何が違うの?【良いインフレと悪いインフレ】 意味を解説
配信日: 2022.07.13
景気の低迷によって起こることとして、消費が減るため、企業の業績が悪くなり、従業員の給与が減ったり、リストラによる失業者が増えたりするなどのデフレーションに陥ります。物価の下落は良いことではなく、デフレーションに陥っている状態となります。
一方でインフレーションには、悪いインフレーションがあるため、景気拡大によるインフレーションと混同されてどちらも悪いものと勘違いされることがあります。
本記事では、「良いインフレーション」と「悪いインフレーション」の意味の違いについて解説します。
執筆者:古田靖昭(ふるた やすあき)
二級ファイナンシャルプランニング技能士
インフレーションとは
インフレーションは、物価が上昇していく現象のことをいいます。普段、日常的に購入している物やサービスの値段が上がっていくことです。
物価が上がる要因は、消費が拡大しているため、需要が増えている状態です。需要が増えることで、企業の売り上げが上昇し、従業員の給与が上がり、需要を満たすために設備投資や従業員の増員も行われます。従業員の給与が増えたり、失業者だった人が定職に就いたりすることで、さらに消費が拡大していくことになります。
つまり、消費が増えることで景気が拡大し、インフレーションが起こります。
行き過ぎたインフレーション
景気がさらに拡大しますと、企業は利益を増やすために不動産や株式などに投資し、個人も同様に上がった給与を使って投資を行うようになります。投資によって、不動産価格の高騰や株価の上昇が起こり、バブル経済が発生します。
バブル経済は、どこかのタイミングで保有している不動産や株式が売却されることによって、はじけてしまいます。ひとたび発生しますると、緩やかに落ち着かせることが難しく、「バブルの崩壊」によって景気が後退することになります。
悪いインフレーションは家計を圧迫
良いインフレーションが景気の拡大期に起こるのに対して、悪いインフレーションとは、景気に関係なく物価が上昇することです。
悪いインフレーションは、原油や原材料価格が何らかの現象によって高騰することで起こる物価上昇です。何らかの現象とは、紛争によるものなどがあります。原油や原材料価格の高騰は、企業の業績を圧迫するため、景気が後退してしまいます。
日本では、1970年代に起きたオイルショックが代表的なもので、その後景気が後退しています。景気が後退しているときに起こるインフレーションを「スタグフレーション」といいます。オイルショック程ではないにせよ、ロシアのウクライナへの侵攻において、世界的なエネルギー価格の高騰が起きており、悪いインフレーションの傾向が起きています。
緩やかなインフレーションが望ましい
インフレーションが悪いものと捉える要因は、悪いインフレーションの影響が強いといえるでしょう。お伝えしてきたように、消費が増えることで景気が拡大し、給与が上がるようになります。
しかし、デフレーションの場合、物価が下落するものの企業の業績が悪くなることで、従業員の給与が減り、リストラによる失業者も増えるため、多くの人にとってはマイナス面が大きいといえます。
ただし、インフレーションが加速することで、バブル経済が発生すると景況感が高まりはしますものの、実体経済とはかけ離れたものとなるため、はじけることが前提となってしまいます。はじけますと景気が低迷し、デフレーションに陥ることになります。
そのため、インフレーションの中でも緩やかに景気が拡大している状態が最も望ましい状態といえるでしょう。
出典
SMBC日興証券株式会社 初めてでもわかりやすい用語集 デフレ
SMBC日興証券株式会社 初めてでもわかりやすい用語集 インフレ
株式会社小学館 日本大百科全書 バブル経済
SMBC日興証券株式会社 初めてでもわかりやすい用語集 スタグフレーション
資源エネルギー庁 エネルギー白書2022について
執筆者:古田靖昭
二級ファイナンシャルプランニング技能士