「レジ袋有料化は義務ではない!」有料化する理由と問題について解説
配信日: 2022.07.13
本記事では、レジ袋を有料化する理由や問題点について解説します。
執筆者:古田靖昭(ふるた やすあき)
二級ファイナンシャルプランニング技能士
そもそもレジ袋有料化は義務ではない
コンビニやスーパーに行くとほとんどの店において、会計する際に「マイバッグをお持ちですか? 」「レジ袋は有料ですけどおつけしますか? 」と聞かれます。
レジ袋は、2020年7月1日に全国で有料化されました。レジ袋は大きさによるものの2〜5円程で販売されています。しかし、レジ袋有料化の対象は全てのレジ袋ではありません。
有料化対象外のレジ袋は、「紙袋」、「布袋」、「持ち手のないプラスチック袋」、「プラスチックフィルムの厚さが50マイクロメートル以上の繰り返し使用できる袋」などです。また、環境に配慮した、「海洋生分解性プラスチックの配合率100%のもの」や「バイオマス素材の配合率が25%以上のもの」も対象外です。
しかし、本来対象外である「紙袋」も有料で販売している店もあるなど、全てのレジ袋の有料化が義務化されたように錯覚してしまいます。
レジ袋有料化は政府によって推奨
レジ袋有料化は、法律によって制定されたものではなく、既存の容器包装リサイクル法(容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律)第7条の4第1項の規定に基づく省令改正によって対応しています。この政策に関わっているのは、環境省を中心に経済産業省、財務省、厚生労働省、農林水産省です。
仮に店舗側がレジ袋有料化を無視した場合、省令に基づいて指導や助言、さらに著しく不十分と認められるときに、勧告や公表、命令を行い、それでも無視した場合に罰金が科されることになります。レジ袋有料化は実質的に義務化になっていますが、形式的には「政府が出す命令に従わないことによる罰金」となるため、レジ袋有料化が法律に基づく義務となっているわけではありません。
レジ袋有料化の問題点
レジ袋有料化のメリットは、全国の有料化によってレジ袋の廃棄量が減ることや消費者の啓発につながったといえます。デメリットは、消費者や店舗それぞれにあります。
消費者からみれば、家庭用のゴミ袋として使用していたレジ袋の代わりに、レジ袋と同じようなサイズのプラスチック製の袋を購入することになるなど、無料でもらっていたレジ袋がもらえなくなったことで不便になったと感じることや、プラスチック製のごみ袋の量が増えれば意味がないと思われてしまいます。
店舗では、エコバッグの普及によってスーパーなどで万引きの増加が懸念されています。また、レジ袋の有料化を環境に貢献している企業であるというアピールに使ったり、有料化対象外の、例えば「紙袋」といったものを便乗して有料化する店があったりします。
レジ袋有料化は無駄なことではない
レジ袋有料化の問題点を紹介してきましたが、消費者の環境に対する意識の醸成や、企業による環境に配慮したエコバッグの販売などにつながっているため、無駄なことではないといえます。
世界では、地球環境に対する問題が話し合われており、各国の政府や企業の努力が求められています。政府や企業だけが環境に配慮するだけではなく、消費者意識として環境への考え方や貢献の仕方がさらに醸成されるようになることで意識も高まっていくといえるでしょう。
出典
消費者庁 プラスチック製買物袋の有料化
経済産業省 プラスチック製買物袋有料化実施ガイドライン
e-Gov法令検索 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律
経済産業省 容器包装リサイクル法の関係省令新旧表
執筆者:古田靖昭
二級ファイナンシャルプランニング技能士