【100ドルのお酒が3万6000円!?】1ドル360円の「超円安時代」を現代と比較してみた!
配信日: 2022.07.28
では、その時代の物価や輸入品の価格はどうだったのでしょうか。現在と比較しながら検証してみましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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ドル・円為替レートの変遷
ドル・円の相場が1ドル「360円」だった時代は、1970年代のことです。その時代は固定相場制で、1ドルが360円に固定されたまま変動することはありませんでした。為替レートが変動しない固定相場制のメリットは、貿易環境が安定することと、インフレ変動を抑え込むことができる点にあります。
その一方で、固定相場制は金融政策の裁量が少なく、長期的に見れば実態と離れた為替レートがまかり通ってしまうなどといったデメリットがありました。
1970年代、アメリカの国際収支が赤字に転じたことをきっかけに、それまで固定相場制だったドル・円の為替レートは変動相場制へと移行されます。戦後の日本経済の劇的な復興や、そもそも1ドル=360円が実態に即していなかったこともあって、変動相場制に移行してからは急激なドル安・円高が進行し続けました。
2011年には過去最大の円高である1ドル=75円32銭を記録するなど、固定相場制の時代には考えられなかったような円高に振れた時代もあったほどです。
1ドル=360円時代は輸入品が貴重だった!?
為替レートは国内の物価に影響を与える指標です。円高に振れれば、輸入品を安く購入できるので、国内の物価は下がる傾向にあります。一方、円安に振れれば、外国からモノを輸入するのにお金がかかるので、物価は高くなります。そのため、1ドルあたり360円という固定相場制時代の日本では、今より相当な円安水準であるため、外国から輸入した品物は非常に貴重でした。
たとえば、ワインやウイスキーといった輸入酒は、1ドル=360円だと100ドルの輸入酒でも日本円では3万6000円という高価な代物になってしまいます。これが1ドル=100円程度であれば、100ドルの輸入酒を1万円で購入することができ、1ドル=360円時代と比べて実に2万6000円もお得になるわけです。
逆に円安の時代は、輸出にとって有利な状況になります。1ドル=360円の固定相場制の時代、日本は質の高い製品を大量に生産し、それを外国に輸出することで劇的な経済復興を果たしました。固定相場制が終焉を迎え、変動相場制に移行してからも、日本はモノづくり大国といわれ、品質の高い品物を海外に輸出することによって経済を下支えしてきました。
2022年現在、固定相場制時代ほどの水準ではないにせよ、ドル・円の為替相場は大幅な円安に振れています。1ドル=360円の時代と比べれば、決して極端に円が安いとはいえないかもしれません。ただ、円安の影響もあって、物価は高騰傾向が続いていることも事実です。この円安が日本にとって良い円安となるのかどうか、まだまだ注視が必要だといえるでしょう。
急激な円安は物価にどれだけ影響を与えるのか
日本が変動相場制に移行してから、ドル・円の為替相場は1ドル=360円から緩やかにドル安・円高に推移していきました。ただ、2022年は1月から6月の半年で約20円も円の価値が一気に値下がりしています。この値下げ幅は、1998年以降では半年間での最も大幅な値下がりとされています。急激な円安は物価にも大きな影響を与えるため、今後の為替相場がどうなっていくのか目が離せません。
出典
知るぽると 円高・円安とは
野村証券 証券用語解説集
NHK 円安 なぜこんなに急に?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部