2022年10月から児童手当の給付が変わる? 変更点を確認しておこう
配信日: 2022.09.13
児童手当の基本と今回の改正点について見ていきます。
執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)
田久保誠行政書士事務所代表
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員
行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。
児童手当とは
児童手当とは、0歳から中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している世帯に給付金が支給される制度で、原則毎年6月・10月・2月にそれぞれの前月分までの手当てが支給されます(例:10月の支給日には、6~9月分の手当を支給)。
その支給額は表1のとおりです。
【表1】
ただし、養育者の所得限度額を超えた場合は、特例給付として5000円の支給です。
支給について
お子さんが生まれたり、他の市区村から転入したりしたときは、「認定請求書」を現住所の市区町村に提出し申請します。
また、児童手当制度では、以下のルールを適用します。
1.日本国内に児童が住んでいる場合に、原則支給されます(留学により海外に居住し、一定要件を満たしている場合は支給の対象になります)。
2.離婚協議中などにより父母が別居している場合、優先的に支給されるのは児童と同居している方となります。
3.父母が海外に居住している場合、父母が日本国内において児童を養育している方を指定することにより、父母指定者に対し支給します。
4.児童を養育している未成年後見人がいるときは、その未成年後見人に対し支給します。
5.児童が施設に入所している、里親などに委託されているケースにおいては、原則として、里親やその施設の設置者などに対し支給します。
2022年の変更点
今回の改正は、(1) 手続きの変更、(2) 給付の変更、以上2つに分けられます。それぞれ見ていきましょう。
(1) 手続きの変更
これは2022年6月から始まっていますが、これまでは児童手当を受けるには、住んでいる市区町村に児童手当を引き続き受給できるか要件を確認するための「現況届」の提出(認定請求)をする必要がありました。しかし、今回の改正によって、この現況届が原則提出不要となりました。
ただし、以下の条件に当てはまる方は今後も提出が必要です。
・法人である未成年後見人
・離婚協議中で配偶者と別居されている方
・配偶者からの暴力等によって、住民票の住所地とは異なる市区町村において受給されている方
・支給要件児童の戸籍がない方
・施設等受給者
・その他、市区町村から提出の案内があった方
給付においては、所得限度額を超えてしまったために特例給付が支給されなくなったのちに、再度所得が限度額を下回った場合は、再度認定請求書の提出等が必要になるので注意が必要です。
転職等で所得が下がった場合や、短時間労働等で労働条件が変わった場合は、市区町村の窓口に確認をして忘れずに手続きをしましょう。
(2) 給付の変更
給付の変更点は、所得制限の仕組みが変わります。一定の所得を超えた場合は特例給付(5000円)とされていましたが、今回の改正では所得の多い世帯において、特例給付の支給の支給対象外となります。
収入基準は、子ども2人と年収103万円以下の配偶者の場合で、年収1200万円を超えた時とされていて、扶養親族等の数に応じた所得額、収入額の目安は表2のとおりです。
【表2】
※収入目安額は、給与所得のみで計算した概算額で、実際は各種控除等を勘案して所得制限を確認します。
※所得制限は、世帯合算ではなく夫婦で高いほうの収入によって判断されます。
今後も届出が必要になるケースは?
下記の要件に該当するときは、住んでいる市区町村に届出をする必要があります。
1.児童を養育しなくなったなど、支給の対象となる児童がいなくなったとき
2.受給者、配偶者、児童の住所に変更があったとき(海外や他の市区町村への転出を含む)
3.受給者や配偶者、児童の氏名が変わったとき
4.児童をともに養育する配偶者を有することになったとき、もしくは児童を養育していた配偶者がいなくなったとき
5.受給者が加入する年金に変更があったとき(受給者が公務員になった場合を含む)
6.国内で児童を養育している者として、海外に住んでいる父母から「父母指定者」の指定を受けるとき
高所得者の場合、これまでもらえていた特例給付がなくなるというデメリットは生じます。また、現況届の提出がなくなった方でも、上記のように届出の必要がある場合がありますので注意が必要です。
(※)内閣府 特例給付の支給対象外となる主たる生計維持者の所得・収入基準について
出典
内閣府 児童手当制度のご案内
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表