子どもを大学まで進学させたいけど、お金がない…。教育費を「無償化」できるかもしれないって本当?
配信日: 2022.10.30 更新日: 2022.10.31
しかし、国よる教育支援制度の拡充が進んでいるため、教育費は実質的に無償化できることもあります。今回は、子育て世帯に向けて教育費の無償化制度を紹介します。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
高校無償化制度について
「⾼等学校等就学⽀援⾦」は、判定基準を満たした場合に公立高校では年額11万8800円、私立高校(全日制)であれば最大で年額39万6000円を、返還不要の授業料支援として受け取れる制度です。この制度によって公立・私立を問わず、子どもの高校進学にかかる学費は実質的に無償となります。
前述したように判定基準として収入などの要件が設けられており、家族構成や保護者の働き方にもよりますが、目安として世帯の年収が約1090万円まで(11万8800円の支給)であれば公立高校の授業料が実質的に無償化、私立高校の場合は授業料が減免となります。
また、世帯年収が約740万円まで(最大39万6000円の支給)なら、私立高校も実質無償化となる可能性があります。
出典:文部科学省 「高校生の学びを支援します。⾼等学校等就学⽀援⾦」
高校無償化は新入生の場合、入学時の4月などに学校からの案内に従って手続きを行う必要があります(在学生は収入状況の届け出が必要な7月ごろまで)。
手続きの流れや対象となる世帯の収入要件など、詳細については進学先の学校、またはお住まいの都道府県にご確認ください。
大学無償化制度(高等教育の修学支援新制度)
国から認定を受けている一定の学校に限り、「高等教育の修学支援新制度」を利用することで大学の学費も実質的に無償化となることがあります。高等教育の修学支援新制度は大学無償化制度ともいわれますが、短期大学や高等専門学校、専門学校も対象です。
支援の内容には給付型奨学金の支給、および授業料・入学金の減免があり、支援額は最大で給付型奨学金が年額91万円、授業料減免が年額約70万円、入学金減免が約28万円となっています(いずれも住民税非課税世帯の例)。
実際にどれくらいの支援を受けられるかは世帯の収入や資産、学校の区分などによって異なるほか、支援の対象となるには本人の学習意欲といった要件を満たすことも必要です。
詳細については在学中の高校や、独立行政法人 日本学生支援機構の奨学金相談センターへお問い合わせください。
無償化でも授業料以外の費用がかかる
高校無償化、大学無償化とはいっても、授業料以外のお金はかかります。例えば、教科書代や実習費、学校の行事にかかる費用などは、基本的に無償化の範囲外です。
教育にかかるすべてのお金という意味で教育費を無償とするのは現状では困難ですが、そうした点も踏まえ、子どもを大学まで進学させたいと考えている場合は早めに教育費の準備を進めてください。
どうしても教育費を用意できないときは?
高校や大学の無償化制度の対象外であったり、無償化制度を利用しても子どもの学費を賄いきれなかったりする場合、奨学金の利用を検討することになります。
奨学金は原則、返済が必要ですが、収入や子どもの学力によっては返済不要の給付型の奨学金を受けられたり、無利子での借り受けが可能になったりする場合もあります。
代表的なものでは日本学生支援機構による貸与型・給付型の奨学金のほか、自治体や学校によっては独自の奨学金制度を用意しているケースもあり、日本学生支援機構のホームページで検索することができます。
まとめ
高校、大学と子どもの進学にはお金がかかりますが、各種の支援制度によって大学まで実質無償で進学させることが可能です。また、無償化制度が利用できなくても、貸与型では返済義務こそありますが奨学金制度という選択肢もあります。
子どもを大学まで進学させたいが、費用の面が心配という場合、無償化制度のほか、必要に応じて奨学金についても調べてみてください。
出典
文部科学省 高校生の学びを支援します。⾼等学校等就学⽀援⾦
文部科学省 高等教育の修学支援新制度
文部科学省 確認大学等による確認(更新)申請書の公表ホームページ(文部科学省)
文部科学省 学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援新制度
独立行政法人日本学生支援機構 大学・地方公共団体等が行う奨学金制度
執筆者:柘植輝
行政書士