更新日: 2022.09.13 子育て

「出産育児一時金」はいくら支給される?出産に関する補助制度について解説!

執筆者 : 西岡秀泰

「出産育児一時金」はいくら支給される?出産に関する補助制度について解説!
厚生労働省の調査によれば2019年度の出産費用は全国平均で約44万円で、年々増加しています。
 
しかし、国の子育て支援として、健康保険の適用がない出産費用に対してはさまざまな補助制度が設けられています。
 
この記事では出産に関する補助制度について解説します。制度内容や要件についても紹介しますので、制度を知らずもらえなかったということがないように覚えておきましょう。
西岡秀泰

執筆者:西岡秀泰(にしおか ひでやす)

社会保険労務士・FP2級

出産費用を補助する出産育児一時金

出産に関する補助制度として、一般的によく知られているのが出産育児一時金です。
 
まずはその内容と支給要件を説明します。
 

出産育児一時金の内容

出産育児一時金は、子どもが生まれたときに加入する健康保険から支給される給付金です。子ども1人につき42万円が支給されます。双子が生まれた場合は、支給額は84万円です。
 
ただし、「産科医療補償制度」に未加入の医療機関等で出産した場合は子ども1人につき40.8万円です。産科医療補償制度に加入している医療機関は、公益財団法人日本医療機能評価機構のホームページで確認できます。
 

出産育児一時金の支給要件

出産育児一時金の支給要件は、健康保険に加入している人が妊娠4ヶ月(85日)以上で出産をしたことです。
 
早産や死産、流産、人工妊娠中絶(経済的理由によるものを含む)の場合でも、妊娠4ヶ月以上たっていれば、出産育児一時金が支給されます。
 

知っておきたい直接支払制度と受取代理制度

出産育児一時金は出産後に加入する健康保険に申請すれば支給されますが、退院時に出産費用をいったん自分で負担しなければなりません。この負担を軽減するための制度が、直接支払制度と受取代理制度です。

・直接支払制度:出産育児一時金の請求と受け取りを医療機関が行う制度
・受取代理制度:出産育児一時金の受け取りを医療機関に委任する制度

直接支払制度は請求手続き不要、受取代理制度では自分で加入する健康保険に請求が必要です。どちらの場合も、出産育児一時金が医療機関に振り込まれるため、窓口で負担するのは出産費用と出産育児一時金の差額で済みます。
 
直接支払制度と受取代理制度のどちらを利用できるかは医療機関によって異なるため、事前に確認しましょう。
 

妊婦健診費の公費負担

妊婦健診費の公費負担とは、出産前の妊娠期間中に行う妊婦健診の費用を地方自治体が負担するものです。公費負担の内容や要件は地方自治体によって異なるため、居住地の市区町村のホームページや利用する医療機関などで確認しましょう。
 
厚生労働省の調査によると、調査対象の全市区町村(1741市区町村)では、14回以上の妊婦健診に対し助成が受けられます。2018年度の公費負担額は、全国平均で妊婦1人当たり約10万5000円でした。
 

地方自治体の補助制度

地方自治体によっては独自に出産費用に対する補助制度を設けているので、居住地の市区町村のホームページなどで確認しましょう。
 
例えば、東京都港区の場合、出産育児一時金だけでは賄いきれない出産費用について31万円を上限に区が助成してくれます。出産育児一時金42万円に区の助成を合わせれば、出産費用が73万円までならば自己負担は0円で済みます。
 

出産に関わるさまざまな制度

出産費用を直接補助するもののほか、出産に関する制度はいろいろあります。請求漏れがないようにチェックしましょう。
 

出産費用は医療費控除の対象

出産費用は医療費控除の対象となり、確定申告を行うことによって所得税が軽減されます。医療費には、定期健診や検査の費用、通院費用なども含まれます。ただし、医療費控除の額を算出するときは、上記費用の合計金額から出産育児一時金を差し引いて計算します。
 

異常分娩の場合は健康保険が適用される

正常分娩の場合は健康保険の適用外ですが、異常分娩の場合は健康保険が適用されるため、医療費は原則3割負担で済みます。また、1ヶ月の医療費が高額になった場合は、一定額を超える医療費が還付される高額療養費制度を利用できます。
 

出産前後の休業に対する出産手当金

出産費用に対する補助ではありませんが、産休を取った会社員に対しては休業に対する補償として出産手当金が支給されます。出産手当金は、出産日以前42日から出産日の翌日以降56日までの無休の休業期間に対して支給されます。
 

出産に関する補助制度はいろいろあるので請求漏れがないように

出産費用に対しては、国や地方自治体などの補助制度があります。
 
出産する医療機関や勤務先から補助制度の案内を受けることもありますが、個人での申請が一般的です。各制度の概要を理解して、請求漏れのないようにしましょう。
 

出典

全国健康保険協会 子どもが生まれたとき
公益財団法人日本医療機能評価機構 産科医療補償制度の概要
厚生労働省 妊婦健康診査の公費負担の状況に係る調査結果について
国税庁 No.1124 医療費控除の対象となる出産費用の具体例
全国健康保険協会 出産手当金について
 
執筆者:西岡秀泰
社会保険労務士・FP2級

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