更新日: 2022.09.20 その他暮らし
「代引きトラブル」ってどんなもの? うっかり支払った料金は取り戻せる?
しかし、クレジットカードなどキャッシュレス決済が普及した現在では、利用する人が減っているものの、トラブルは増えているようです。そこで本記事では、代引きトラブルや代引き料金の返金について解説します。ネットショッピングなどで利用する可能性がある人はぜひご一読ください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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ネットショップでの決済手段
ネットショップでは、店頭販売と違いその場で現金決済ができないため、商品の引き渡しや決済に関するトラブルが発生する可能性があります。販売店としては代金の決済後に商品を発送したい、顧客からすれば商品を受け取ってから支払いたいというお互いに矛盾した要望があるからです。
まずは、代引きに関するトラブルを考える前に、ネットショッピングにはどのような決済手段があるのかみてみましょう。
決済手段の種類
ネットショップの決済手段は、決済のタイミングから図表1で示した3つに分けられます。
【図表1】
決済のタイミング | 主な決済方法 |
---|---|
商品発送前 | 1.銀行振込:指定口座に現金の振り込み 2.コンビニ払い:コンビニのレジで支払い 3.クレジットカード決済:クレジットカードで決済 4.キャリア決済:携帯キャリアと提携して携帯料金に上乗せして決済 5.ID決済:ショッピングサイトなどの外部決済サービスとID連携し、登録している情報から決済 |
商品発送後 | 6.後払い:商品到着後に銀行やコンビニからの支払い(NP後払いなど) |
商品受取と同時 | 7.代引き:商品受取時に運送会社経由で支払い |
3〜5の決済は商品発送前のタイミングですが、カード会社や携帯キャリアが立替払いをするため、実際の支払いは後払いの形になります。また、コンビニ払いには3の前払いと6の後払いがあり、手数料などが違うので注意しましょう。
各決済手段のメリット・デメリット
各決済手段のメリットとデメリットを図表2にまとめたのでご確認ください。
【図表2】
決済手段 | メリット | デメリット |
---|---|---|
銀行振込 | ・昔から使われているのでなじみがある ・高齢者が使いやすい ・ネットバンキング利用の場合は24時間振り込みできる |
・販売店が入金確認する時間がかかる ・振込手数料で顧客負担がある |
コンビニ払い | ・基本的に誰でもいつでも支払いが可能 ・支払い番号やバーコードがあるので、間違いが起きにくい ・銀行振込より入金確認が早い ・情報漏えいが防げる |
・決済のためにコンビニまで出掛ける必要がある ・店舗によっては、端末操作が必要なため、機械操作が苦手な層には不向き |
クレジットカード決済 | ・24時間利用できる ・現金を持ち歩かずにすむ ・カードのポイントが貯まる ・商品の発送が早い |
・カード番号漏えいのリスクがある ・カードを使いすぎてしまうリスクがある ・店舗によっては利用できないカードがある |
ID決済 | ・現金を持ち歩かずにすむ ・新たにカードを登録する手間がない ・カード番号漏えいのリスクがない ・ひも付けたクレジットカードなどのポイントも貯まる |
・外部決済サービスに登録していないと使えない ・利用できる店が限られる ・高額な買い物ができないことがある ・不正利用の危険性がゼロではない |
後払い | ・商品を確認してから支払いできる ・支払い番号やバーコードがあるので、間違いが起きにくい ・情報漏えいが防げる |
・利用できないネットショップもある ・未払いの場合、法的な措置をとられることもある |
代引き | ・商品が届いてから支払いできる ・情報漏えいが防げる |
・代引き手数料がかかる ・必ず家にいなければならない |
筆者作成
代引きトラブルとは
代引きによる決済は、消費者にとっては商品の到着を確認してから支払えるので安心できる決済方法です。
一方で販売店側からみると、商品の到着まで入金がなく、受け取りを拒否される可能性があるため、最後まで安心できない決済手段といえます。
代引き決済は一見、販売店のほうが不利のようにみえますが、代引きによるトラブルには消費者が被害者になるケースもあり、販売店が被害者になるケースだけではありません。そこで、消費者と販売店が被害を受けるそれぞれのトラブルについて、以下でみていきましょう。
消費者側が被害を受ける代引きトラブル
消費者が被害を受ける代引きトラブルの代表は、注文していない商品が代引き決済で送られてきて支払ってしまうケースです。
送付元を確認せずに、注文していない商品を受け取ってしまうことにも問題がありますが、本人がいないときに家族が受け取ってしまうケースもあり、一概に受け取ったほうが悪いともいえません。
このようなトラブルを防ぐためには、普段から家族に対して商品の発送があることを知らせておくことが必要です。また、家族も受け取る前に本人と連絡をとったり、本人がいる時間帯に再配達してもらったりすることも大切です。
また、代金支払い後に箱を開けてみたら中身が注文したものと違う、空っぽだったというケースも多数あります。
万が一トラブルが起こった場合は、消費者生活センターなど公的な相談窓口に相談してみましょう。
販売者側が被害を受ける代引きトラブル
販売店側が被害を受ける代引きトラブルで多いのは、顧客が受け取りを拒否するケースです。
代引き決済は顧客にとっては商品が届いてからの決済なのでリスクはありませんが、販売店にとっては最後までキャンセルのリスクがある決済方法です。
衝動買いをした顧客が、商品が届くまでに心変わりをする返品のリスクは排除できません。そこで販売店の対策として、以下の点をホームページ上に明記しておくことをおすすめします。
●商品発送後のキャンセルや返品は認めない
●キャンセル・返品の場合、代引き手数料や返送料は顧客負担となる
上記を明記しておくことで、返品やキャンセルを完全に防ぐことはできなくても、ある程度の抑制が可能です。なお、消費者庁のホームページに、「通信販売における返品特約の表示についてのガイドライン」が記載されているので、注意事項を明記する際にはよく読んでからにしてください。
また、悪質な顧客がいたら購入履歴を残して注文拒否をするようにして、警察に通報するか弁護士に相談しましょう。さらに、いつまでたっても返品が減らない場合は、代引き決済の取り扱いをやめることも考慮してもよいかもしれません。
代引き料金の返金は可能?
代引き決済では代引き料金が顧客負担となりますが、この料金は販売店に支払う料金ではありません。代引き料金は運送業者に支払うサービス料金です。商品の価格によって代引き料金も異なり、配送業者によっても料金の設定が違うので、事前に確認する必要があります。なお、顧客が商品の受け取りを拒否した場合は、代引き料金を販売店が結果的に負担することになります。
また、発注していない商品を受け取ったときに商品代金と代引き料金を支払ってしまうと、原則として代引き料金は返金されないので注意しましょう。代引き料金は代引きサービス利用の対価として運送業者に支払うものです。そのため、サービスを利用してしまうと返金は難しくなります。
もし返金・返品をしたい、注文したものと違うという場合は、運送業者ではなく、販売店に連絡しましょう。
決済方法は複数あるので、代引きにこだわる必要はない
総務省の通信利用動向調査報告書(世帯編)によると、令和2年のネットショッピング決済手段の上位は以下のとおりです。
1位:クレジットカード決済 75.0%
2位:コンビニ払い 36.5%
3位:代引き 24.6%
代引き決済について、令和元年は24.0%でさほど変わりませんが、平成30年の31.0%から減少していますが、3位の位置づけから利用している人はまだ多くいることが分かります。これは、クレジットカードやキャッシュレスに使い慣れていない高齢者が多いのではということが予想されます。また、1位のクレジットカードの平成30年は70.8%でこちらは増加しています。
しかし、代引き決済は、顧客にとっては手数料がかかる、販売店にとっては返品リスクが高いというデメリットがあるので、他の決済方法への移行を検討してもよいでしょう。
上記の決済方法以外にも数多くの決済手段があるので、メリット・デメリットをよく理解して自分に合った決済手段を選択しましょう。
出典
独立行政法人国民生活センター 代引きで身に覚えのない荷物が送られてきた
消費者庁 通信販売における返品特約の表示についてのガイドライン
総務省 令和2年 通信利用動向調査報告書(世帯編)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部