更新日: 2022.07.22 その他暮らし
年金暮らしの親を扶養に入れると「控除」はどれだけ受けられる?条件や注意点を解説!
本記事では、年金生活をしている親を扶養に入れる条件やメリット、注意点を解説します。年金生活をしている親を扶養に入れるべきか、記事を参考に考えるきっかけにしてください。
執筆者:川辺拓也(かわべ たくや)
2級ファイナンシャルプランナー
年金暮らしの親を扶養に入れるメリット
年金暮らしの親を扶養に入れるメリットから解説します。扶養には「税法上」と「社会保険上」の2種類があり、それぞれの扶養に親を入れた場合は以下のメリットがあります。
●税法上の扶養に入れるメリット:扶養控除が受けられる
●社会保険上の扶養に入れるメリット:親が支払う国民健康保険料が免除される
税法では扶養控除が適用されることで、納税者の所得税が軽減されるメリットがあります。扶養控除が適用される金額は図表1の通りです。
社会保険で扶養に入れるメリットは、親の国民保険料の支払いが免除される点です。保険料の支出が不要になりますので、負担を抑えられるメリットがあります。
以上から、年金を受け取っている親を扶養に入れると「扶養控除が適用される」「親の国民健康保険料が免除される」この2点を押さえておきましょう。
年金暮らしの親を扶養に入れられる条件
年金で生活する親を「扶養に入れられる条件」とは何でしょうか。先ほども述べた通り、扶養には「税法上」と「社会保険上」の2種類があります。そのため、扶養に入れられる条件がそれぞれ異なるため、しっかりと違いを押さえてください。
税法上の対象になるためには、以下の要件を全て満たす必要があります。
●配偶者以外の親族で、6親等内の血族および3親等内の姻族。または都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
●納税者と生計を一にしていること。
●年間の合計所得金額が48万円以下(2019年以前は38万円以下)であること。給与のみの場合は給与収入が103万円以下であること。
●青色申告者の事業専従者としてその年を通じて1度も給与の支払いを受けていないこと。または白色申告者の事業専従者でないこと。
次に、社会保険上で対象になる場合を解説します。年金生活をする親を扶養に入れるためには、以下の条件に当てはまる必要があります。
●被保険者に生計を維持されている直系の親であること(同居の有無は問いません)
●配偶者の親を扶養に入れる場合は同一世帯で、親が生計を維持されている必要があること(ただし後期高齢者医療制度の被保険者等である人は除外)
●被保険者と同一世帯に属している場合、年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)で、かつ被保険者の年間収入の2分の1未満であること
●被保険者と同一世帯に属していない場合、年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ被保険者からの仕送り額より少ないこと
扶養に入れられる条件は、親の年齢や同居の有無、収入要件によって変わります。どの要件に当てはまっているのか押さえておきましょう。
親を扶養に入れる際の注意点
親を扶養に入れる場合に気を付けたい点は「介護費用の負担」が増す可能性がある点です。介護サービスの負担は「世帯の収入」を基準として、負担の限度額が決まります。年金生活の親を扶養に入れた途端、世帯年収が増えたことで負担の限度額が増えることもあるので注意しましょう。
親が介護サービスを受けているかどうか、事前に確認して扶養に入れるべきか考える必要もあります。
年金生活の親を扶養に入れるメリットと注意点を総合的に判断することが大切
年金生活の親を扶養に入れる条件やメリット、注意点を解説しました。扶養に入れるメリットは「所得税が扶養控除によって控除される」点と「親が支払う国民健康保険料が免除される」点です。
一方、介護サービスなど世帯年収で負担する限度額を決める制度では、不利になるかもしれません。単純な生活状況や収入状況だけでなく、介護サービスを受ける予定や健康状態にも配慮しながら、扶養に入れるべきかどうか検討してみてください。
出典
国税庁 No.1180 扶養控除
全国健康保険協会 協会けんぽ 被扶養者とは?
厚生労働省 高額介護サービス費の負担限度額
執筆者:川辺拓也
2級ファイナンシャルプランナー