更新日: 2022.10.26 子育て
幼稚園、保育園、こども園……幼児教育・保育の無償化の対象となる施設とは?
執筆者:蟹山淳子(かにやま・じゅんこ)
CFP(R)認定者
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
蟹山FPオフィス代表
大学卒業後、銀行勤務を経て専業主婦となり、二世帯住宅で夫の両親と同居、2人の子どもを育てる。1997年夫と死別、シングルマザーとなる。以後、自身の資産管理、義父の認知症介護、相続など、自分でプランを立てながら対応。2004年CFP取得。2011年慶應義塾大学経済学部(通信過程)卒業。2015年、日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員。2016年日本FP協会、広報センタースタッフ。子どもの受験は幼稚園から大学まですべて経験。3回の介護と3回の相続を経験。その他、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー等の資格も保有。
幼児教育無償化とは?
幼児教育無償化とは、幼稚園、保育所、認定こども園、地域型保育や企業主導型保育を利用する3歳から5歳児クラスの子どもたちの利用料が無料になる制度です。0歳から2歳児クラスの子どもについては、住民税非課税世帯が無償化の対象となります。
ただし、すべての費用が無料となるわけではありません。通園バスの費用、給食費(食材料費)、行事費、制服などの購入費用などは、これまでどおり保護者が負担します。
また、幼児教育無償化制度を利用して、子どもを幼稚園や保育所などに通わせるためには、保育認定が必要です。3歳時から5歳児クラスで幼稚園に通う子どもは1号認定、保育所に通う子どもは2号認定、0歳から2歳時クラスの保育所に通う子どもは3号認定を受けることになっています。
幼稚園
幼稚園は、小学校以降の教育の基礎をつくるために幼児期の教育を行う施設です。公立、私立の区別なく、昼過ぎまで(標準時間で4時間/日)の教育時間の利用料が無償化の対象となります。ただし、私立幼稚園は、「子ども・子育て支援新制度」の対象となる園(移行園)か対象とならない園(未移行園)かで限度額が少し違います。
公立幼稚園と新制度に対応している私立幼稚園は、保育料と入園料とも利用料全額が無償化の対象となります。一方、新制度に対応していない私立幼稚園は無償化の上限額が月額2万5700円で、入園料も無償化の対象ですが、月数割にして保育料と合わせた上限額が2万5700円なので、それを超える部分は保護者負担です。
ただし、独自の補助金制度を持つ自治体もあります。どの幼稚園が新制度に対応している幼稚園か、また対応していない幼稚園に入園する場合の上限額については、市区町村のホームページなどで確認するとよいでしょう。
また、園によっては午後や土曜日、夏休みなどの長期休業中の「預かり保育」を実施していますが、預かり保育も1日450円まで、1ヶ月1万1300円を上限として、利用料とは別枠で無償化の対象となります。その場合は、共働き、妊娠・出産、介護などを理由とする「保育の必要性」の認定受けることが要件となっており、保育認定は新2号となります。
保育所
保育所は、共働きや親族の介護などの事情で、家庭で保育のできない保護者に代わって保育する施設です。保育所には認可と認可外の施設がありますが、ここでは認可保育所について説明します。
認可保育所は、厚生労働省が定めた基準を満たし、都道府県知事からの認可を受けて運営されている保育所で、入園を希望するときには、「保育の必要性」の認定を受けなければなりません。
認可保育所(親の就労状況により保育標準時間で最長11時間/日、または保育短時間で最長8時間/日)の利用料は、全額無償化の対象となります。園によっては延長保育を行っていますが、その利用料は無償化の対象とはなりませんので、自己負担となることに注意が必要です。
また、地域型保育と呼ばれている家庭的保育(定員5人以下)、小規模保育(定員6人~19人)、事業所内保育(企業が従業員の福利厚生のために設立した保育所)、居宅訪問型保育(障害や疾病等の理由で個別の保育が必要な場合に保護者の自宅で1対1の保育)などや、企業主導型保育(企業が従業員の働き方に応じた柔軟な保育を提供する施設)も、認可保育所と同じ扱いで、無償化の対象となります。
認定こども園
認定こども園は、親が働いているかどうかにかかわらず受け入れて、教育と保育を一体的に行う施設です。幼稚園と同じように昼過ぎまで(教育時間のみ)利用する場合は私立幼稚園(新制度の対象となる園)と同じ、「保育の必要性」の認定を受けて保育利用する場合は、認可保育所と同じ扱いで、無償化の対象となります。
認可外保育施設等
認可外保育施設には、認可外保育所、自治体の認証保育所、一時預かり事業、ファミリーサポートセンター事業(子育て家庭の保護者を会員として、預かりなどの援助を受けたい人と支援したい人の調整を行う事業)、病児保育(病気や病後の子どもを保育・看護する施設)、ベビーシッターなどが挙げられます。
これらの施設を無償化の対象として利用するには、「保育の必要性」の認定と保育認定(新2号)を受けなければなりません。また、上限額は認可外保育所とその他の施設を合わせて月額3万7000円(住民税非課税世帯の0歳~2歳児クラスは月額4万2000円)です。
まとめ
幼児教育無償化制度は、子育て世帯にうれしい制度ですが、まだ始まったばかりで、分かりにくい部分や使いにくい部分があるかもしれません。独自の補助金などの子育て支援制度が設けられている自治体もありますので、お住まいの市区町村のホームページ等を調べてみるとよいでしょう。
小さな子どもを育てる家庭で転居を考える際は、自治体がどのような子育て応援制度を設けているかも、住まい選びの条件として重要です。
執筆者:蟹山淳子
CFP(R)認定者