更新日: 2022.09.07 子育て
幼児教育・保育の無償化や高校教育無償化。利用するのとしないのとで、いくら違う?
ただし、無償化の対象となるのは、一定の所得以下の場合という条件があります。
実際に、これらの教育の無償化が適用された場合と、実費を全額負担した場合には、費用負担はどれくらい違うのか、確認してみましょう。
執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト
金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。
実のところ、幼児教育や高校教育では、どれくらいの費用がかかるの?
文部科学省の「平成30年度子供の学習費調査」によると、1年間の学習費総額は公立幼稚園が約22万円、私立幼稚園が約53万円で、私立の費用は公立の約2.4倍にもなっています。この費用には幼稚園に支払う学習教育費の他に、給食費やお稽古事に関する費用が含まれています。
また、幼稚園に3年通ったときにかかる費用は、年齢が上がるほど高くなっています。上記の金額で算出したときの3年間の学習費は、公立では約66万円。私立では約159万円かかることが分かります。
高校の場合も幼稚園と同じく、学費にはお稽古事や部活などの費用が含まれており、公立高校に通う場合、1人あたりにかかる教育費は年間約46万円です。一方、私立高校に通う場合は、年間約97万円です。
ただし、入学金の費用がかさむことから、もっともお金が必要になるのは、新入生のタイミングとなっています。上記の金額で算出したときの3年間の学習費は、公立では約138万円。私立では約291万円かかることが分かります。
もちろん、子どもの教育方針などによって、通う園や学校、習うお稽古事や学習塾などによっても費用は異なってきますが、文部科学省のデータを踏まえると、自分たちで支払う費用は幼稚園では約66万~159万円。高校では約138万円~約291万円を捻出しなければなりません。
これだけの費用が無償化になるのは、家計によってはうれしいことなのではないでしょうか?
では、どのような場合に無償化となるのか、確認していきます。
幼児教育・保育でもかかる費用はあるの?
無償化になるといっても、すべての費用が無償になるわけではありませんし、子どもの人数によっても免除される内容は変わってきます。
~幼稚園・保育園・認定こども園の場合~
3~5歳児クラスは無償ですが、通園送迎費、食材料費、行事費等は保護者負担することになっています。ただし、年収360万円未満相当世帯は副食(おかず・おやつ等)の費用が免除され、全世帯の第3子以降は、副食(おかず・おやつ等)の費用が免除される仕組みになっています。
0~2歳児クラスは、住民税非課税世帯は無料です。また、保育所等を利用する最年長の子どもを第1子とカウントし、第2子は半額、第3子以降は無料になります。ただし、年収360万円未満相当世帯は、第1子の年齢は不問です。
すべての幼稚園などが、子ども・子育て支援新制度の対象となっているわけではありません。また、企業主導型保育事業についても、減額幅が違いますので確認しておきましょう。
その他、預かり保育の3~5歳クラスは最大で月額1.13万円が無償です。認可外保育施設の3~5歳クラスでは月額3.7万円まで無償。0~2歳クラスは住民税非課税世帯が対象となり、月額4.2万円まで無償です。
⾼等学校等就学⽀援⾦は幅広い学校をカバー
高校の無償化は、高等学校等就学支援金制度といい、一般的な高校の他、特別⽀援学校(⾼等部)、高等専門学校(1~3年生)、専修学校(高等課程)等における教育にかかる経済的負担分が対象となります。
国公私立問わず、高等学校等に通う所得等要件を満たす世帯が対象です。年収要件は、約910万円未満の世帯です。また、両親のうちどちらか一方が働き、高校生1人(16歳以上)、中学生1人の子どもがいる世帯なども含まれます(適用要件の一例です)。
また、支給額は子どもの人数や両親の働き方によっても違いがあります。支給額の上限額は、年収約910万円のときには、公立学校では11万8800円。私立学校の場合は年収590万円までの世帯のときには、39万6000円が上限額です。
ただし、この金額は両親、高校生、中学生の4人家族で、両親の一方のみが働いている場合の目安です。両親の働き方や子どもの年齢構成によっても違いがあります。自分の家族の場合はどうなるのか確認してください。
ライフプランを考えるとき、子どもにかかる教育費を考慮する人は少なくありません。ただし、無償化が進んでいる今、対象かどうかによってお金の使い方は変わってきます。あらかじめ情報を収集しておき、将来のライフプラン作りに役立てていきましょう。
出典
文部科学省 平成30年度子供の学習費調査
内閣府 幼児教育・保育の無償化について(日本語)
文部科学省 高校生等への修学支援
文部科学省 高校生の学びを支えます。
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト