更新日: 2022.08.11 子育て

高等教育に対する支援金はあるけど、私立中学校に進学する際の支援制度はないの?

高等教育に対する支援金はあるけど、私立中学校に進学する際の支援制度はないの?
高等学校に通う子どもを持つ世帯に対する支援制度が始まり、該当する世帯にとっては負担が軽減されています。
 
しかし、中学校から私立に通う子どもを持つ世帯に対する支援制度は、設けられているのでしょうか? 義務教育とはいえ、国公立と私立では中学校にかかる費用が大きく異なります。
 
今回は、私立中学校に通う子どもを持つ世帯に対する支援制度について解説します。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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私立中学校にかかる費用

文部科学省の資料(※1)によると、中学校にかかる費用は、公立と私立では図表1のようになっています。
 
【図表1】

図表1

 
学校給食費については、私立はわずかしかかかっておらず、給食制度自体を取り入れていないことが分かります。また、学校外活動費については、公立と私立ではそこまでの差はありません。
 
ただ、学校教育費については、私立は公立の約8倍の費用がかかっており、保護者の負担が大きくなることが予想されます。
 

私立小中学校に通う児童生徒への経済的支援

私立小中学校に通う児童生徒への経済的支援に関する実証実験が、昨年度まで行われていました。この実証実験は昨年で終了しています。
 
実証実験の内容は、私立小中学校等に通う児童生徒への経済的支援に関し、年収400万円未満の世帯に属する児童生徒について、授業料負担の軽減を行いつつ、義務教育において私立学校を選択している理由や家庭の経済状況などについて、実態を把握するために調査を行ったものです。

<実施期間>
平成29年度~令和3年度
 
<支援内容>
最大年額10万円(学校が代理受領)
また、支援を受けるためには、文部科学省が実施する調査に協力する必要があります。

■実証事業の内容

私立の小中学校に通う児童や生徒への経済的支援は、一定年収未満の世帯に該当する児童や生徒に関して、授業料の軽減を行います。
 
また、義務教育において私立学校を選択する理由や、家庭の経済状況などについての実態把握のための調査を目的とし、5年間にわたって実証事業が行われました。
 

■対象者

実証事業が行われている年の7月1日時点で、私立の小中学校や義務教育学校などに通っている児童および生徒
 

■支援を受けるための要件

年収400万円未満かつ資産保有額が600万円以下の世帯(年収400万円は扶養親族が高校生未満の子どものみの世帯の目安)
 

■支援額

最大年間10万円(学校側が代理で受領し、授業料が減額される)
 

自治体で独自に行われている支援

神奈川県では、「私立学校生徒学費緊急支援補助金(※2)」を取り扱っています。概要は、対象となる学校に在学する生徒の生計維持者が、解雇などにより家計が急変した場合に、学校がその生徒の授業料を軽減した場合、神奈川県がその学校に対して補助を行う仕組みです。
 
対象となる学校は、神奈川県内に設置されている私立の高等学校や中学校、小学校などです。そして、前年の4月1日から当年の12月31日までの間に家計急変事由により、当年の書特区額が基準額範囲内になった世帯です。
 
補助額は家族の人数に応じた所得額によって異なり、中学校の場合、4人家族世帯だと、以下のようになっています。

所得額136万円以下:年間16万8000円
所得額182万円以下:年間14万9000円
所得額494万円以下:年間9万円

通う学校、そして家族人数によって補助額が異なりますので、詳しくは神奈川県の公式サイトを参照してください。
 
埼玉県でも同じように「父母負担軽減事業補助金(※3)」が用意されています。埼玉県が認可した私立の小学校や中学校が対象となっており、生徒および保護者が埼玉県内に居住し、かつ、所得要件を満たすことが要件です。
 
補助対象となる学費は、授業料や施設費等納付金のほか、入学金など多岐にわたります。この補助金についても、家計急変世帯および生活保護受給者であることが要件ですが、現在も引き続き行われているため、興味のある人はぜひ申請してみましょう。
 
茨城県では、「私立中学校等授業料軽減事業(※4)」を行っています。対象となるのは、保護者の年収が400万円未満かつ、保護者など全員の保有資産合計額が700万円以下で、生徒が祖父母などから教育資金の一括贈与を受けていないことといった要件を満たす生徒です。要件に該当する場合は、年間33万6000円を上限として補助が受けられます。
 

まとめ

文部科学省が進めていた私立小中学校に通う児童生徒への経済的支援に関する実証実験は、令和3年で終了しましたが、それ以外にも自治体独自で行っている支援制度があります。さらに、家計急変世帯に対する支援制度は学校が独自に行っているものもあります。
 
私立の中学校に通う際には、現在国によって行われているような高等学校向けの支援制度はありませんが、お住まいの自治体や通う学校によっては、支援制度が設けられている可能性があります。
 
もし、私立中学校に子どもを通わせる際の教育費が負担に感じているなら、自治体の公式サイトや学校のサイトを確認し、支援制度が用意されていないかどうかチェックしてみましょう。また、これらの制度は申請期間が限られているケースがありますので、期間内に申請できるようこまめにチェックしておくことが大切です。
 

出典

(※1)文部科学省 2 調査結果の概要
(※2)神奈川県 私立学校生徒学費緊急支援補助金について
(※3)埼玉県 私立学校の父母負担軽減事業について(令和4年度)
(※4)茨城県 県内の私立学校向けの軽減制度(令和4年度)
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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