更新日: 2022.07.15 暮らし

入居後、事故物件だったと判明。退去するときもろもろの費用は返金してもらえる?

執筆者 : 柘植輝

入居後、事故物件だったと判明。退去するときもろもろの費用は返金してもらえる?
度々話題になる事故物件。事故物件に自ら進んで住みたいと考える方は、そうはいないでしょう。
 
もし、自分が入居した物件が事故物件だったとき、それを理由に退去する場合の費用の支払いを受けたり、それまでにかかったもろもろの費用は返金してもらえたりするのでしょうか。
 
国土交通省の「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を参考に、事故物件の退去について解説します。
 
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

事故物件の定義は?

事故物件は法律上、明確に定義されているわけではありません。ただ、一般的には人が亡くなった物件のことを指していわれることが多くなっています。例えば、自殺があった、殺人事件があった、長期間放置された孤独死があった、というような物件が該当します。
 
基本的に上記のような事故物件であっても、住居としての機能には問題のないことが多いのですが、精神衛生上、そういった物件に住みたいと考える方はごくごく少数というのが、一般的でしょう。
 
このように、心理的に抵抗が生じる恐れがある問題点を「心理的瑕疵(かし)」といい、心理的瑕疵がある物件が「事故物件」と呼ばれています。
 
なお、シロアリ被害や老朽化などでボロボロである、土地や建物に法律上の制限が課せられているなど、物理的または法律的瑕疵のある物件も事故物件といわれることもありますが、本記事では、心理的瑕疵のあるものを事故物件として話を進めていきます。
 

事故物件の場合は退去費用や支払い済みの費用はどうなる?

自分が住んでいる物件が心理的瑕疵のある事故物件だと判明した場合、多くの方は退去を検討することでしょう。そうなったとき、退去に必要な費用を負担してもらったり、すでに支払った諸費用などを返金してもらえたりするのでしょうか。
 
物件で人が亡くなっていれば、原則、不動産会社は契約前に賃借人に告知しなければならないとされています。不動産会社が意図的に告知を行わなかった、あるいは過失によって告知していなかった場合、契約の解除とともに、損害賠償を請求することができる可能性が高いといえます。
 
それによって、退去時にかかる費用を支払ってもらえるだけでなく、入居にかかった費用についても返還を受けられ、さらには慰謝料の支払いを受けられる可能性もあります。この点については、住宅の売買であろうと賃貸であろうと、基本は同じ結論となります。
 

事故物件であっても告知義務がないこともある

どんな状況であれ、物件やその敷地内で人が亡くなっていれば事故物件となり、不動産会社には告知する義務があると一般的には考えるでしょう。
 
しかし、老衰などの自然死、転倒事故や浴室での溺水事故といった、日常生活の中で起こり得る不慮の死亡などは、特殊清掃が必要となるような状況を除いて、不動産会社には告知義務がないため、事故物件を理由にした契約解除や諸費用の支払い請求などができません。マンションなどであれば、隣接する部屋や日常生活で使用しない共用部分などで発生した死亡についても、同様です。
 
また、賃貸の場合は一般的に、該当する事由が発生してから(特殊清掃が行われた場合は清掃後)、おおむね3年の経過で告知義務がなくなるとされています。
 
このように事故物件であっても、死因や亡くなった場所、時間の経過などによっては告知する必要がないとされることもあり、契約解除や退去費用などの請求ができないケースもあるため、注意が必要です。
 

事故物件を避けるためには事前の確認が大切

事故物件であることを意図的に隠す業者はほとんど存在しませんが、不動産会社の過失や確認不足などで運悪く事故物件に当たってしまう可能性は、ゼロではありません。
 
万が一、事故物件に入居してしまったとしても、原則、契約の解除や退去費用の請求などができますが、状況次第では補償も受けられず、泣き寝入り状態になってしまうこともあり得ます。
 
事故物件を避けたいと考える方は、引っ越しや不動産の購入に当たっては、不動産会社に念入りに確認するようにしてください。
 

出典

国土交通省 宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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