金融緩和って何? 私たちの生活にどう影響しているの?
配信日: 2022.08.31
住宅ローンや自動車ローンなど、お金を借りやすい環境が整っている一方で、銀行預金の金利などお金を預けても増えにくい現状に疑問を抱いている人もいるのではないでしょうか。
そこで、この記事では日本で低金利が続く大きな要因となっている金融緩和について解説していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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そもそも金融緩和って何?
金融緩和とは、簡単にいうと「景気をよくするために市中に出回るお金を増やす政策」です。
景気をよくするためには、お金の循環が欠かせません。お金を使う人や企業が少なくなれば企業業績は悪化し、そこで働く従業員の給与や雇用に悪影響を与えるからです。そこで、みんながお金を使いたくなるような政策を実施していくのが、金融緩和になります。
金融緩和で行われる具体的な政策には、主に「政策金利の引き下げ」「質的金融緩和」「量的金融緩和」の3つが挙げられます。
まず、政策金利とは、民間金融機関が日本銀行から資金調達を行うときにかかる金利のことです。政策金利を引き下げると民間金融機関のコスト低減に役立つことから、結果的に企業や個人への貸出金利の低下にも貢献します。
2つ目の質的金融緩和では、日本銀行による「国債の保有期間延長」や「不動産投資信託や上場投資信託などの金融資産の対象拡大」が行われています。国債を売却すると市中のお金の量が減ってしまうのでそれを防ぐことや、バランスよく金融資産を購入することでさまざまな分野でお金の流通量を増やすのが目的です。
そして3つ目の量的金融緩和では、国債の「買取金額増大」を実施しています。日本銀行が民間金融機関から国債を買い取ることで、民間で回るお金の供給量を直接増やすことにつながっています。
ここまで紹介したように、お金の流通量を増やすことを目的として行われる金融緩和ですが、具体的に私たちの生活にはどのような影響を与えているのでしょうか。
金融緩和が一般消費者の生活に与える具体的な影響とは
金融緩和の影響を一般消費者が最も感じるのは、銀行などで「お金を預けるとき」と「お金を借りるとき」の2つでしょう。
2022年7月時点の日本では、大手銀行の定期預金の金利が0.002%しかないように、銀行にお金を預けてもほとんど利息はつきません。かつて、バブル時代の日本では「銀行に預けているだけで利息が付いてお金が増えていた」という時代もありました。それは現在行われている金融緩和とは反対の金融引き締め政策が取られていたからです。
しかし2022年現在は、金融緩和のなかの「政策金利の引き下げ」によって、ほぼゼロ金利状態が維持されているのが理由で、お金を預けてもほとんど増えないというわけです。
ただし、政策金利の引き下げは一般消費者にとってデメリットだけでなく、メリットもあります。それが、住宅ローンや自動車ローンなど、お金を借りるときの金利も低く抑えられていることです。
政策金利の引き下げによって銀行の資金調達コストが低減された結果、一般消費者が低い金利でローンを組めるようになっています。特に借入額が高額になりがちな住宅ローンにおいて、低金利でローンを組んだときの恩恵は大きいです。
なお、金融緩和における「質的金融緩和」「量的金融緩和」の2つの政策については、一般消費者に直接影響が及ぶことはありません。たしかに、それらの政策の実施によって企業業績が好転し、雇用の拡大や給与の上昇といった間接的な恩恵を受けることはあるでしょう。しかし、基本的に一般消費者が直接影響を受けるのは政策金利だけと覚えておきましょう。
変動金利でローンを組んでいる人は政策金利に注目しておこう!
金融緩和では主に「政策金利の引き下げ」「質的金融緩和」「量的金融緩和」の3つの政策が日本の景気を後押しするために実施されています。そのなかでも、一般消費者に大きな影響を及ぼすのが政策金利です。
アメリカや欧米諸国は2022年になって相次いで政策金利の引き上げを発表しています。日本でも今後、政策金利の引き上げが議論される可能性はあるので、変動金利で住宅ローンを組んでいる人は特に注意してください。
出典
日本銀行 公表資料・広報活動 Q金融政策は景気や物価にどのように影響を及ぼすのですか?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部