更新日: 2022.07.15 暮らし

「養育費」の未払い分、さかのぼって請求できるのはいつまで?

執筆者 : 柘植輝

「養育費」の未払い分、さかのぼって請求できるのはいつまで?
離婚後に起こる可能性がある問題の1つに、子どもの養育費の未払いがあります。
 
本来、支払われるはずの養育費が未払いとなっている場合、いつまでさかのぼって請求し、支払いを受けることができるのでしょうか?
 
今回は、養育費の未払いと請求について解説します。
 
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

養育費の支払い義務

養育費とは、子どもが経済的、社会的に自立するまでの間に必要となる費用のことです。具体的には生活費や学費、医療費など、子どもが成人して独立するまで生きていくために必要な費用です。
 
養育費の支払いは親の義務です。この義務は離婚しても残るため、離婚した相手が引き取った子どもに対して、養育費を負担する義務があります。通常、養育費は子どもが成人に達するまで支払われることになりますが、成人後も学生であるなど、親の支援が必要であると認められる場合は、養育費を負担する義務が生じます。
 
なお、養育費の支払い義務の有無は性別によって決まるわけではないため、基本的には父親が子どもを引き取って育てる場合でも、母親には経済力に応じて養育費を負担する義務があります。
 

未払いの養育費はいつまでさかのぼって請求できる?

「離婚後、毎月5万円の養育費を支払う」など、養育費についてお互いに合意があった場合で未払いが続いたときは、さかのぼって請求することができます。このケースで、毎月5万円の養育費の支払いを1年間滞納していた場合では、1年分(60万円)をさかのぼって請求できるというわけです。
 
ここで気になるのが、養育費は何年前の分までさかのぼって請求できるのかという点です。
 
例えば、養育費の支払い中に相手が音信不通となったり、「すでに過ぎた分の養育費は時効だから払う必要はないだろう」と相手から支払いを拒否されることもあり得ますが、養育費の時効は5年となっています。
 
つまり、支払いを受けられなかった養育費について、5年前までの分であれば、さかのぼって請求することができます。なお、裁判や調停で確定した養育費の支払いについては、5年ではなく10年で時効となります。
 

支払いの合意がない養育費は請求できるのか

養育費の支払いについて、あらかじめ合意があれば、その合意に基づいて未払いとなっている分を請求できます。また、合意がなかったとしても、一度請求が行われていれば、以降の養育費も請求することが可能です。
 
しかし、合意も請求もない状況で、過去の養育費をさかのぼって請求することは非常に困難です。例えば、養育費の支払いについて取り決めがないまま離婚し、かつ、養育費を請求することなく現在に至っているような場合です。こうした状況で養育費の支払いを受けようと思ったら、相手を説得するか、家庭裁判所で調停を行って強制的に払わせることになります。
 
相手が説得に応じて任意で支払えば、あらかじめ合意があったものと同等になるので、養育費をさかのぼって請求できます。また、時効で支払い義務が消滅している部分についての請求も可能です。
 
相手が説得に応じない場合は、家庭裁判所で調停を行うことになりますが、支払いの合意がない過去の養育費についての請求が認められることは、実務上、ほぼありません。
 
ケース・バイ・ケースとなるので明確にはいい切れませんが、例えば養育費の支払いがなくても今まで生活できていることや、どこまでさかのぼって請求を認めるかの線引きが難しいこと、過去の分まで支払いを認めると金額が過大となってしまい、支払う側の生活が圧迫される、などが理由として挙げられます。
 
いずれにせよ、合意も請求もない状況で過去にさかのぼって養育費の請求をしても、実際に支払いを受けるのは難しいというのが現実です。
 

合意も請求もされていない過去分の養育費は、請求して支払いを受けるのは困難

離婚後の子どもの養育費の支払いについて合意がある場合や、一度は請求がされている場合、以降の養育費は原則5年前まで過去にさかのぼって請求をすることが可能です。
 
ただし、合意も請求もされていない過去分の養育費を請求し、支払いまで受けるのは相当に困難でしょう。
 
未払いの養育費がある場合、時効によって支払いの義務がなくなる前に、相手との話し合いや家庭裁判所への調停の申し立て、弁護士に相談してアドバイスを受けるなど、支払いを受けるための速やかな対応をおすすめします。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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