更新日: 2022.08.18 子育て
学校給食費の無償化は実現できるの?
学校給食は子どもの食生活の改善や健康な体づくりのために大切である一方、子どもが多い世帯ほど負担が大きくなります。
この記事では学校給食にかかる費用を説明した上で、学校給食の無償化が実現できるかどうかについても解説していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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学校給食にかかる費用
文部科学省によると、2018年5月時点の給食費は、小学校が月額4343円、中学校が月額4941円で、2016年の調査と比べてわずかではありますが値上がりしていました。また、年間の学校給食の実施回数は小学校が平均191回、中学校が186回でした。小学校の1回当たりの給食費は250円、中学校では292円となっています。
地域別にみると給食費が最も安いのは鹿児島県で、小学校が3623円、中学校が4123円でした。最も高いのは長野県で、小学校が5025円、中学校が5806円で、給食費が安い県と高い県で1000円以上の開きがありました。ただし、最も給食費が高い長野県では、給食を提供する回数も最も多くなっています。
学校給食の完全無償化は厳しい
学校給食を完全無償化にするためには、どのぐらいの費用がかかるのでしょうか。
少し前のデータになりますが、2017年度に公立小学校に在籍した児童は644万8658人で、公立中学校に在籍した児童は333万3334人でした。仮に、公立小学校と公立中学校で学校給食を完全無償化とすると、1ヶ月当たり約444億7000万円、年額換算すると5336億4000万円の公費負担が必要になります。公立小学校と中学校の給食費を徴収するのは自治体ですが、中には財政面で無償化を実現するのが困難な自治体もあるでしょう。
給食費の補助をするかどうかについては、基本的に自治体の判断です。
2017年に文部科学省が行った調査によると、全国1740の自治体のうち、給食費の無償化を実施しているのは82自治体です。このうち、小学校・中学校ともに無償化を実施している自治体は76自治体、小学校のみ無償化を行っているのが4自治体、中学校のみ無償化を行っているのが2自治体となりました。また、給食費の一部を補助している自治体が424自治体でした。
しかし、全体の7割に当たる1234自治体では、無償化や一部補助などの助成を行っていません。
給食費無償化を実現することで少子化対策や移住促進など地域活性化に役立ったなど、一定の成果がある一方、実施するためには継続的に予算を確保しなければならないことや住民の理解を得る必要があり、課題が多いのも実情です。
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物価高騰が学校給食を直撃
2022年に入り物価高騰が家計を直撃するなか、自治体も対応に追われています。学校給食は年齢ごとに栄養摂取基準が決められているため、エネルギー量を減らすことができません。食材の調達を見直す自治体や、物価高騰分については自治体が補助をするなどの対応をとっているところもあります。
しかし、給食費の値上げを検討している自治体もあるようです。材料費や燃料費が高騰するなか、給食費の一部を助成することはできても、全額を助成し続けるのは多くの自治体にとって難しいといえるでしょう。
なお、生活に困窮する世帯に対しては「就学援助制度」があり、学校給食費についても国と自治体が負担しています。2020年度は133万人の保護者が制度の対象となりました。
学校給食無償化は予算の確保や住民の理解を得るのが難しい
2017年の調査では、小中学校の給食無償化を実施しているのは76自治体で、7割の自治体では助成を行っていませんでした。
学校給食の無償化は自治体の少子化対策や移住促進など、地域活性化に一定の効果が見込めるものの、予算の確保や住民の理解など課題が多いです。物価高騰分を助成している自治体も増えていますが、すべての自治体が学校給食の完全無償化をするのは困難といえるでしょう。
出典
文部科学省 平成30年度学校給食実施状況等調査の結果について
文部科学省 平成29年度の「学校給食費の無償化等の実施状況」及び「完全給食の実施状況」の調査結果について
文部科学省 学校給食実施状況等調査-結果の概要
文部科学省 児童又は生徒1人1回当たりの学校給食摂取基準
文部科学省 就学援助制度について(就学援助ポータルサイト)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部