更新日: 2022.09.06 暮らし

個人事業主やフリーランスが考えておきたい、働けなくなった時のリスクと備え方

執筆者 : 新井智美

個人事業主やフリーランスが考えておきたい、働けなくなった時のリスクと備え方
多様な働き方が進み、今では個人事業主やフリーランスといった形で働く人が増えています。個人事業主やフリーランスなど、雇用関係によらない働き方では、会社員とは異なり、備えるべきリスクが多岐にわたります。
 
今回は、個人事業主やフリーランスが病気やけがで働けなくなった際のリスクに備え、利用できる制度にはどのようなものがあるかについて解説します。
 
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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労災保険の特別加入制度

通常、会社員が業務上もしくは通勤途中にけがなどの災害を被った場合は、労災保険(労働者災害補償保険)(※1)からさまざまな給付を受けることができます。しかし、個人事業主やフリーランスの場合、原則として労災保険への加入が認められていないため、仕事中にけがをしたとしても、保険給付を受けることはできません。
 
ただし、個人事業主やフリーランスでも、その業務の実情や、災害の発生状況などからみて、特に労働者に準じて補償することが妥当であると認められる一定の人に対しては、特別に加入できる、「特別加入制度」が設けられています。
 

労災保険の特別加入(※2)

大工や左官、個人タクシー業者や個人貨物運送業者といった一人親方や、一定の自営業者が特別加入できる仕組みになっていますが、制度の改正により、2021年4月からはアニメーション制作作業従事者や柔道整復師などが加わり、2021年9月からは自転車を利用して貨物運用事業を行う人やITフリーランスなど、特定作業に携わる人も加入対象となりました。
 
最近では、フードデリバリーを行う事業者と業務委託契約を締結し、配達員として働く人も増えていることから、そのような個人事業主に対しても、特別加入が認められています。
 

■特別加入の手続き

労災保険に特別加入するためには、個人で手続きを行うことはできません。手続きは、都道府県の労働局長の承認を受けた特別加入団体を通して行う必要があります。さらに、新たに特別加入団体を作って申請する方法と、既に承認されている特別加入団体を通じて加入する方法があります。
 

■特別加入で受けられる補償は?

特別加入の保険給付には、「療養給付」「休業給付」「障害給付」「傷病年金」などがあり、保険料は全額が自己負担です。ただし、1年間に支払った保険料の総額は社会保険料控除の対象となるため、節税効果もあります。
 

傷病手当金の給付

個人事業主でも、一部の業種においては、国民健康保険組合があり、健康保険とは給付内容が異なるものの、傷病手当金を受け取ることができます(例:建設連合国民健康保険組合(※3))。
 
ちなみに、建設連合健康保険組合の場合、けがや病気によって3日以上入院して働くことができない場合、入院の初日から通算して40日まで給付を受けられます。その際の給付金は入院1日につき5000円です。
 

働けないリスクに備えるために

個人事業主やフリーランスのうち、労災保険に特別加入できたり、傷病手当金制度のある健康保険組合に加入できたりする人は限られます。そのため、いずれにしても働けなくなった際の収入減や無収入の状態に備えるには自分で努力して準備しなければなりません。
 
ただ、手元にある金融資産だけでは不足することも考えられます。その際には、小規模共済の貸し付けや商工会議所の保険を利用しましょう。
 

■小規模企業共済の「傷病災害時貸付け(※4)」

小規模企業共済には個人事業主やフリーランスも加入できます。そして加入者はさまざまな貸付制度を利用できますが、その中に「傷病災害時貸付け」があります。
 
けがや病気によって一定期間入院した場合や、災害救助法が適用された災害、または火災や台風などの一般災害によって被害を受けた個人事業主やフリーランスの経営安定を図るため、低金利で事業資金を借りることができます。
 

■商工会議所の「休業補償プラン(※5)」

就業不能のリスクに対する保険商品には、民間の保険会社が販売している「所得補償保険」や「就業不能保障保険」などがあります。また、個人事業主やフリーランスでも団体保険に加入する方法があり、それが日本商工会議所会員向けの「休業補償プラン」です。
 
加入時の医師の診察は不要で、自宅療養も対象となります。また、介護状態になった際や精神障害も補償してくれるなど、広い範囲の補償が用意されている点が特徴です。あいおいニッセイ同和損保のほか、損保ジャパン、東京海上日動、三井住友海上が提供しています。
 

まとめ

個人事業主やフリーランスは、会社員と異なり、働けなくなった際のリスクを自分で備えなければなりません。自己資金で賄えればいいのですが、けがや病気の内容によっては、それだけでは足りない時もあるでしょう。そのような不安を感じているなら、業種によっては加入できる労災保険に特別加入する方法がありますし、小規模企業共済や商工会議所に加入し、そこで用意されている貸し付けや保険を活用するという方法もあります。
 
いずれにしても、保険料の負担はもちろん、小規模企業共済の掛け金や商工会議所の会費などが発生するため、発生する費用と補償内容を比較して決めるとよいでしょう。
 

出典

(※1)厚生労働省 労災補償
(※2)厚生労働省 労災保険への特別加入
(※3)建設連合国民健康保険組合 ホームページ
(※4)中小機構 小規模企業共済 傷病災害時貸付け
(※5)
商工会議所会員向け保険制度 休業補償プラン
あいおいニッセイ同和損害保険 ホームページ
損害保険ジャパン ホームページ
東京海上日動火災保険 ホームページ
三井住友海上火災保険 ホームページ
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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