更新日: 2022.08.23 その他暮らし

「残業代」はどれくらいが普通?平均的な額や計算方法を解説

「残業代」はどれくらいが普通?平均的な額や計算方法を解説
「自分は忙しく働いているから、きっと他の人よりも残業代を多くもらっているはず」と思いつつ、実際のところはわからず、残業代の仕組みに興味のある方も多いのではないでしょうか?
 
また、毎月の給与明細で残業代も記載されているものの、その計算方法は実は詳しく知らないものです。
 
本記事では、厚生労働省と民間企業が公開している残業代のデータと、残業代の計算方法について解説しています。
FINANCIAL FIELD編集部

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残業代の平均額


 
厚生労働省が公開している「毎月勤労統計調査(令和3年分結果確報)」によると、全産業の残業代の月平均は1万8030円で、時間にすると9.7時間です。意外と少ないと感じられた方も多いのではないでしょうか。
 
一方、民間企業で転職サイトを運営するdodaによると、残業時間は20.8時間/月と厚生労働省の約2倍です。
 
なぜか行政と民間で大きく異なる残業代ですが、結論としては、dodaの方が実態に近いと考えるのが自然でしょう。詳しくみていきます。
 

残業代の平均額(厚生労働省調査)

厚生労働省の調査によると、一般労働者とパートタイム労働者を合算した残業代の平均額は1万8030円です。それぞれ分けると、一般労働者は2万5095円、パートタイム労働者は2498円となります。
 
産業別にみても差があり、最も高い電気・ガス業は5万574円、2番目に高い運輸業・郵便業は4万101円、3番目の情報通信業は3万2081円となっています。
 
反対に最も低い飲食サービス業等は4119円、2番目に低い教育・学習支援業は6325円、3番目の生活関連サービス等は6969円となっています。
 

残業代の平均額(民間調査)

dodaも独自に残業時間を調査し、結果を公表しています。このデータによると、平均残業時間は20.8時間となり、先の厚生労働省の調査と比べて大きな隔たりがあります。
 
また、dodaでは職種別の残業時間も調査しています。残業時間の多い職種は、施工管理などの建築系やプロデューサー等のクリエイティブ系、営業職やIT系といったものが上位を占めています。
 
一方の残業時間が少ない10職種のうち7職種は事務職が占めています。これは同じく公表されている男女別の残業時間をみると、男性の方が残業時間が多く、残業時間が多い職種に女性よりも男性が従事する傾向が高いことが関係していることをうかがわせます。
 

厚生労働省と民間で調査結果に差異がある理由

残業時間に大きな開きができた理由は、それぞれの調査の回答者が異なるためだと推察されます。厚生労働省の調査は雇用主、民間は労働者に対して行われています。
 
労働者は正直に答えていると思われますが、雇用主側が正直に答えて長時間労働やサービス残業が発覚することを懸念し、正確に回答していない可能性もあるでしょう。
 
また、厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査の概況」に示される労働者全体の賃金と残業時間の整合性を計算すると、民間企業の調査の方が近くなります。その点からも、やはり残業自体の実態は民間調査の方が実態に近いとみるのが自然です。
 

残業代の計算方法

自分の残業代が思ったよりも少ないと感じた場合、自ら計算してみてください。残業代は以下の計算式で算出できます。
 
「残業代=1時間当たりの賃金×割増率×残業時間」
 
1時間当たりの賃金と割増率について、もう少し詳しくみていきましょう。
 

1時間当たりの賃金の算出方法

1時間当たりの賃金は、「基礎賃金」を会社において定められた「所定労働時間」で割ることで求められます。基礎賃金には家族手当や通勤手当、別居手当といったような、従業員個人の事情で支給される諸手当は除外します。
 

割増率

1時間当たりの賃金に所定の割増率を乗じて残業代は算出されますが、割増率は下記の様に決められています。

・法定時間外労働・・・25%
・深夜労働・・・25%
・休日労働・・・35%

例えば、法定時間外労働が深夜に及んだ場合、「法定時間外労働25%+深夜労働25%で「割増率=50%」となります。
 

法定時間外労働と法定時間内残業

「法定時間外労働」とは「週40時間、1日8時間」を超えた際に発生します。「一方の法定時間内残業」とは「週40時間、1日8時間」以内の残業のことで、この場合は割増賃金の規程は法律上ありません。
 
例えば、企業が定めた所定労働時間が1日7時間、週35時間、9時~17時(実働7時間)勤務の場合を考えましょう。
 
仮に9時から20時まで勤務した場合、17時~18時の1時間は法定時間内残業として割増率無しで残業代が算出され、18時~20時の2時間は法定時間外労働として割増率の25%も考慮された上で残業代が支払われます。
 

あまりにも残業代が少ない場合は各方面に相談しましょう

平均的な残業代と残業代の計算方法について解説してきました。
 
労働時間のわりに残業代が少ない場合には、企業の人事部門、場合によっては弁護士あるいは都道府県労働局に相談し、解決を図りましょう。
 

出典

厚生労働省 毎月毎月勤労統計調査(令和3年分結果確報)
doda 90職種別の残業時間ランキング
厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査の概況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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