更新日: 2022.07.22 その他暮らし

いつどこで起こるのか分からない災害、罹災証明書について理解しておきましょう!

いつどこで起こるのか分からない災害、罹災証明書について理解しておきましょう!
2022年は、6月の時点で地域によっては気温が40度を超えるなど、異常気象ともいえる天候が続いています。
 
日本列島では、いつどこで災害が起きるとも限らない状況ですが、万が一、実際に被災した場合に必要となる手続きや役に立つ制度などを、平時の間に確認しておくことは極めて重要です。
 
ここでは、被災した際に申請する「罹災証明書」の概要や、主な被災者支援策などについて確認してみたいと思います。
高橋庸夫

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

罹災証明書の申請と被害認定基準

住宅が自然災害や火災などで被害を受けた場合、市区町村などが被害の程度を認定し、公的に証明する書類を罹災証明書といいます。基本的には、自然災害の場合には市区町村が申請先となり、火災の場合には所轄の消防署で手続きをします。
 
申請期限は災害発生から3ヶ月以内としている市区町村が多く、災害規模に応じて延長される場合もあるため、確認が必要です。
 
また、申請については被災した住宅の居住者または所有者が行うことが基本ですが、代理人が委任状を添付して申請することもできます。
 
罹災証明書の申請がなされると、調査員による現地調査が行われ、被害認定基準を確認・判定し、証明書が発行されます。発行までには基本的に1週間程度かかりますが、自然災害により自治体の庁舎が被災した場合などには、2~3ヶ月の期間を要するケースもあります。
 
災害の被害認定基準は以下のとおり、住宅の主要構造要素の被害の全体に占める損害割合に応じて6つの区分となります。
 
●被害認定基準
 

 
※内閣府 防災情報のページ 「災害に係る住家の被害認定」より筆者作成
 

被害認定基準に応じた主な被災者支援策


 
罹災証明書は、各種の被災者支援策の適用の判断材料として幅広く活用されています。また、火災保険や地震保険の保険金請求の際にも罹災証明書が必要となる場合があります。
 
被災者支援策には、支援金や義援金の給付、各種融資制度のほか、税や保険料、公共料金の減免・猶予、仮設住宅の供与、住宅の応急修理などがあります。
 

(1)住宅の応急修理

災害救助法に基づき、住宅が大規模半壊、中規模半壊、半壊、準半壊の認定を受け、そのままでは住むことができない場合に、日常生活に必要となる台所やトイレなどの部分の応急的な修理を行う制度です。修理限度額は、1世帯当たり59万5000円とされています(準半壊は30万円が限度)。
 

(2)被災者生活再建支援金

該当する自然災害により住宅が全壊した場合をはじめ、被害を受けてやむを得ず解体した、居住できない状態が長期間継続している、また大規模半壊・中規模半壊の住宅に適用される支援金制度です。
 
住宅の被害の状況に応じた基礎支援金と、住宅の再建方法(建築・購入、補修、賃貸)に応じて加算される加算支援金で構成されており、最高で300万円が支給されます。
 

罹災証明書申請時の注意点


 
前述のとおり、罹災証明書の申請には期限があることに注意が必要です。また、自然災害などの被害状況によっては、発行までに期間を要する場合がある点にも留意しましょう。
 
罹災証明書が発行されるまでの間に、各種被災者支援策の申し込みなどで急を要する場合には、「罹災届出証明書」の発行を申請できます。罹災届出証明書とは、申請者が罹災証明書の発行を申請したことを証明する書類で、即時発行されます。
 
罹災届出証明書により、支援策の申し込みや保険金の請求を受け付ける場合もありますので、確認の上、必要に応じて活用しましょう。
 

まとめ

自然災害などで被害を受けた場合、罹災証明書によって受けられる支援策は幅広く、今回説明したほかにも災害援護資金の貸付、金融機関からの無利息や低金利の融資、所得税や住民税などの軽減、医療費の免除などがあります。
 
申請の際には、被害を受けた住宅の状況を写真撮影し、外観を含む全体の被害状況ができるだけ分かるようにすることが必要です。実際に災害に遭ったときには気が動転し、冷静な判断が難しくなることもあります。そのため、普段からできる限り情報を整理しておきましょう。
 

出典

内閣府 防災情報のページ 災害に係る住家の被害認定
内閣府 防災情報のページ 被災者の住まいの確保

 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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