知らない人は早めに手続きを! 【令和4年1月施行】建設アスベスト給付金制度について

配信日: 2022.08.21

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知らない人は早めに手続きを! 【令和4年1月施行】建設アスベスト給付金制度について
建設業などに関わるアスベスト問題について耳にしたことがある人は多いでしょう。しかし、令和4年にアスベスト問題に関する新たな給付金制度が始まったことについては、まだ詳しく知らない人もいるのではないでしょうか。
 
そこで本記事では、建設アスベスト給付金制度について、概要や対象者、申請方法などの情報を簡単にまとめました。当事者の方や周囲に当事者の方がいる人は、ぜひチェックしてください。
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建設アスベスト給付金制度とは

「建設アスベスト給付金制度」とは、石綿(アスベスト)を吸入する機会が多かった建設業務従事者への損害賠償を目的とする給付金制度です。
 
建設業務従事者が石綿の吸入によって発生する疾病(石綿関連疾病)にかかって受けた精神上の苦痛に対して、最高裁判決などで国の責任が認められたことを受け、令和3年6月9日に制度に関わる法律が成立、令和4年1月19日には完全施行されました。
 
なお、以前はビルなどの建築工事で保温断熱の目的による石綿の吹き付け作業が行われていましたが、昭和50年以降は原則として禁止されています。
 

建設アスベスト給付金制度の対象者と給付金の主な内容

建設アスベスト給付金制度の対象者は、次の3つの要件を満たす人です。


・次に該当する石綿にさらされる建築業務に従事していた

昭和47年10月1日~昭和50年9月30日:石綿の吹き付け作業に関する業務
昭和50年10月1日~平成16年9月30日:一定の屋内作業場で行われた作業に関する業務
 
・労働者、一人親方、中小事業主(家族従事者などを含む)である
・石綿関連疾病に罹患(りかん)した

石綿関連疾病とは、次の疾病をいいます。


・中皮腫
・肺がん
・びまん性胸膜肥厚(著しい呼吸機能障害をともなうもの)
・石綿肺(じん肺管理区分(※):管理2~4)
・良性石綿胸水

※じん肺管理区分とは:粉じん職歴、呼吸困難度、胸部レントゲン分類、呼吸機能検査、動脈血ガス分析などの結果による区分。管理2~4は胸部XP分類でじん肺の所見があるもの
 
給付金の金額は、合併症の有無などの病態区分ごとに、図表1のように定められています。
 
【図表1】

病態区分 金額
石綿肺管理2・合併症なし 550万円
石綿肺管理2・合併症あり 700万円
石綿肺管理3・合併症なし 800万円
石綿肺管理3・合併症あり 950万円
中皮腫、肺がん、びまん性胸膜肥厚(著しい呼吸機能障害をともなうもの)、石綿肺管理4、良性石綿胸水 1150万円
死亡(合併症なし) 1200万円
死亡(合併症、中皮腫などの症状あり) 1300万円

※石綿にさらされる建設業務の従事期間が一定未満の人、肺がん罹患者で喫煙の習慣があった人は1割減額
 
出典:厚生労働省 建設アスベスト給付金制度について
 
なお、本人が亡くなっている場合は遺族(配偶者、子、父母、孫、祖父母・兄弟姉妹のうち最先順位者)が請求できます。また、給付金を受給したのちに症状が悪化した場合は、追加給付金(図表1の区分による差額分)が請求可能です。
 

建設アスベスト給付金の請求方法

建設アスベスト給付金は、必要書類を厚生労働省労働基準局労災管理課 建設アスベスト給付金担当に送付すると請求できます。簡易書留、レターパックなど配達状況が確認できる方法で郵送してください。郵送以外では受け付けられないため注意が必要です。主な必要書類は次のとおりです。


・請求書

・本人または遺族の確認書類(住民票の写し、戸籍謄本など)※

・死亡届の記載事項証明書(本人が亡くなっている場合)

・支給決定等を受けた事実が分かる資料※

・被災者の就業歴・石綿ばく露作業歴が分かる資料※

・請求区分の石綿関連疾病に罹患していることの証明資料※

・企業等から損害賠償金や和解金などを受け取っている場合、受領金額の分かる資料

・給付金振込口座の通帳、キャッシュカードの写し

労災支給決定等情報提供サービスを利用している場合、労災支給決定等情報提供サービスの通知書のコピーを添付することで※印の書類を省略できます。
 
なお、給付金の請求期限は医師の診断日か石綿肺に係るじん肺管理区分の決定日、または石綿関連疾病による死亡日から20年以内です。不明な点がある場合は、労災保険相談ダイヤル:0570-006031(月~金曜日8:30~17:15※祝日・年末年始を除く)で問い合わせを受け付けています。
 

対象者は審査を受けて給付金を受給しよう

建設アスベスト給付金制度は、令和4年1月に始まった新しい補償制度です。石綿関連疾病による労災保険の認定などをすでに受けている人も、新たに受給申請ができます。
 
請求期限が診断などから20年と定められているため、対象者に該当する可能性がある人は、早めに申請をして審査を受けましょう。
 

出典

厚生労働省 建設アスベスト給付金制度について
厚生労働省 建設アスベスト給付金請求の手引き1 ≪労災支給決定等情報提供サービスをご利用の方へ≫
厚生労働省 建設アスベスト給付金請求の手引き2 ≪労災支給決定等情報提供サービスをご利用でない方へ」
厚生労働省 アスベスト(石綿)に関するQ&A
独立行政法人労働者健康安全機構 じん肺:じん肺管理区分
独立行政法人労働者健康安全機構 じん肺:合併症
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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