでは損金に、個人のケースでは必要経費に算入することができます。また、1年以内に前納した掛金も払い込んだ期の損金もしくは必要経費に算入することが可能です。
 
しかし、個人事業の場合、不動産所得などの事業所得以外の収入には、掛金の必要経費としての算入が認められませんので注意が必要です。
 

いざという時のために

どんなに与信管理等をしていても、取引先の倒産によってご自身の事業に被害を受けることは、絶対にないとは言い切れません。もし、現在事業資金に余裕があるのであれば、加入を検討してみてはいかがでしょうか。
 

出典

帝国データバンク ホームページ
中小機構 経営セーフティ共済

 
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表

ライターさん募集