更新日: 2022.07.23 その他暮らし

年間利回り15%超!? 使って分かった百貨店友の会のメリット・デメリット

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

年間利回り15%超!? 使って分かった百貨店友の会のメリット・デメリット
筆者は東京生まれ埼玉育ちなので、小さなころからデパート(百貨店)には親しんでいました。そして、筆者の母が「安く買いものができるから」と愛用していたのが「友の会」です。
 
小さいころは単に「ふうん、そうなんだ」程度にしか思いませんでしたが、大人になった今はその便利さをかみしめています。
 
一方、注意すべき点もあるので、両者を絡めつつ解説しましょう。
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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百貨店友の会とは

最初に、百貨店友の会とはどんなシステムなのか、簡単に解説しましょう。
 

会員制積立サービス

一言でまとめると「会員制の積立サービス」です。つまり「毎月1万円」など決まった会費を積み立てていき、満期(6ヶ月後、12ヶ月後など)になると、ボーナス分(半月分もしくは1ヶ月分であることが多い)が加算された額の買い物券が受け取れる仕組みになっています。
 
最近は残高がチャージされたプリペイドカード形式で渡されることもあります。多くの百貨店で導入されているシステムのため、使った経験がある人も一定数いるでしょう。
 
なお、友の会に入会したい場合は、その百貨店内にあるカウンターで手続きができます。以下のものを用意していきましょう。

●本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
●初回積立金
●銀行口座番号が分かるもの(通帳、キャッシュカード)
●銀行口座届出印

 

年間利回り15%超

特筆すべきは、年間利回りの高さです。
 
筆者が使っている東武百貨店の友の会「クレソンサークル」の場合、毎月1万円を積み立てると、1年後に13万円分の買い物券(プリペイドカード残高)が受け取れます。この場合の年間利回りを計算してみましょう。
 
注意したいのは、積み立てた会費の運用期間です。毎月1万円ずつ払っていくため「いつ払ったか」によって運用期間はまったく異なります。
 
初月に払った分は12ヶ月間運用されますが、最終月に払った分は1ヶ月間しか運用されません。
 
全体的にみると、実質12万円を6.5ヶ月で運用している計算になります。つまり、年間利回りは約15.38%(=1万円÷6万5000円)になると考えましょう。
 
金融商品ではないため単純に比較はできませんが、高いリターンが期待できるのは、やはり魅力です。もちろん、受け取る際には税金もかかりません。
 

使って分かった百貨店友の会のメリット・デメリット

百貨店友の会に関しては、高いリターンが期待できること以外にも、さまざまなメリットがあります。一方でデメリットもあるので注意しましょう。
 

メリット

●ハイブランドでも多少は安く買える
●友の会会員証を見せると割引が利く
●友の会会員向け優待セールに参加できる

【ハイブランドでも多少は安く買える】
具体的な扱いはそれぞれの百貨店友の会によっても異なりますが、国内外のハイブランドの売り場での支払いにも、買い物券・プリペイドカードが使えることが多いです。
 
【友の会会員証を見せると割引が利く】
友の会会員証を提示すると、通常の買い物でも割引が利くサービスを取り入れているケースもあります。
 
例えば、筆者が使っている東武百貨店の「クレソンサークル」の場合、会員証を提示すると、5%割引が受けられる仕組みです。
 
【友の会会員向け優待セールに参加できる】
友の会会員向けに優待セールを行っている百貨店も多いでしょう。東武百貨店の場合「サンクスフェア」といって、定期的に対象売り場の商品が5~20%オフになるキャンペーンを実施しています。
 
10%オフであれば消費税分の支払いが浮く計算になるので、タイミングを見計らえばかなりお得に買い物することが可能です。
 

デメリット

一方で、注意すべき点もあるので解説しましょう。

●その百貨店でしか使えない
●すべての百貨店で実施しているわけではない
●倒産した場合全額戻ってこないこともある

【その百貨店でしか使えない】
友の会は、百貨店が顧客サービスの一環として行っているものです。そのため、積み立てて満期になった結果、受け取ったお買い物券は「その百貨店でしか」使えません。
 
「いろいろなところをみて買い物したい」という人にとっては、この点が不便に感じるでしょう。逆に「基本的にこのデパートでしか買い物をしない」人にとっては、とても便利です。
 
【すべての百貨店で実施しているわけではない】
多くの百貨店で友の会は導入されていますが、中にはそうでないケースもあります。
 
例えば、そごう・西武の場合、2022年7月現在で友の会は存在しません。正確にいうと、2019年8月時点で廃業しています。
 
なお、未利用分のお買い物券は、法定利息をつけて返金しているとのことです。現時点で友の会がある百貨店であっても、経営判断により廃業する可能性はゼロではない点に注意が必要でしょう。
 
【倒産した場合全額戻ってこないこともある】
より深刻なケースとして、万が一百貨店が倒産した場合を考えましょう。この場合、未利用分のお買い物券を払い戻そうとしても、全額戻ってくるわけではありません。
 
百貨店の友の会に関しては、割賦販売法における「前払式特定取引」として指定されています。そして、預かった会費の2分の1相当額について、保全措置を講じることが義務付けられているのです。
 
これらの規定により、仮に倒産しても2分の1は戻ってきますが、それ以上についてはどうなるかは未知数でしょう。
 
調べてみたところ、2020年1月27日に破産手続きを開始した山形県の百貨店「大沼」の友の会の事例がありました。
 
東北経済産業局のWebサイトに公示されていた配当表によれば、配当割合は75.70%とのことです。つまり、約75%が戻ってきたと考えましょう。
 

やっぱり便利なので有効活用しよう

友の会に関しては、お買い物券がその百貨店でしか使えない上に、倒産した場合に全額戻ってくるとは限らないなど、注意すべき点はやはりあります。
 
しかし、上手に使えば、欲しいものをよりお得に手に入れられる便利なシステムであるのは確かです。どういう仕組みのサービスかをしっかり理解した上で、有効活用しましょう。
 

出典

一般社団法人日本百貨店協会 友の会
経済産業省 前払式取引
経済産業省東北経済産業局 友の会(株式会社大沼友の会、株式会社中三友の会)会員への配当
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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